年間BEST 2011

2011bestsongs

2011年 BEST SONG 20

第01位:Up There: The Clouds / Roots In The Air
第02位:Light Bearer / Primum Movens
第03位:James Blake / Limit To Your Love(Feist Cover)
第04位:Russian Circles / Mladek
第05位:The End Of The Ocean / We Always Think There is~
第06位:Junius / All Shall Float
第07位:Dir en grey / Lotus
第08位:Cold Body Radiation / The Night Reveals
第09位:Morne / Asylum
第10位:The Pains of Being Pure at Heart / Heart In Your Heartbreak
第11位:Battles / Ice Cream
第12位:Via Fondo / Nya utsikter: del 1
第13位:Liturgy / Returner
第14位:Grails / Deep Politics
第15位:juki / Carved
第16位:Gang Gang Dance / Glass Jar
第17位:sgt. / cosgoda
第18位:東京酒吐座 / Just Alright
第19位:Syndrome / Absence
第20位:Boris / Aileron

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Up There: The Clouds / Roots In The Air


2011年間BEST CD50

tokyojupiter2

番外編 V.A.『TOKYO JUPITER Compilation II』

コンピではあるが、”TOKYO JUPITERの音を形成する”楽曲のセレクトの良さと作品のまとまり、そして収録されている若手アーティストの可能性を届けたいので番外編として選出。世界中に散らばる激情ハードコア/ポストメタルの宝石たちを独自の視点でセレクトし、リリースを手掛けている国内レーベルTokyo Jupiter Recordsによるコンピ第2弾。本作の核となっているのは美しいメランコリーを孕んだ激しいインストゥルメンタルとエモーショナルな歌/叫び(完全インスト曲も多数)で、気の利いたデリケートなメロディと峻烈に空間を焦がす激情を具象化したドラマティックな展開でリードする。胸倉を掴み、感情を奮い立たせる楽曲群の数々で聴き手を昂揚させるのが特徴。収録アーティストはThe Black Heart Rebelion、日本のNonremなどで2枚組14アーティスト14曲がTokyo Jupiter Recordsの結晶となっている。

calista

第50位 Calista Divine 『Calista Divine』

イタリアの若きインストゥルメンタル・ロックバンドの精鋭4人組による1st EP。静と動のバランス感覚に長けた組み立てと展開でしっかりと魅了するインストを掻き鳴らし、琴線に触れる詩情と凄まじい昂揚を誘発する轟音を上手く使い分ける音像。ひんやりと冷涼感のある静パートは、アルペジオやクリーン・フレーズを用いて氷のような透明度をもって響く。その冷たさからはコクトー・ツインズやスロウダイヴからの影響も感じさせる。そして、マス系に迫るダイナミックかつ緻密な展開を用いながら、全方位に大きく拡散する轟音へ。タフなリズムの牽引からツインギターが豪快に炸裂するカタルシスはなかなかのもの。Gifts From Enola辺りを髣髴とさせる。全体的にはひんやりとした印象で、クールな質感が目立つ印象か。近年、轟音界隈を賑わすイタリアからまた楽しみな存在が現れた。

Devil's Walk

第49位 Apparat 『Devil’s Walk』

叙情派ドリーミー・エレクトロニカから煌びやかなテクノ、優美なアンビエントまで行き来して美しく幻想的な空間を創り上げる職人、ApparatのMuteに移籍しての初のフルアルバム。この新作では驚くほどに”歌”を前面に出してきたのが印象的。夏の終わりを思わせる甘美で儚いうわものに、清涼感のある歌声が泳ぐ。それが影響してかビートは以前よりもかなり抑制されていて、アコースティックな音色やストリングスを効果的に用いて、色彩豊かなシンセのループと共に楽曲を幻想的に彩っている。前作でのバラエティの豊かさとファンタジックなメロウさもまた素晴らしいものだけど、歌の機能性を有効活用した本作における美しい魔法は、さらに幅広い層に支持されそうな雰囲気を持っているように思う。また、曲によってはポスト・ダブステップ方面への趣も聴けるし、レディオヘッドのような奥深いサウンドプロダクションのように感じた人もいるかもしれない。独特の美意識が払われた音響の中で、美しい歌が響きわたっている。

Inside Room

第48位 40 Watt Sun 『The Inside Room』
   
元Warningのメンバーが中心になって結成されたUKのドゥーム・メタルバンドの初作。Metalbladeからリリースされているというのを忘れるほどの重厚なドゥームサウンドを軸に展開するも、相反するように研ぎ澄まされた叙情感が全編に渡って発揮されており、地下ヘヴィロック界に留まらないポップなニュアンスを持ち合わせているのが特徴的だ。オルタナ系の艶やかで渋い歌い回しやアコギの旋律、美麗なシンセ、穏やかなメロディが重い壁の中でたゆたう。そしてこの歌と演奏の狙いすましたミスマッチ感がサイケな感触や酩酊感を高めている。Jesuのアプローチをドゥームメタルの範疇で行ったかのようなそんなイメージが浮かぶ。この天国的な癒しをも持った耽美なドゥームは、PitchforkやPopMattersの年間ベスト・メタル編に選出されるほどにメディアからの評価は高い。

sync positive

第47位 Hiroshi Watanabe 『Sync Positive』

kaitoことHiroshi Watanabe氏の久々の本名名義の作品。センチメンタルなサウンドスケープを通して、無重力にでもなったような心地よさと夢見心地の快感を味あわせてくれる事に変わりはない。しかし、ビートはより強く重く鳴り響き、幻想的なシンセが降り注ぐシャワーのように凛とした美しさを振り撒いている。それらの反復と緩やかなストーリー展開によってじわじわと空間に拡がり、音が身体の中に浸透していく。ミニマル、アンビエント、トランス、ハウスといった要素を滑らかに結びつけ、優しさと切なさに満ち溢れたサウンドを造形。その上でフロア寄りの力強い躍動感もしっかりと演出している。そしてまた、かくも温かく美しい世界がポジティヴなエネルギーに包まれているのも良い。

Alchemic Heart

第46位 Vampillia 『Alchemic Heart』  

関西のブルータル・オーケストラ集団の2011年初作(今年はもう一枚リリースしている)。”リスニングによって創造される美しい原風景が楽曲が終わるつれ破壊されていく”というコンセプトを基に制作した2曲50分の大作。ロック、ポストロック、ドローン、ドゥーム、アンビエント、クラシックなどの多様な要素と多種の音パーツを確信犯的に制御し、渾然一体となった異世界を打ち立てていく様は見事というべきだろう。静かなアンビエントに閑雅なヴァイオリンやピアノの旋律とJarboeのポエトリーリーディングが編まれていく#1「Land」では退廃的なエクスペリメンタル・ドローンへと発展していくし、続く#2でもMerzbowのノイズを悪用しながら、独特の音風景を奏く。ピアノやストリングスの繊細な筆遣いとドゥーミーなギターに重厚なリズム、そして壮絶なる呻き声、オペラ歌唱が巨大なひとつの絵に収斂していく様は凄まじいという他ない。恐ろしい体験を味わえる作品に仕上がっている。

DocumentaLy(通常盤)CD

第45位  サカナクション 『DocumentaLy』

約1年半ぶりとなる5thフルアルバム。冴えわたるバンドサウンドと打ち込みの親和はさらに密となり、開かれたポップ性とメランコリックな色調を重ね、細やかな技巧を加える事で己のスタイルをより強固にしている。初めてシングルを3曲収録したとのことだが、そういった大衆に向けての親しみやすさをしっかりと据えつつ、丁寧に造りこまれた精微なサウンドデザインで音響へのこだわりを如実にみせる辺りがやはりこのバンドの凄い所だと思う。ロックとエレクトロの完璧な融合化、それに伴う華やかさとダイナミズムの実証が如実に楽曲から表れていて、中盤から後半では多彩なアイデアを投下してまた違う表情を見せている。フロア・ミュージックとしての機能性からJ-POP/J-ROCKとしての機能性まで備えた高クオリティな楽曲の数々、個人的には十分すぎるほど楽しめた作品。

