AWAやLINE MUSICがスタートし、Apple Musicも始動準備中(記事執筆/掲載時点)と日本の音楽市場/事情が新たな局面に突入していきそうな2015年6月。みなさん、いかがお過ごしでしょうか。巷ではいろいろと言われているわけですが、こういった新しいサービスで音楽こじらせ若者が増えれば良いじゃないかと単純に考えております。結局、増えないだろうなあとも思ってますが(苦笑)。
そういった前置きを珍しく入れつつ、オールスター感謝祭ばりの恒例行事であるベストアルバムを発表するゲーム上半期編に弊サイトも参加させていただきます。長めの記事になりますけど、よろしくお願いします。
‐‐‐ 2015年上半期BEST SONG10 ‐‐‐
2015年になって発表された楽曲から10曲を選出しております。後述する上半期ベストアルバム以外から選んでおります。
■ ATLANTIS AIRPORT「光と影の間」
マスポップ・ファンタジー便。またこの航空会社を利用したくなる変則的で綺麗な曲。
■ BABYMETAL「Road of Resistance」
BABYMETALとDragonforceのフュージョン。超メロスッピやねん。それが僕らのResistance。
■ Boris「キルミスター」
o(@.@)o ナンジャコリャ!! こんなのズルいよ!!
■ BiSH「Story Brighter」
裏方強くてニューゲーム開始。舌の根も乾かぬうちにBiSの二番煎じのBiSHなわけですが、曲はやっぱりいいです。この曲はBiSH版レリビ的な立ち位置になっていきそうで、一番好きですね。とりあえずハグ・ミィさんがcali≠gariやdeadman、蜉蝣が好きというこちら側の人間だったので、推していかなければという衝動に駆られる。一番最初にライブハウスに行ったのがDIR EN GREYって完全にこの子にイケナイ闇がチラつく、うう・・・。
■ Godspeed You! Black Emperor「Piss Crowns Are Trebled」
アルバムはこれまでよりもアレだった印象を受けたけど、この曲は「ザ・ゴッドスピード・ユー! ブラック・エンペラー」って感じの大曲。どこまでもゴッスピしてます。
■ Heliostrope「Struggle a Flow of Red River」
名古屋のポストハードコア・バンドの初の流通音源である6曲入りEP。envy~heaven in her arms的な流れをよりポストロック方面に落とし込んだ彼等の真骨頂が表れた1曲。子守唄の如き優しさとリリカルなラストに感動します。
■ none but air[at the vanishing point]「六月、雨と相反する」
京都のオーケストラル・ハードコア・バンドの1st EPより。”激情系ハードコア meets Virgin Babylon Records”的な楽曲であり、ストリングスのアレンジを前面に出しながらドラマティックに仕上げた佳曲。進撃の巨人の戦闘シーンなんかに流れてても違和感ないかもしれない。隠せぬ厨二病感は、heaven in her arms譲りか。
■ ONE OK ROCK「Cry out」
オープニングアクト一般公募の件でさらにアンチが増えた感じするけど、若者の支持は揺るぎないワンオクの最新作より。アルバム重ねるごとにアメリカナイズド~洋楽既聴感が増しているのは否めないけど、この曲はエモ過ぎて胸が熱くなる。MVのウォーターTAKAは、山田孝之よりこのCMに適任。
■ Refused「Elektra」
スウェーデンのハードコア・バンドの17年ぶりの復活作より。発売日前(執筆&記事公開時)ではございますが、この曲は血の通い過ぎたハードコアで凄くカッコいい。フジロック’12でのホワイトステージでの熱演を思い出します。
■ ゴールデンボンバー「欲望の歌」
Rhapsody(of Fireじゃない頃)とB’zのウルトラソウルの掛け声「Hi!」をパロった感じの超メロスピ曲。「デスメンタル」に続いてヘドバンにて連載中の「教頭先生のはぐれメタル・ハンター」のコーナーに載る日も近い(デスメンタルは、Vol.5に掲載)。とにかくインパクト強すぎて、やたらリピートしてしまうぐらいに好きです(笑)。
‐‐‐ 2015年上半期BEST ALBUMS 12 ‐‐‐
続いてアルバム編。2015年上半期までに発表された作品の中で、個人的に気に入った作品を12枚選出しています。
■ Archivist 『Archivist』
Light BearerのAlex CFを中心とした6人組の1stフルアルバム。例外なくコンセプチュアルなバンドの模様でございますが、Deafheaven『Sunbather』への意識が強いブラックゲイズ~ポストブラックメタル的な要素を押し出して、Light Bearerと違う地平を開拓。しかし、開拓心が強すぎて一番重要なLight Bearerが解散してしまったという・・・(ここで頭抱える)。Alexが完璧主義者すぎるんだ、きっと。目の前で下ネタ言ったら殴られそう(苦笑)。聖書片手に6時間ぐらい説教されそう。
Best Track #3.Dreaming Under
■ bacho『最高神記憶』
足掛け13年の魂のハードコア。とにかく泥臭く不器用だけれども現実に歯を食いしばり、踏ん張って生きていく。その強い想いを宿した1stアルバム。詞やメロディを通じて、リスナー自身も自問自答して奮い立たせられる作品になっており、聴く度に熱くなれるのも良いです。老若男女問わず、とにかく聴いて欲しい。毎日に喝を、そして最高の新記憶を。ちなみにカラオケで「これでいいのだ」が歌えます。しかも期間限定で本人映像みたいです(実際の映像の確認はしていませんが)。