AESTHETHICA (エスセシカ)

第44位  Liturgy 『Aesthethica』

変態生産地・ブルックリンを拠点に活躍するポスト・ブラックメタルバンド(ヒップスター・ブラックメタル)の2ndアルバム。鋭く冷徹に空間を裂くトレモロリフの応酬にブラストビート、痛々しい絶叫を軸にした恐ろしく激烈なサウンドは、前作から大きな変化はない。非情なまでの鋭利な攻撃力を持ってして打ち鳴らされている。さらに前作以上にトリッキーな展開による畳みかけに驚かされるし、不思議なメロディアス性の内包、ドラマティックさが貫かれている点など、悪魔がほほ笑む中で神秘性が湛えられているのは見事。また、自然への畏怖をも覚える様な強烈さに神経もズタズタ。聖歌隊のチャントも変わらずにピンとした緊張感を張り、背筋を凍らせる様な雰囲気を強めている。万物を脅かすその超然とした迫力あるサウンドは、確実に進化/深化。細分化するブラックメタル・シーンの中でも光と闇を横断できる稀有な個性、これが噂のLiturgyだ。

 lakshmi

 第43位 Anrietta×juki SplitCD 『Lakshmi』
   
去年のクリスマス・リリースですが、今年に入ってから入手したのでここに入れさせてください。というわけで東京のポストロック5人組Anriettaと同じく東京のアトモスフェリック・スラッジ/ポストメタル5人組jukiのスプリット作。天国的な癒しを持つほどに安らかで美しい音像を奏でるAnriettaの才能を感じる2曲、それに国産ポストメタル新世代としての実力を叩きつけたjukiの重厚で超大な2曲は確かなインパクトを誇る。両バンド共に感心するのは曲の展開とそれに伴った高い物語性で、感情の蠢きが寸分もなく巧く表出している印象。少しかけ離れた音楽性ではあるが、音の共通項や意識の面で共鳴・親和している部分は多い。ポストロック~ハードコア~スラッジと行き来する音像の中で、若者が心血を注いで鳴らす音色には未来を形どって行く頼もしさがあり、これから先への大きな期待を抱かす良質なスプリット作であると個人的には思う。

 Parallax

 第42位 Atlas Sound 『Parallax』

ディアハンターの頭脳であるブラッドフォード・コックスのソロ・プロジェクトの2年ぶり3作目。バンドとソロ、両方とも作品を出すごとにお互いの境目が無くなってるなあという印象を受けるのだけど(といってもこちらの方が自由度は高いし、霧が濃くなる)、本作では昨年の『Halcyon Digest』と共振するようなお得意のローファイ感と甘美なサイケを程よくしのばせ、さらにフォーキーな味わいと独特の浮遊感を持ったサウンドを構築。変わらずにどこか虚ろで閉塞的な感じを受ける部分もあるが、スティーヴ・ライヒを参照にしたというミニマルへの傾倒も曲によっては表れているし、シーンの最先端を突き進む創作意欲と実験精神を示している。悦楽のアンビエントからベッドルーム・ミュージック、懐かしい哀愁を感じるアシッド・フォーク、それに明確な美しさに貫かれたポップ、もの悲しげなバラードまで自在に繰り出す、制約の無い曲の振り幅も魅力的。

 MODERN SYNTHESIS

 第41位 Bertoia 『MODERN SYNTHESIS』
   
07年に結成された5人組シューゲ/インディ・ポップ・バンドの1stフル。ふわふわとしつつもエレガントさを持った音のヴェールに煌びやかなメロディが寄りそい、murmurとして活躍する女性ヴォーカリストの甘さをしのばせた優しい歌が乗る。心地よく安らかな響き。音楽的にペイル・セインツたLUSH等に影響を受けたというのを拝見したが、4AD系の耽美な薫りやシューゲイズ要素をもっと親しみやすいものへと軟化させ、さらに近年のインディ・ポップやポストロックの要素を上手く結びつけている印象。また、透明感と軽やかさのあるスウェディッシュ・ポップの趣や浮遊感あるバンド・サウンドに夢見心地なエレクトロニカが繊細に溶け込む。多様な要素を封じ込めながらもキャッチーかつドリーミーに織り上げたサウンドスケープは、甘美な味わいと感傷的な想いに浸ることができるだろう。聴後の心をほぐすかのような温かい余韻がまた作品の良質さを物語っている

 reka123

 第40位 Reka 『Ⅲ』

ロシアの激情系ポストメタル・バンドRekaの1年ぶりの3作目。地から天まで蹂躙してくようなリフ、負の感情を吐露する痛々しい絶叫をメインに暗く重く激しいサウンドが特徴で、ミッドテンポながら眼前の景色を豪快に切り替えていく退廃的なヘヴィネス、カオティックな音の渦には神経が痺れること間違いなし。もちろん、刹那にハードコアからの激情、悲哀、焦燥感といったものが滲み出て、畳みかけてくる場面もある。そしてまた、ポストロック/アンビエントに共振する麗しいメロディが花開き、ダイナミックな曲調を実現。それを平均して8分を越える長尺のストーリー性に長けた楽曲に当然のように還元している。本作では内なる精神に迫る様な重々しさとスピリチュアルな表現力に磨きがかかり、神経が摩れるようなヘヴィ・サウンドを追求。そこに美麗なメロディを組み込みながら一線を越えた荘厳な音楽を奏でており、モスクワから届くこの音の凄さには悶絶した。

 Diotima

 第39位 Krallice 『Diotima』

トレモロ・リフに己の生死をかけているアヴァンギャルド・ブラックメタル・プロジェクトによる3作目。これぞ偉大なるマンネリズムといいたくなるぐらい、本作もまるで揺らぐことなく従来のスタイルを堅持し、美麗轟音トレモロによる独創的アートが描かれている。本作では力強さと哀感をさらに増しており、今まで以上に緻密な構成を施すことでプログレッシヴに開けていく印象が強い。真骨頂の2本のトレモロによる絶望の色をした空への激走・飛翔というイメージはそのままだが、メロディックなギターフレーズが細やかに配されたり、ダウナーなパートに突入したりするなど、前2作品と比べても激しくスリリングな起伏に富む。異形の禍々しさや芸術性を湛えながら、飛躍し続けていることを証明する一作。

 CALLING

 第38位 あらかじめ決められた恋人たちへ 『Calling』

池永正二を中心としたインストゥルメンタル・ダブ・ユニットの4thアルバム。鍵盤ハーモニカの哀愁や根底に据えてきたレゲエ/ダブが本作でも基調となっているが、ポストロック的な空間の捉え方と上昇アプローチ、エレクトロニカの煌きと心地よさ、テクノ/トランス的な昂揚感までを集約したようなサウンドがとにかく印象的。バンド形態となった事での厚みのあるアンサンブルや肉体に訴えかける躍動感は凄まじいし、和を感じさせる豊かな情緒がほのぼのと響いてくる点にもまた琴線にふれる。インストでありつつもここまで歌心がある点にも惹かれた。微笑ましい懐かしさと踊り狂える昂揚感の交錯はもちろんだが、弛緩と緊張を織り交ぜた展開と雰囲気の切り替えが本当に巧み。突き抜けた快楽と懐かしい郷愁を誘う良作。

 Gloss Drop (WARPCD212)

 第37位 Battles 『Gloss Drop』

タイヨンダイが脱退し、トリオ編成で制作された4年ぶりの2ndフルアルバム。とはいえ、僕等のイアン・ウィリアムスはいるじゃないかと思っているが、随分とカラフルな色彩とポップ感を増したというのが第一印象か。前作でいう「Atlas」のテンションをより派手に盛り上げてくれている。マスロック的な精微で複雑な構成力は健在だが、自由な筆使いで楽しいバトルスを演出。メロディの美しさやユニークなリズム転調、陽気なヴォーカルが主導権を握り、ナチュラルな温かみと人懐っこい感覚が強まった。どこかでネジを外れたというパーツを緻密に組み合わせていながら、ポップで躍動感のある作風へと飛躍。可愛らしいという言葉も場面によっては浮かんでしまうほどだ。かつての無機質な印象を振り払うほどに全体的に明確に彩度を上げている。そこに加わったカズ・マキノなどの個性派ゲストもまたポップさを加速させていて、聴きやすさは過去最高。

 Angels of Darkness Demons of Light 1

 第36位 Earth 『Angels of Darkness Demons of Light 1』

約3年ぶりとなる通算6枚目となるスタジオ・アルバム。05年の再結成作『Hex』からパワー・アンビエント/ドローンの地平を越え、悠久たる音楽の形成を目指してきた彼等が本作でもその先の道を示す。重く深いギターの音色、沈み込むように打ち鳴らされるドラムに太いベースとチェロの荘厳でふくよかな調べが加わって、アメリカの広大な風景とそこに暮らす人々の感情の僅かな蠢動をも描き出す。仄暗く陰った性質、反復を基調とした展開、繊細な音の選び方、空間の取り方、奥ゆかしく落ち着いた佇まいはそのまま。だが、メロディに寄りそった造りになったことや構築された曲から即興インプロへと流れ込んでいる全体構成を取って、前作で表現した風景を地続きにさらに引き延ばすことに成功している。

pacific

第35位 The End Of The Ocean 『Pacific – Atlantic』
   
オハイオのインスト・ポストロックの1stフルアルバム。内容としてはまさにインスト・ポストロックの良心といえるもの。哀愁あるセンチメンタルなフレーズを奏で、伸びやかに飛翔するトレモロに連れられ広大なインスト叙情詩を造形する。その音からはExplosions In The Skyに代表されるような正統派のポストロックを浮かべる人も多いだろう。穏やかな感情の起伏をそのまま綴ったような感じで、美麗なメロディは心に染み、エモーショナルなサウンドが歓喜と昂揚で満たしていく。繊細かつノスタルジックに物語を構築していくのが特徴といえるだろう。少しずつ燃え上がっていくように力強さと音圧を増していく展開にはグッと鷲掴みにされる。時には儚く淡いシンセや打ち込みのビートを導入しているが、真摯な生演奏による表現力がとても良い。こういう系統の新人では個人的にはオススメのバンド。

Cosmic Coco,Singing for a Blllion lmu’s Hearty Pi[通常盤]

第34位 オオルタイチ 『Cosmic Coco,Singing for a Blllion lmu’s ~』

関西屈指のトラックメイカー・オオルタイチの2ndアルバム。4つ打ちを基調としたダンス・ミュージックに、ポップだけど言語不明の微笑ましいヴォーカルと流れ星のように煌びやかな音色を盛り込み、ファンタジーと多幸感に満ちた楽曲を造り上げている。彼は、エイフェックス・ツインやBoredoms等に影響を受けたようなのだが、それでいてここまでポップを核に据えて不思議な無重力宇宙空間を計算された構成で編みあげていくのに驚きを隠せない。その音像からは”電子音を核に据えて表現したneco眠る”というイメージが個人的には浮かぶ。軽やかで躍動感があって、なおかつアイデアも豊富。その上で包容力と開放感があるので聴いててとても気持ちイイ。全体的には神経質なまでに音の配置に拘っているのを感じさせ、計算されつくした印象はあるのだが、その上でポップと快楽性を重要視して、なおかつその集積を最終的に中毒性にまで昇華している点は凄い。

Colour Trip

第33位  Ringo Deathstarr 『Colour Trip』
   
オースティンの3人組による1stアルバム。甘酸っぱいメロディと歪んだ轟音フィードバック・ギターに男女の淡いウィスパー系ボイスが美しく芳醇なハーモニーを奏で、五感を心地よく幻惑する。まさしくマイブラやジザメリを資本にして、浮遊感と恍惚感のあるシューゲイザーという花を存分に咲かせている。それも一番シューゲイザーが隆盛を誇ったころのあの感覚が根付いている印象。それでも春の日差しのような陽性のフィーリングが根付いていて、足元を凝視するわけでなくベクトルが聴き手の方向に向いており、凄く親近感がわくポップな音が鳴っている。現代に蘇る黄金期のシューゲイザー。晴天からの急な雨に見舞われたフジロックでのステージも印象的だった。

Heavy Rocks 2011

第32位 Boris 『Heavy Rocks 2011』
   
向かうところ敵無しの世界のBorisは、本年3枚のアルバムをリリースして総攻撃を仕掛けたのが記憶に新しい。そんな中で一番印象的なのはこれ。正直、初聴時には一番インパクトが低かったこれをなぜ選んだかといえば、やっぱりLIVEにおいて見える風景が大きく変わったからだと思う。特に10分超を超える「Missing Pieces」と「Airelon」の2曲の轟音体験はさすがだった。本作では多方向に振れていったBorisが現在の感覚で”Heavy Rocks”を再定義したものが特徴。パンク、ハードコア、サイケ、ドゥーム/ストーナー/に限らず、長年かけて懐に加えてきたアンビエント、ポストロック、ノイズ、現代音楽などなど様々なエレメントを利用しながら、決して轟音の括りに収まりきらない、今のヘヴィロックを鳴らしているのだ。多数のゲストを招いての新しいHeavy Rocksは独自のヘヴィロックを昇華させてきた彼等がその冠のもとでさらに多方面に拡がり続けた事を示している。

Ascension

第31位 Jesu 『Ascension』

近作は実験的作風が目立っていたが、本作は間違いなくJesuの王道路線といえるもので、自身が提唱した”世界一ヘヴィなポップ・ミュージック”を洗練と改善を繰り返しながら挑んでいる。大きな変化こそ無いが、パーツの断片が持つしなかさやジャスティンのヴォーカル・ワークも柔らかく丸みを帯びており、磨かれた叙事性が心の深い部分にまで陶酔をもたらす。巨大な轟音のヴェールが打ち立てる脅威のスケールにも脱帽することだろう。繊細に一音一音を重ね合わせて、優しさと哀愁を帯びたサウンドを生みだし、さらには畏怖の念すらも覚える神々しさをも表出。そして、粒子の揺らめきと煌きがもたらす重厚さと浮遊感もまた、包み込むような感覚を変わらずに内包している。白銀のサウンド・スケープに意識が同化していくかのような感覚と安息の風景の中で鳴り響く轟音がとても魅力的。芸当は一緒だけど、惹かれまくるんだよなあ。

Looping State Of Mind

第30位 The Field 『Looping State Of Mind』

Kompaktに所属するAxel Willnerによるプロジェクトの3作目。ループしながら美しい光の海を突き進んでいくようなトランシーな昂揚感に溢れた感じは相変わらず。美しいシンセのレイヤーとうねりの効いたビートが形成するシューゲイズも取り込んだ幻想的サウンドスケープはやっぱり気持ちいい。ミニマルな展開の中で、徐々に変相しながら快楽を誘うこの感じ。反復による陶酔、そして恍惚。キラキラと光る鮮やかな光沢と独特の浮遊感も彼の手腕らしい。1stほどの衝撃は無いにしても本作もまたファンの期待には応えてくれた作品だろう。

Take Care Take Care Take Care

第29位 Explosions In The Sky 『Take Care, Take Care, Take Care』
   
幹のしっかりとした大木のように根を強く張って、変わらずに存在感を示している。自身の音楽に向き合い、演奏力も表現力も鍛錬しては深め、他の追随を許さない真摯なインストゥルメンタル・ミュージック。愚直なまでにワンパターンな静から動へと転換していく王道を貫き通しており、丁寧に丁寧に織り上げていくドラマは誰もがEITSに期待した劇的で壮大なものを創り上げている。美しいメロディ、優美で力強いダイナミズムは本当に別格。他のバンドが自らの領域を拡げていく中で、EITSは脇目も振らずに自身の武器を超一級品にまで磨きあげていく事を選び続け、真摯な表現力で高みに登り続けている。革新性はないが、美しい昂揚感と感動を運ぶこの作品がまたしても万人の胸を打つのは間違いないだろう。