Best Track #6. 落葉(flashback)
■ cali≠gari『12』
昨年に武井誠の衝撃の脱退があり、第8期として再始動したcali≠gariの3年ぶりのフルアルバム。1曲目の冒頭から「死ねばいいのに~♪」と歌っているけど、メジャー発売である(笑)。80’sを手引にしてJ-POPとニューウェイヴをグラマラスかつエッジィに昇華するエンターテイメントの痛快さ、そしてアダルト・ヴィジュアル系の側面を強化した充実作。全国ツアー『セックスと嘘とライヴハウス』も楽しかった。
Best Track #6. ギムレットには早すぎる
■ envy『Atheist’s Cornea』
激情系ハードコアとポストロックの錬金、「繰り返す このエンヴィズム」の集大成。20年を超えるキャリアの全てが詰まった力作。特に「Two Isolated Souls」がそれを体現した曲になっている。シーンの最前線に立ち続けるハードコアおじさん達の凄みが存分の堪能できることでしょう。
Best Track #7. Two Isolated Souls
■ FRUITPOCHETTE『The Crest Of Evil』
みかん県からのエヒメタル・レジスタンス。KAWAii要素をあんまり搭載してないけど、ピッコピコ北欧メロデスを主体にして激しく蹴散らす、蹴散らす。さらにクサすぎて消臭力が必要なぐらいにメタルな曲もある。とりあえず、気になった方は#2「蒼天-Paradox-」を聴いてみましょう。拳を振りあげたくなりますよ。Marunouchi Muzik Magazineさんのインタビューもどうぞ。
Best Track #8. 闇-Happiness-
■ IZAH『Sistere』
オランダのアトモスフェリック・スラッジ/ポストメタル6人組の1st。全4曲全てが10分超えと敷居が高い本作ですが、この手のバンドには相応しい長編物語が繰り広げられる。極悪と極美で綴るの約72分、初聴時のインパクトはずば抜けています。約31分に及ぶ#4「Sistere」は、Cult Of LunaとAltar of Plagueがタッグを組んだかのよう。
Best Track #4. Sistere
■ METZ『Ⅱ』
カナダ・トロントのオルタナティヴ・スリーピースの2ndアルバム。本作で初めて聴いたけど、凶暴な喧騒とアクセルをかなり踏み込んだスピード感がとにかく良い。かつてのSub Popを蘇らせたかのようなグランジ~オルタナ系の爆音疾走サウンドは、刺さる人が多いはず。またライヴ映像を見ると、文系青年たちのヤケクソ感が強いのがおもしろかったりする(笑)。勢いって大事やんみたいな。
Best Track #2. The Swimmer
■ Mew『+-』
デンマーク・コペンハーゲンの4人組による5年半ぶりの6thアルバム。氷のオブジェのような澄んだ透明感と芸術性を備えた音楽性、それにメインストリームを走れるポップ性と温かさを備えていて素敵。10分を超える大曲#9「Rows」なんてこのバンドでしか成し得ない曲でしょう。聴けば聴くほど深みにハマる清く美しい作品。
Best Track #9. Rows
■ NETWORKS『Dynamic Nature』
ガットギター、シンセ、ドラムの編成による変拍子多用の人力ミニマル・ミュージック・トリオの5年ぶりとなる2ndアルバム。2010年発売の前作は、個人的ベストアルバム第3位に選出するぐらい素晴らしかったですが、本作も素晴らしい。心も体も弾むこの変拍子パラレルワールドは、全世界全宇宙において無敵。なかでもPhoenix + Energyからタイトルがきている#2「Phoenergy」が最高すぎる。駆け込み乗車で乗れなかった時の恥ずかしさも吹き飛ぶ。
Best Track #2. Phoenergy
■ sukekiyo『VITIUM』
異常・変態・怪奇・浄化・転変・哀愁・魔性・歌謡・眩惑・美麗・妙味・救済・京・京・京
Best Track #9. focus
■ SUMAC『The Deal』
今となっては世界的NGワードを冠したバンドを動かしていたアーロン・ターナー先生の新バンド。初期◯SIS(the Band)を思わせる殺伐とした重量級スラッジ・サウンドは、twitterやinstagramにラーメン画像ばかり乗せるバンドマンへ鉄槌を下すかの如き。今なおヘヴィロック求道者の旅が終わってない事を証明した一作。もはやモグワイを超える頻度で来日するアーロン先生は、本作を携えて9月にSUMACを日本で轟かせます。
Best Track #3. Hollow King
■ Viet Cong『Viet Cong』
元Womenのメンバーを中心に結成されたバンドの1stフルアルバム。以前にはBauhausのカバー曲を発表したりしてる模様ですが、本作はゴシック~ポストパンクを核にして、影が追いかけてくるようなダークな質感を重視した印象で痺れます。7曲37分かけて広がるモノクロームのお花畑。
Best Track #6. Silhouettes
‐‐‐ 2015上半期BEST LIVE 5選 ‐‐‐
(注:写真とライヴ内容は一切関係がありませんと思ったけど、セーラー服おじさんはたまアリにいた)
■ 01/10 BABYMETAL @ さいたまスーパーアリーナ
もうどこまで征服していくのか予想できないほどの快進撃で、世界はベビメタに首ったけ。笑顔で一緒に写真撮るメタル偉人達も増え続けており、もはや彼女達と写真を撮るのがひとつのステータスになっている(笑)。え、ライヴですか?過去最大キャパを制圧するプロフェッショナルなパフォーマンスにやっぱり感動しましたよ。
■ 01/30 sukekiyo & HEAD PHONES PRESIDENT @ 名古屋E.L.L.