 Then

 第28位 BVDUB 『Then』

多分、今年5枚目!?の作品で初の国内盤。アメリカ人トラックメイカーBrock Van Weyによるプロジェクトはいつも白昼夢のようなアンビエント~ミニマル・ダブ~テクノを鳴らし、静謐だがとても深い余韻をもたらす音楽にまで昇華されており、瞑想的な快楽に包まれるのだが、本作は特に良かった。夢幻の彼方へと誘う細やかなサウンド・デザインはもはや孤高の領域とさえいえる。永続的な心地よさが続くアンビエント/ドローン、そこにフロア寄りのビートが詰め込み、柔らかな昂揚感をも誘う仕様。そこには安らぎのまどろみがある。フロア感覚は今年の作品の中では一番に感じ、浮遊感漂うアブストラクトでダビーな音色の上で美しいヴォイス・サンプルが反芻し続けていく。多作だった2011年の締めくくりにふさわしい彼流の美意識が貫かれた4曲76分にも及ぶ安らぎと祈りの鎮魂音楽。

 Hardcore Will Never Die But You Will

 第27位 Mogwai 『Hardcore Will Never Die But You Will』

らしくないようでらしくないモグワイの挑戦の一作という感じで、ヴォコーダーをつかった歌もの、ひどく重たいドゥームばりの低音を歪ませた曲、ポストクラシカルにも迫る曲を入れるなどいつのも増してバラエティ色豊かな仕上がり。つかみの巧いフックの盛り込みとヴァリエーションの多彩さでここまでの求心力と間口の広さを開放しているのが新鮮だ。轟音と静寂の連携を緻密に深めながら、アプローチを拡げ、自らの音楽を巧く刷新していく事に成功した作品であると思う。そしていつも以上に明るくポジティヴでポップなフィーリングを宿しているのも印象的で、体中が光に潤されていく感覚に囚われる。粒ぞろいの楽曲が彩る充実の一作だ。

 II

 第26位  The Psychic Paramount 『Ⅱ』

個人的な2011年の轟音大賞にノミネートし、優秀賞を獲得した1枚(笑)。やかましくノイジーなギターが自由に暴れ、暴力的で分厚いベースライン、乱打されるドラムがその音の圧力をより高めながら、空間に轟いていく。ハードコアをぶちのめす、やかましいインスト狂騒集。空間を圧し歪ませるだけでなく伸びやかな飛翔感やシューゲイザー風のギターが飛び交う事もある。しかし、この破壊力とインパクトを成し得るアンサンブルは凄いの一言。問答無用の轟音の乱気流へ。即効性の高さも魅力的で、何度聞いても痺れる作品である。昔の作品もこれを聴いた後にチェックしたけど、芸当は変わってないけどインパクトは凄い

 Kaputt

 第25位 Destroyer 『Kaputt』

Dan Bejarのソロ・プロジェクトの9作目。AORに接近する風にそよぐような柔らかい歌声に、シンセ・ポップ~最近のチルウェイヴにも通ずるようなの心地よい解脱感、そしてジャズ/フュージョンのアダルトな雰囲気が溶け合い、耳馴染み良く親しみやすいサウンドがかなりツボ。組み立て・展開もとてもスムーズで、さらにアダルトチックなドラマ性や仄かなノスタルジーをきっちりと盛り込んでいるので涙腺がホッと緩む。そうした隅々まで神経の行き渡ったメロウな構築ぶりに耽溺していると、情熱的なサックスが火を吹き、ソウルフルな女性ヴォーカルがまた切ない哀愁を書き加えていくので、覚めるような感覚も持ち合わせている。豊潤な音色による筆使い、温かみのある歌心、そして知的な構築力で、絶妙なポップさと懐かしさを持った音楽へと飛躍した本作。聴き手の胸を優しく打つ事は間違いない逸品である。

 Roads to Judah

 第24位  Deafheaven 『Roads To Judah』

あのDeathwishが送り出したサンフランシスコ出身バンドの1stフルアルバム。激情ハードコアとポスト・ブラックメタルが手を繋いでユダヘの道へと立ち向かう壮絶な作品。胸を掻き毟る全4曲約38分。ポストロック好きに捧げるような美しい拡がりを見せるインストからWolves In The Throne Room的な突進力を見せ、一気に世界が反転。トレモロ&ブラストビート&痛々しい絶叫が虚空を切り裂いていく。恐ろしく猛烈な勢いと感情の奔流に身も心もあっという間にズタズタに。また、envyやCeleste辺りを思わせる激情・悲哀・ドラマティックさが交錯。Deathwishが惹かれたであろうハードコアの強さやエモーショナルが所々で感じられる。10分近い時間の中で凄まじい起伏と緩急が激ドラマティックな展開を演出して聴き手を圧倒、各地で話題になっている事も納得の強烈な作品だ。

 Karpatia

 第23位 Omega Massif 『Karpartia』

ドイツのダウンテンポ/インスト・スラッジバンドの3年ぶり2作目。Lentoにも通ずる重い轟音インストで鼓膜を蹂躙する。ゆったりとしたスロウテンポから激重リフの連続で次々と巨大な音の津波が覆いかぶさってくる様は圧巻としか言いようがないだろう。それこそLentoに接近するぐらいの重みと迫力を感じるものなんだから。饒舌なまでの静と動のダイナミズムと息を呑むような緊迫感に拍車がかかった内容が鼓膜に圧し掛かってくる。特に圧巻なのは#4と#6で恐怖と快楽を同時に味わう巨大なスケールに飲み込まれ、思わず五感が痺れて言葉を失う。UFOmammutやLentにも勝るとも劣らないドイツの怪物、ここにありを証明する重い快作。

 Epoch

 第22位 Fen 『Epoch』

U.K.のポスト・ブラックメタル・バンドの2作目。Alcest、Amesoeursと並んでこのジャンルの雛形の造形に大いに貢献した存在であると思うが、その中で本作ではさらに叙情感覚が強まっている印象を受ける。硬軟や寒暖に正邪のバランスを見極めながら見事な筆捌きで、激しくも幻想的で儚いポスト・ブラックメタルを織り上げているといえるだろう。陰惨な景色を創り上げる暴虐パートと前述した神秘性も湛えた美麗パートの対比が実に巧く手を取り合っていて、天上界から奈落への極端すぎる転換は、間違いなくFenの夢幻なる世界の奥行きを一層深いものとしているのだ。ミステリアスな浮遊感もまた心地よい。近年、隆盛を誇るポスト・ブラックメタルではあるが、そのジャンルの中でもこの『Epoch』はポストロック/シューゲイズ方面に傾いている印象もあれど、ど真ん中を突いている作品であると個人的には感じている。

Asylum

第21位 Morne 『Asylum』

アメリカ・ボストン産の激スラッジ・バンドの2作目。地を這う様な重心の低いスラッジ・リフに強靭なリズム、どすの効いた絶叫が脳髄揺らしつつも、アトモスフェリックな空間性とイカツさに似合わない叙事性を備えており、恐ろしい構成美を作品として誇っている。1曲目から17分という超大なスケールで聴き手を圧倒し、スラッジ/ドゥームのどす黒さにポストメタルといった懐の深い感性が絡みながら混沌を渦巻かせているのが印象的。このバンドもスラッジの領域を越えた多ジャンルの有機的な結合の試みに成功しているといえるだろう。NeurosisやISISといった存在にも迫る存在感、そしてまたMouth of The Architectも引き合いに出したくなる幽玄性と激烈さの混合っぷり。全7曲66分の本作には、それほどの壮大なスケールとアーティスティックな感性が詰め込まれている。重要作。

MARE DECENDRII (メア・ディセンドリ)

第20位 Mamiffer 『Mare Decendrii』

我等がアーロン・ターナー正式加入で、より深遠なる音響を聴かせるようになった2作目。前作でもドローン/ミニマル/現代音楽と親和しながら、ポストクラシカルな優美さと独特のアート感覚を持った世界を打ち立てていたわけだが、本作ではその音楽をさらに掘り下げている。特に前作を遥かに上回る重厚なドローンギターの妖しき轟きが凄まじく、背徳感の詰まったノイズの残響や恐ろしく緊張感を持って鳴らされるリズムの一打一打を調和させながら、儚い闇を忍ばせたシリアスな音風景を描く。そこにまたフェイス嬢の厳粛なるピアノや繊細な歌声が緊張感を空間に滲ませる。アーロンの加入でより”ポスト”を意識し、スピリチュアルな芸術性に磨きがかかったといえるだろう。仄暗く重たいドローンの闇から息を呑むほどの美しさが溢れだしてくる見事な作品である。

BIRTHDAY

第19位 sgt. 『BIRTHDAY』
  
3年ぶりとなる2ndアルバム。sgt.たる根幹の音楽性はそのままに本作は“星の少女が旅をする物語”を多彩なアイデアとアンサンブルの元で投影していくコンセプト作品。言葉以上に雄弁かつリリカルで破壊的なインストゥルメンタルを奏で、涙腺を刺激する高い物語性を体現してきた彼等にとって、まさしく進化/深化を示した作品だ。メンバー自らの高い技術と構成/展開力を収斂し、されに中村圭作や大谷能生、uhnellysのkim他のゲスト・プレイヤーが招かれ、叙事的で刺激的な音磁場を見事に造形。ひとつひとつの楽曲はそのまま”星の少女の旅路”を表現し、それらが繋がって壮大でコンセプチュアルな物語を繊細かつ大胆に描ききっている。自らの想い描く”世界観”を突き詰め、言葉以上に雄弁で映像性の高い音色で綴られた楽曲の数々。それらが繋がって結実し、情感豊かに織り上げられたこの

 DUM SPIRO SPERO

 第18位 Dir en grey 『DUM SPIRO SPERO』

こちらも日本代表Dir en grey。2年半という歳月を経て、重い・強い・深いがより鍛錬して産み落とされた強力すぎるディルの8枚目のアルバムである。まず一聴して思ったのは前作『UROBOROS』を経た音であること、そして重さ/深さがこれまでと比べても尋常ではないこと。1曲1曲の身体・精神への圧力は恐ろしいほどで、全14曲約67分が深化した世界観が遥かなる重みを持って聴き手に迫る。OpethやToolといった深遠なる表現力とアート性を備えたバンドに傾倒していく深く入り組んだ構成は、京の千紫万紅の歌声によってさらに変化に富み、楽器陣も暴風と狂気、耽美性、和の情緒や宗教的音楽性を書き加えていく。全体がひとつの壮大な画のようなスケール感を誇っていて、暗く重く美しい世界観に拍車がかかっているが、本作においては重みが二段階ぐらい増したのが特に印象的。妖しく渦巻くダークネス。前作ほどの完成度では無いが、本作は周囲を黙らしてしまうほどの独自の感覚と息遣いがあり、圧倒的な威厳と重みを形にした傑作である。

 Bon Iver

 第17位 Bon Iver 『Bon Iver』

ジャスティン・ヴァーノンを中心としたソロ・プロジェクトの2作目。前作での寂寥感あるフォーク・ミュージックを基調にしつつも、本作ではバンド編成となって力強く色鮮やかなサウンドへと飛翔。大地を震わせるリズム隊、ストリングスの閑雅な響き、陰影のある音響アレンジ、そして厚みを増したハーモニーがスケールを一層大きなものとしていて、彼の描き出す風景の雄大さ・荘厳さを物語っている。核となるジャスティンの壮麗なファルセット・ヴォイスがそのサウンドの上で存在感と訴求力を増し、胸の奥底を強く強く締め付けていく。北欧の幻想的な世界を紡ぎ出すようなシガー・ロス、そしてアメリカン・ミュージックの雄大さを物語ったフリート・フォクシーズなどと共振しつつも、粉雪が舞う様なメロディの美しさとダイナミックな力強さが手を取り合って作品を彩っている。厳しい冬の情景から、色鮮やかに輝く温かな大地へとその歌声を通じて導かれていくような本作、メディアからの評価もお分かり頂けるように今年を代表する作品。

 Icon

 第16位 Lento 『Icon』

ウルトラ・ヘヴィな漆黒世界へこんにちは。かつてUfomammutと共に極悪ヘヴィな共作も発表したイタリアの殺人スラッジ/ドゥーム/ポストメタル5人組の2ndは、凶悪すぎて腰抜かします。トリプルギターによる超絶ヘヴィリフの繰り返し、極悪重厚なベースラインとドラムが共謀して築き上げる圧殺のスラッジ/ドゥームサウンドに視界がまどろみ、平衡感覚が揺さぶられ続け・・・。奏でられる音色のひとつひとつがあまりにも黒くて重たい印象。それらを集結することでできあがる禍々しいオーラと殺気に満ちた凶悪な音塊の放出には殺られるんじゃないかという恐怖心に駆られるほど。徹底的に遅く重い作品を作り上げてきており、この破壊的グルーヴには地球が歪な変形をするほどのダメージを喰らってもおかしくないぐらい。黒い煙が立ちあがったが最後、地鳴りのような音圧が凄まじいインパクトを残す震撼必至の1枚。

 Belong

 第15位 The Pains of Being Pure at Heart 『Belong』

“CDショップ大賞”の洋楽部門で準大賞を獲得した1stから、さらに甘酸っぱさと瑞々しい疾走感を増した2作目。ノイジーな荒さとオルタナ寄りの力強さを獲得しつつも、前作同様に温かさと懐かしさに心が満たされていく。シューゲイザー、ギターポップ、ネオアコの旨味をさらに凝縮して豊かな音の層を生みだし、瑞々しい疾走感とキラキラのメロディ、柔らかい唄声が春風に乗って耳に届けられる。ペインズ印を何一つ失う事なく、きっちりと諸要素を上乗せして進化。見事なまでのポップさにいい意味でのラフさとラウド感も備えることでサウンドが充実してる。艶やかな色彩感と懐かしい感覚を湛えながらも、ピュアに胸を貫くこのサウンドの質は半端なく高い。聴いててキュンキュンします。フジロックで見られなかったので、来年の来日公演が楽しみ。

 12 Seasonal Music

 第14位 YAMAAN 『12 Seasonal Music』

降神も所属するアーティスト集団TempleATSから音楽家YAMAAN(ヤマーン)が放つ1stアルバムは、日本の12か月を全12曲で表現した見事なまでのコンセプト作。ダウンテンポと表現できそうな音楽であるが、ブレイクビーツ~エレクトロニカ~ダブ~テクノ等を自由に横断しながら、息を呑む美しいサウンドトラックが構築されている。軸になっているのは季節ごとの空気・息吹をしっかりと感じ取り、それを柔らかくも生彩に富む筆のタッチ/ビートで描いたインストゥルメンタル。音の一つ一つの交わりや叙情性を意識しながら、儚くも映像的なサウンドスケープを刻々と描き出していく。麗かな陽気に包まれる春、力を増す太陽が煌く夏、木々が美しく色づいていく秋、粉雪の舞う冬といった四季の美しさの表現力が抜きんでており、日本人の琴線に触れる叙情性がまた心憎い。”心の中に締まっておきたい音風景”が詰められた秀作である。

 Eye Contact

 第13位 Gang Gang Dance 『Eye Contact』

2年半ぶりとなる5作目。ブルックリン随一の尖鋭音楽集団として名を馳せる彼女たちは、ここにきてさらに洗練された内容を提示してきた。トライバルでアヴァンな風情にエレクトロニクスの色彩が自由に交流して、世界各地のワールド・ミュージックを駆け巡る。そんな鮮やか過ぎるサウンドを奏でているのはそのままだが、前作からの流れを引き継いでよりポップに昇華。刺激的でユニークなアイデアに溢れ、なおかつ体をくねらせる最高のビートと散りばめられたキャッチーなフレイヴァーが聴覚も心も奪うのだ。1stやEPなど初期のエクスペリメンタルな要素は薄めにはなっているが、この華麗なるアートフォームは完全に他バンドとは一線を画している。ブルックリン代表としての叡智とユーモアと刺激に満ちた一枚。