両者が繊細かつ暴力的に奏でた世界は確実に人々を魅了するステージでございました。声を操る人間として格別の存在感を誇る京とAnza。性別の違いを超えて共振する2人の表現者を軸に展開した濃厚な2本の映画、演劇が立て続けに上映された気分。贅沢な共演に感謝したいです。
■ 02/19 Mineral @ 名古屋TIGHT ROPE
麦茶でもない、ウォーターでもない、伝説のエモおっさん襲来!ということで、各地軒並みソールドアウト。酒をまき散らすとんでもなく迷惑な客がおりましたが(激おこ)、あの当時からさらに熟成したエモや人間臭さが感じられて涙。 特別なスープじゃなくても、格別にあったかい愛とエモのステージでありました。
名古屋ワンマンが標高2000mでやってるのかと思うぐらいに酸素薄くて熱いライヴございましたが、大御所を引き入れての最大21人にも及んだバンド編成の赤坂BLITZ公演は、今まで体験したこと無い世界が広がっておりました。音楽の魅せ方、楽しさを改めて再認識させられるような感覚。彼女達は本当におもしろい存在ですね。ライヴのキャパシティや音源の売上の増加に伴って、メンバーの子達がKAWAikuなっているのも見逃せない。朗報としては、ototoyさんで本公演がハイレゾで配信中。
■ 06/20 The Body & Vampillia @ 名古屋Lounge Vio
たるみきった体と後退しきった髪の毛を生贄にして奏でるろくでなしな轟音。綺麗からは程遠いエグイ音、そして悪意がこもりまくっててヤバかった。久しぶりに観たVampilliaも相変わらずバカやってておもしろかった。
‐‐‐ 2015年上半期アクセス・ランキング TOP10 ‐‐‐
一応、上半期の弊サイトのアクセスの高かった記事も掲載しておきます。ご参考までに。
01位 個人的ポストメタル探求 ~重厚かつ芸術的な世界~
02位 年間BEST 2014
03位 90’s EMOを巡る旅
04位 DIR EN GREY ‐‐Review‐‐
05位 BiS 解散LIVE「BiSなりの武道館〜騙された気分はどうだい?〜」@ 横浜アリーナ
06位 尾張激情戦線 Heliostrope ‐ インタビュー
07位 ((((( 轟音巡礼 )))))
08位 ゆらめく花束は黒い百合 黒百合少女隊 – インタビュー
09位 BABYMETAL ‐‐Review‐‐
10位 Tokyo Jupiter Recordsの核心に迫る
‐‐‐ 2015年上半期を振り返って‐‐‐
夢の中でアニマル浜口に「気合だ!」とうなされるので、とりあえず続いています。見捨てずに弊サイトを訪れていただける方々に感謝。
さて上半期でありますが、2本のインタビューをお届けすることができました。名古屋のポストハードコア・バンドのHeliostrope、そして新興アイドルグループの黒百合少女隊(のプロデューサーの方)。両者ともに名古屋を中心に活動しているわけですが、長年サイトをやっているのに地元の方に話を聞くのは初めてという(笑)。微力ではありますが、これが活性化につながり、羽ばたいていってくれればなあと思います。黒百合少女隊はいきなりメンバー2名脱退という大ハプニングがあったわけですが(汗)、新メンバーの方が加入されたので今後に期待。
・Heliostrope ~尾張激情戦線~
・黒百合少女隊 ~ゆらめく花束は黒い百合~
予告しておきますと、7月には京都のオーケストラルハードコア・バンド、none but air[at the vanishing point]のインタビューをお届けできると思います。下半期はこれをまず楽しみにしておいて下さい。本当はもっとインタビューをやっていきたいという気持ちはあるのですが、お声掛けする勇気を持てない辺りがわたくしのダメな性格でありまして。がんばろう、声掛けよう(ナンパかよw)
あとは継続的に更新できるように励みます。Light Bearerの解散にかなりガックリきてしまったけど、うちは続けるぞ。ちなみに今年一番笑ったのは、「チーム有吉 〇〇したら即引退スペシャル」にて、猫の鳴き声物真似に反応してクロちゃんがお茶を飲むシーン。
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