 Celestial Lineage

 第12位 Wolves In The Throne Room 『Celestial Lineage』

自給自足の生活を送りながら自然崇拝を掲げる新世代ブラックメタル・デュオの通算4枚目。悪霊が頬笑み、森の奥に開ける神秘的な世界。寒々しいトレモロや悲痛なまでの絶叫がもたらすブラックメタルな殺傷力、そしてポストロック/シューゲイザー的な流麗さと包容力が奇跡的に邂逅を果たす彼等の音楽は、本作でも流石の内容だ。10分超にも及ぶ楽曲を静と動の深遠なる揺り動かしで表現して、天国と地獄の両方へと叩き落とす。神秘的なキーボードや厳粛たる女性クワイアが荘厳さに拍車をかけているのは前作から引き続きだが、アンビエントも結構フィーチャされていて、作品の幻想的な世界観をより鮮明にしている印象。場面によっては4AD的な暗さと儚さを内包した薫りも漂ってくる。ブラックメタル特有のエグさや禍々しさが空気を支配することもあるが、それでも神々しさと美しさを持ち合わせた世界観に昇華してくる辺りは、自然崇拝を掲げるこのバンドならでは。本作における深化は最近のポスト・ブラック勢の台頭する中でも抜きんでた存在感を放っている。

 Empros

 第11位 Russian Circles 『Empros』

2年ぶりとなる4作目。ヘヴィ・インストゥルメンタル・ロックを同じシカゴの同郷であるPelicanと共に刻んできた彼等だが、ここに来てもなお一層、自らの音の強度と構築性を高めている。前作においてはアブストラクトな揺らぎのある空間構築に精を出していた印象を受けたが、本作にて1stで見せたカオティックな扇情性や2ndにおけるダイナミックな構成力が収斂して、さらに進化/深化を遂げた。確信を持って構築されていく楽曲群に隙はない。緻密さとダイナミズムを突き詰め、力強さも美しさも集約したインストゥルメンタル・ロックは、その手のファンを確実にうならせる作品である。職人の域にまで達するその鉄壁のアンサンブルで彼等は前進を続けるのみ。特に#2『Mladek』は本当に素晴らしい名曲だ。

 Get Lost

 第10位 Mark McGuire 『Get Lost』

Emeraldsのギタリストによる2011年作。ここにきて新しい方向性を見出そうというのが意図的に見える作品で、遂に導入されたヴォーカル曲(#3,#5)や草原から届いてくるようなコーラスが乗ったり(#2)、軽やかで光沢のあるシンセが絶妙に絡み合って心地よく聴き手を包み込んでくる。もちろん、マニュエル・ゲッチングからの影響が顕著なギター・ワークが軸となっていて、それがミニマリズムの中でセンチメンタルな情緒や優しい浮遊感を纏いながら昇華されていく点は流石。それが前述したように美しい音響との親和を果たし、唄ものを導入したことで艶やかな色彩の獲得とより感情的な響きを聴かせるようになってきた。多作で知られる彼だが、ギター・ミュージックを重んじながら、いつだってその海を越えていこうとする創造性を忘れていない。転換期ともいえそうな本作でも当然のように心地よい時間を提供してくれた。

 For all the innocence(初回盤)

 第9位 LITE 『For all the innocence』

シンセサイザーを導入することで、激動の変化を遂げる事を選んだ彼等がここにきて遂に大きく実を結んだ3枚目のフルアルバム。その研ぎ澄まされた鋭利な攻撃性、めくるめくプログレッシヴな構成によって激流の如きサウンドを鳴らしていた中で、カラフルなシンセが美しい光を灯し、眩いほどの華やかな世界が造形される。屋台骨を支えている強靭なグルーヴはさすがで、変拍子を取り入れた先読めない複雑な構成もまたスリリングな快感を運ぶ。ましてやそれが、柔軟さと美麗さを引き立てる事で瞬間瞬間の鋭い切れ味は増しているようにも感じられる。また、キャッチーという部分にもギアを入れており、ゲーム・ミュージックのようなユーモラスな表現やアフロビートの心地よい振動、アニコレやギャング・ギャング・ダンスなどのブルックリン勢と共振している部分も。ポストロック/マスロック/プログレを基本軸に据えながらも、作品はボーダーレスで前衛的。前作を聴いた時もインストとしてここまでの世界を表現できるのかと驚くほどに傑作だと思ったが、その地点を彼等は違った形、新しい変化を遂げる事で超越してみせた傑作。

 James Blake

 第8位 James Blake 『James Blake』

あのライヴを見たらBEST 10に入れちゃいますよねえ。というわけで時代の寵児James Blakeのエポックメイキングなデビュー作。ポスト・ダブステップであり、歌ものでもある。端的に表せばBurialに端を発したダブステップのフォームに、ジェイムス・ブレイクはソウルフルなヴォーカルを大胆に持ち込んだものだが、ここまで互いの要素が機能的に働いたことはおそらくなかったろう。星明かりに照らされたかのような静かな空間に物憂げなピアノと歌声が凛とした響く。その様に気づけば異様なほどに引き込まれているではないか。これが実に巧妙なデザイン性、で引きの美学というものを個人的には強く感じた。音数を絞ることで優美さと深遠さを浮き彫りにしているといえるだろうか。沈み込むようなビート、所々で主張を増すシンセをベースにして、エフェクトのかかった揺らぎのある歌声やどこか哀感のあるしっとりとしたピアノの旋律が、鼓膜からすっと入って深い印象を残すのだ。世界が心動かされる理由はここに詰まっている。

 Ravedeath 1972

 第7位 Tim Hecker 『Ravedeath 1972』

カナダの音響系サウンド・アーティストTim Hecker先生の通算7枚目となる新作。様々な音粒子をデリケートに重ね合わせたサウンドの美しき結晶が壮大な空間に静かに流れ出す。この極上のノイズ・ハーモニーはゆらめき、たゆたい、溶け込み、心と体を満たしていく。本作では、教会という神聖で静かな場所にあるグランドオルガンやピアノの反響を主体にしながら、揺らめくシンセにおぼろげなギターノイズ、グリッチ、さらにエレクトロニクスの力を絶妙に織り交ぜ、ゆるやかに意識を押し流していくかのような様な峻厳かつ幽玄たるサウンドスケープを形成している。これが絶品で、驚くほどにメロウな表情をみせると共に厳粛な響きが浄化と解放の時間を紡いでいく。感情が零れおちるノイズ、そしてアンビエント/ノイズ/ドローンと親和しつつも優しくメランコリックな感性としっとりとした叙情性が通底。どこまでも続く陶酔感に包容力、そしてこの業深さは、教会の祈祷・慈愛・悲哀・祝祭といった力を汲みあげながら生成された事も関係しているであろう。人間のあらゆる感覚を塗り替える神秘の音響ノイズ決定盤。

 allglory

 第6位 TotorRo 『All Glory To John Baltor』

Caspianから大きな称賛を送られたフランス・レンヌの若手轟音ポストロック4人組による1stアルバム。08年のEPで聴かせた彼等の根幹である壮麗なる轟音叙事詩を遥かにパワーアップさせた本作は鳥肌ものである。リリカルな旋律が舞い踊り、美しいトレモロが飛翔し、幾重にも重なって厚みを増して彩られていく多幸感ある轟音が降り注いでは、恍惚へ。さらに激情ハードコアの要素を大々的に取り入れ、バイオレンスな激情性と美麗なインストゥルメンタルの交錯によって深遠に綴ることで、あまりにも豊かな起伏と驚異的なスケールを生みだすことに成功。圧倒的な力で描かれていく音風景の広大さに衝撃を受けるのが必至の傑作。

 garten

 第5位 Corrupted 『Garten Der Unbewusstheit』

大阪より極北の音楽を鳴らし続ける激重神の6年ぶりの新作。作品を発表するごとに重く深く進化/深化を遂げているバンドであるが、本作でも極端に重く美しい世界観により磨きがかかっている。内省を深く深くえぐる音の群れは健在。得体の知れない緊張感と緊迫感に圧倒され、振りかざす重々しい轟音が全身の感覚という感覚をかき乱す。そして、筆舌しがたいカタルシスへと導かれる。全3曲で63分、そのアート感覚も湛えた激重の旅路はcorruptedにしか成し得ないこと。絶望、悲哀、孤独、憂鬱、恐怖・・・そういったたくさんの感情の渦巻きから昂揚、感動へと至るドラマティックな構成は本作において一つの到達点にまで達したと言っていいだろう。孤高のヘヴィ・ミュージックはあらゆる概念を越えて、人間の深い部分に圧し掛かってくる。アンダーグランドな場所で切磋琢磨し続け、自らの音楽を力強く昇華させていく姿勢が『El Mundo Frio』をも超越しようとせんこの秀作を生んだ。

 Reports from the Threshold of Death

 第4位 Junius 『Reports From the Threshold of Death』

ボストンのオルタナティヴ・ロックバンドの2年ぶりとなる2ndアルバム。全10曲から成る本作は“死後の魂の旅”をメインテーマに据えたコンセプチュアルな作品となっており、ローリングストーン誌において『NeurosisとThe Smiths のハイブリッド、美とブルータリティの完璧な融合』と評されるほどのドラマティックなサウンドが特徴的。 美的感覚をさらに磨き、知性と技術を最大限に結集して制作した本作における重低音とリリカルさの融合の極みは、Jesuに最も接近する安息と恍惚をもたらしている。Hydra Headのポストメタル勢に通ずる重みとアート性の高さを完備し、豊かな叙情性と宝石のようなメロディ、そしてエモーショナルな唄を見事なまでに結晶化した物語は胸の奥の奥までも強く打つ。時にメランコリックに、時に重く突き抜けるそのサウンドはとても起伏豊かで、”死後の魂の旅”を余りにも感傷的かつ耽美に奏でる彼等の創造性にはただただ驚くばかりだ。彼等の描き出すヴィジョンは果てしない。そして、美しい。

Deer Twillight

第3位 Cold Body Radiation 『Deer Twillight』

オランダのMなる人物による独りポスト・ブラックメタル・プロジェクトの2ndアルバム。アトモスフェリックで浮遊感のある神秘的な音像にブラックメタルの狂性が雪崩込んだ前作から、一気にポストロック/シューゲイザー方面に振りきれた本作は、Alcest以降のポスト・ブラック界隈では個人的にめちゃくちゃグッと来た作品だ。メランコリックな美しさを甘く儚く響かせ、シューゲ・ライクな轟音ギターが幻想世界へと連れて行く。ブラックメタル要素は2%ぐらいあるけども”強”のアクセントという領域で抑えている印象で、Slowdiveを思わせるゆっくりと堕ちていくような感覚から、Alcestのようなノスタルジックな慈愛と優しさも備わっている。それでも清冽とした美しさを放つものの、寒々しさや儚さを感じさせる辺りはブラックメタルらしい感触。己の叙情感覚を研ぎ澄ませることで極限までメロウに昇華された本作は、幅広いジャンルに揺さぶりをかける名作に仕上がっている。

Deep Politics

第2位 Grails 『Deep Politics』
 
前作同様にTemporary Residenceからリリースされた7thフルアルバム。新たにストリングスの作曲家を迎え入れて制作された物語性の高いインストゥルメンタル・ミュージック。妖しくダークな感性とオリエンタルな艶めきを有しながら、音の選び方や意匠に工夫を凝らす事で計り知れない世界の奥行きや刹那の緊張感をもたらしている。オルタナ、ドローン、ポストロックといった表現以上の拡がりと深さを内包した独自の造形物を組み立ててきたこれまでから、さらに70年代のプログレやクラシック、ジャズに現代音楽まで数多くの要素が理想的な形で楽曲に寄与されている印象。個人的にはEarthがシーンに復帰して以降に奏でている音楽の先をこのGrailsが奏でているような気さえしている。かくも残酷でありながらも幻想的な美しさを見事に醸し出すこの巧緻な構成は彼等の成せる魔術という他ない。豊穣な音の結晶体による不思議な濃密さと詩情たっぷりの物語性は深淵たる異界への扉となりうるはず。2011年の重要盤の一枚。

Lapsus

第1位 Light Bearer 『Lapsus』

UKのネオクラスト/ポストハードコア・バンド、Fall Of Efrafaのメンバーが中心になって結成された新バンドの1stフル。前進バンドの核を受け継ぎ、哲学的で深遠なる世界観はさらに深化した様相を見せる。本作を初めて聴いた時は前年のThe Oceanにも勝るとも劣らないものだった。ISIS以降のポストメタル/アトモスフェリック・スラッジを基調としつつも、禍々しいと感じるまでの激重サウンドに穏やかな旋律が舞い、天上のエモーショナルが折り重なっていく。静と動に行き来するだけの単調に陥らない多彩な表現力と独創的な展開、NeurorisとSigur Rosが手を取り合ったかのような奇跡。激しさ、美しさ、芸術性、どれもが極めて高い次元で共立し合った世界観は凄まじいという他ないだろう。ポストメタルをさらに革新させた激音の洪水は感電ものだ。奈落から天上までを行き交う極端な落差が生む壮大なスケールの楽曲は、あまりにも激しく美しくスピリチュアル。6曲60分に及ぶ壮絶な音楽体験がここに。 2011年のポストメタルは、ついにここまで来た。

==感想==

 年々、音源の購入枚数が増えている不思議さがありますが、今年も50枚選ばせて頂きました。個人的には洋楽・邦楽、そしてジャンル別に分けるのが嫌い(というか音楽として選ぶわけだから分ける必要もない)なので、2011年に発売された音源のなから聴いたものをランキングしてます。これは変わってないし、選出傾向も変わってないです。上位の方は個人的な好みがかなり反映される感じに。

 その中でも一位に選出したLight Bearer『Lapsus』は、前身バンドのFall Of Efrafaをさらに深化させた哲学的で深遠な音像に悶絶。NeurosisとSigur Rosが手を取り合う神秘(これは俺が言いだしたことだと思うんだけど・・・)に心の底から震えを覚えた。音源の入手はなかなかに難しいが(密林のMP3等では買えます)、2011年におけるポストメタルの決定打という内容に仕上がっているので是非ともチェックして欲しい逸品だ。また、2位のGrailsは上半期BESTでもその素晴らしさを述べたが、奥ゆかしいドローン音響~薄闇のサウンドトラック的な作品にかなり惹かれましたね。そして、3位のCold Body Radiationはこの順位にした事に黒い人達に怒られそうな気がしないでもないですが、叙情的な感性を強めて一気にポストロック~シューゲイザー方面に振り切れた涙の作品として個人的には評価したい。こちらもあまり取り扱いが無く、入手は今のところユニオンぐらいしかないですけども。

 それ以下は順位通りだと思っていただければ。ただ、順位通りのようでこれは結構その時の聴き具合というか、印象にもよる。挙げなかった作品に急にハマって後悔したりするってことも多々ありますので、難しい所です。参考になるかはわかりませんが、今回のベストアルバム50が新しい発見につながれば、こちらとしては嬉しい。

Lichtlaerm/Minus.Mensch A Young Persons Guide Sugar Daddy Live Live at the Aragon NISENNENMONDAI LIVE!!!

 上記の作品は編集盤とかライヴアルバムで良かったもの(Tokyo Jupiterコンピは別枠という形で紹介)。AlpinistはEP2枚を合わせたものなんですが問答無用のバイオレンスな激情を轟かせており、凄まじかった。Mark McGuireのこの作品は上半期BESTに挙げましたが、こちらもチェック必至でしょう。上記右の3枚がライヴ盤から。Melvins、Mastodon、にせんねんもんだい。いずれもがバンドとしての資質を発揮したライヴ作品だったように思います。


2011年BEST LIVE10選 + @

110227_1707~0001

■ 02/27 I’LL BE YOUR MIRROR(GY!BE他) @ 新木場STADIO COAST
■ 03/10 Extreme the DOJO Vol.26(Melvins,High On Fire) @ 名古屋クラブクアトロ
■ 05/26 いいにおいのするノワール(Matt Elliott / The Third Eye Foundation) @ 新栄VIO
■ 07/31 envy @ FUJI ROCK FESTIVAL ’11
■ 09/04 leave them all behind(Boris, envy, MONO) @ 渋谷O-EAST
■ 10/14 James Blake @ 名古屋クラブクアトロ
■ 10/21 SIAM SHADE @ さいたまスーパーアリーナ
■ 11/09 Mutemath @ 名古屋クラブクアトロ
■ 11/24 Mogwai @ 名古屋クラブクアトロ
■ 12/06 The Haunted / Ihsahn / Leprous @ 名古屋クラブクアトロ

■ 01/21 Deerhunter & OGRE YOU ASSHOLE @ 名古屋クラブクアトロ
■ 02/18 Foals & Holyfuck @ 名古屋クラブクアトロ
■ 05/05 Celeste / heaven in her arms他 @ 名古屋HUCK FINN

 まず、3.11をきっかけにした多くの方々の復興への尽力には大変頭が下がる思いだ。人の心に影を落とす中で、その音色、その公演の1回が救いとなる。それがきっかけで生まれた4年ぶりとなるSIAM SHADEの公演は、青春時代の一ページに刻む僕としては大変嬉しかったし、公演内容も1日限りの結成とは思えない力強くアグレッシヴなもので驚かされた。彼等の漢としての生きざまを見たというか、そんな素晴らしい時間が刻まれて感動的だったと言える。そして、特に昂揚させられたのがフジロックで見たenvyだ。これまで何度となく彼等を見てきている自分だが、オープニング・ゲストの奥貫薫が魔法をかけてからの静と動のダイナミクス、激情を超える激情ハードコアの嵐は見る者を圧倒。今まで見てきたenvyの中でも一番凄いと胸を張って言えるほどにそのパフォーマンスは強烈だった。それに関連しての第2回 leave them all behindはenvy, MONO, Borisという日本が世界に誇るバンドが名を連ねており、高い次元での音共鳴は玄人をも唸る納得のイベントだった。世界と戦う音の強さ・個性を感じ取った人も多いだろう。

 3.11という時を不遇にも日本で過ごしたMelvinsとHigh On Fireが出演したEXTREME THE DOJO VOL.26もまさにこの手のファンが待望したものだろう。大惨事が起きた日ということで、思い出すとどうしても複雑な想いに駆られるのだが、Melvinsが誇るアンサンブルとヘヴィロックの轟きは流石という他なかった。そして、I’ll Be Your MirrorにおけるGodspeed You Black Emperorという奇跡も一生忘れないだろう。終末から一筋の光を頼りにして希望へと向かっていくあの音物語は、体験するとやはり格別のものがあった。また、James Blakeはその異質な輝きがフロックで無い事をライヴでも証明。びりっと震動するほどの重低音と浮遊する美しい声で紡ぐ世界に新しきを垣間見た。こちらも奇跡の来日、Matt Elliottは闇音楽の造形者としてソロとThe Third Eye Foundationで会場を圧倒したが、終演後に写真を一緒に撮ってくれるなど凄くフレンドリーな人だったのが印象に残っていたりする。

 他は上記の順位通りだが、挙げてない中にも紹介したいライヴは多々あるのでそれはレポを見ていただけたらと思う。直近だとやっぱりThe HauntedとIhsahnが貫禄を示していた。Mogwaiの大轟音が年末に来てようやくわたくしの轟音感度に触れるレベルだったので満足し、Album Leafで感動した。今年も何回も東京まで足を運び、京都と当然の新潟へも行った。来年はどうなるかまるでわからないが、今年以上に現場に赴いて生の音を浴びて感動したいですね。まずは凄く待望してた来日、Nadjaが1月2月の寒気を吹き飛ばす大轟音ノイズで時空を塗り替える事でしょう。楽しみです。


2011年 旧作BEST10

Inle The Underdark lachambre PYRAMIDS with NADJA The Hemophiliac Dream

CERULEAN Imaginary Country lemniscate Islands on the Ocean of the Mind Summit

 2011年に聴いた2010年以前に発売されたアルバムを10枚選出(番号はついていますが、順位ではないです)。左上から右に向かって、順に紹介しますと・・・。

01. Fall Of Efrafa『Inle』
02. Funeral Diner『Underdark』
03. Gantz『La Chambre Des Morts』     
04. Pyramids With Nadja『s.t.』
05. 5ive『The Hemophiliac Dream』     
06. Bath『Cerulean』
07. Tim Hecker『An Imaginary Country』     
08. Jesus Fever『lemniscate』
09. Sugar Plum Ferry『Islands on the Oceanof the Mind』     
10. Thou『Summit』

 上半期BESTで挙げるのを完全に忘れていた10.Thouを含めてこんな感じ。まあ、買ったのに聴くの遅れてようやく最近みたいなことは結構ある(苦笑)。なるべく消化していきたいが新譜中心に回しているのでその辺はご勘弁を。

 感想を少々述べると、1は今年のBESTにも挙げたLight Bearerの前進バンド。アンダーグラウンドでは大きな支持を得たネオクラスト・激情ポストメタル系バンドで、僕はLight Bearerと同時期に入手してその音塊の凄さに驚いた。2も激情ハードコアでは有名なFuneral Dinerの名盤。3.Gantzも遅まきながら知りましたが、envyばりの壮大な激情ハードコアで聴くたびに胸が熱くなる1枚、既に解散してしまっているのが惜しい。4.Pyramids With Nadjaは今年に入ってようやく入手しましたが、轟音」ノイズ+ブラックメタルの親和がなかなかに印象的。そして、5iveも本年は2作品を購入しましたが、こちらのEPにおける”Mogwai meets Sludge”の大爆撃は全身が痺れた痺れた。

 6.Bathは聴いてると凄い心地よくなるビートにやられ(この前のDommuneも良かった)、Tim Hecker先生は流石の仕事ぶり。京都が誇る孤高のバンド(既に解散)のJesus Feverの編集盤もまた聴いてるとたそがれた哀愁と不思議と引き込まれていくギターサウンドが印象的であった。9.Sugar Plum Ferryは台湾のインスト・ポストロックの第一人者といえる存在で、今年のフジロックで拝見しましたが凄い良かったのでこちらでも紹介。まあ、10.Thouはアメリカ・ルイジアナの激スラッジ・バンドでSF Sludgeというヘヴィ・ミュージックの海外ブログ?で昨年のベストアルバムに挙げられてたので、聴いてみたら完璧に叩きのめされた作品でした。気になる方はチェックを。


2011年を振り返り・・・

 今年は東日本大震災という大変な出来事が日本に影を落とした。個人的に想う事もあって、サイト内ではできる限りその件に関しては書くつもりはない。ただ、貴重な時間を削って幣サイトを訪れた人々が、何かしら有益になるようなことができれば、幸いだと常々思っている。今年に関して言えば、ここを読んでいる時は時間を忘れる事が出来るような、そんな時間が提供できたのであればよかったのかなと。

 それで今年でこのサイトをやり始めて丸8年。いつもレビューとライヴ・レポートだけを粛々とこなすような感じでしたが、なんとか新しい事に挑戦したい、そしてこのレーベルを絶対に紹介したいという強い想いからTokyo Jupiter Records大特集に繋がり、初めてのインタビュー(といってもメール・インタビュー)にも挑んだ。これがそれなりに反響もあったし、まさかのコラボレーションという形にも発展したしで、個人的には大いに勉強になってありがたいことであった。もちろん、最初はあれほどのものになるとは全く考えていなかったが、オーナーの素晴らしい協力があってとてもいい形で特集を提供できたと思う。今後も機会があればこういった事に挑戦していきたい。

 いよいよ来年で幣サイトは9年目に突入する。とりあえず今のところは続ける予定ですが、どうなっていくかはわからない。でも10年は目指したいとは思ってる。そこまでなんとか続けていきたいし、その想いは強い。一回やめて3カ月で戻ってきてるしね(苦笑)。まあ、こんなサイトですが今後もお付き合いいただける方は、よろしくお願いします。

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