2010/09/04 【METAMORPHOSE 2010】 @ 静岡・自転車の国 サイクルスポーツセンター

metamo2010

 今年で10年という節目を迎える日本最大のオールナイト野外ミュージックフェスティバルであるメタモルフォーゼ。10周年となるこの年は、モグワイを始めとして(ちなみに去年はタンジェリン・ドリームやプレフューズやムーディーマンなんかが出てた)、アルバム・リーフや65daysofstaticと いった俺好みのポストロック勢が多めに出演していたので、今回初めて足をのばしてみることにした。フェスは4月のKAIKOO、7月のフジロックに続いて 今年3本目なんだけど、モグワイなどなどが出ることを考えると、実は一番楽しみにしていたフェスであったり。けれど、チケット代の12500円は許容範囲 であるが、調べてみてもイマイチよくわからない伊豆の自転車の国は、行く気力を萎えさせるには十分な場所にあって、これだけが唯一のネックだった。あと オールナイトというのも少し引け目を感じたりも。っが、これはやはり行かなきゃ絶対に後悔するだろう!!というメンツが揃っていたので(しかも出演者がそ れぞれ結構長い時間演奏してくれる)、心折れずにがんばって行ってみたのだった。

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 昼過ぎに愛知県から車で伊豆の自転車の国へと向かったのだが、到着するのが予想以上に遅れてしまい(伊豆に入ってから混んでたなあ)、結局19時過ぎに 会場入り。18時からスタートしてたnujabesトリビュートやトミー・ゲレロは完全スルーになってしまったのがまず悔やまれる事項のひとつになってし まったが、まあ、朝まであることを考えると諦めもつきやすい。というわけで気持ちを切り替えて、オマーが始まるまで時間があったので周辺を物色するこに。 しかしながら、予想以上に視界が暗いので歩くのも少し苦労してしまう(ただ、足元は舗装されている場所が多くてそんなに問題はない)。そういうこともあっ てか、メインのソーラーステージ以外は行くこともなくその周辺だけしかチェックせず。けれども光を使ったイルミネーションは素晴らしく、見る者の目や感性 を鮮やかに奪う美しさがあった。そんな中でフジほどではないがいろいろ屋台もあったわけだけど、朝までメシは取ることなく水とレッドブルで夜を過ごしてい た(笑)。

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 オフィシャル・グッズもこの間に購入。オフィシャル・グッズのデザインがとてもよくて、右のシャツは普段着まくりそうです。去年のサマソニのオフィシャ ルTシャツもよく着ておりますが。期待していたモグワイのTシャツは相変わらずのダサさで(苦笑)、買うに至りませんでした。七尾旅人のシャツは凄い人気 があったかな、トミー・ゲレロも僕が酔っていたときは売れてた印象を持っている。近くにはユニオンやHMVのブースもあってちらちら覗きましたけど、こち らは買うには至らず。でも両ブースともいいものを揃えていた気がする。そうこうしているうちにライヴも近づいてきたのでステージの方へ移動して待機するこ とに。

Octopus Kool Aid Cryptomnesia Telesterion

■ Omar Rodriguez Lopez Group 19:40-21:13

 先月のフジロック・フェスティヴァルではVato Negroのサポートという形で苗場に降臨していたオマー・ロドリゲスが今度は、伊豆に襲来。予想通りというか、予想以上に幾何学模様を描くような演奏と 世界に酔いしれることのできるステージをオマーは存分に見せてくれた。自身は中央後方に位置して、円を造るようにドラム、ベース、キーボードなどのサポー トメンバーが配置される布陣でライヴはスタート。

 んで、1曲目から代名詞ともいえるバカテクの応酬(特にドラムのキレっぷりと正確性は半端ない)、パン ク、ハードコア、オルタナ、プログレがごった煮された狂騒を奏で、異次元を築き上げていく。そういった素養を軸足に据えつつも、このソロがちょっと違うの は電子音が執拗に絡んでくるところだったり、ミニマルな展開が多かったり、ヴォーカルがなかったりすることなんだけど、総じてこちらの方が麗しいイメージ を植え付けられると思う。Mars Voltaの複雑怪奇な展開と扇情的な畳みかけにはない、しなやかなグルーヴの心地よさがなんともいえない余韻をもたらしてくれていた。

 途中からは、ソウ ル系の美しい女性ヴォーカルが加わって、ソウルフルで温かみのある歌声とダブにも近いゆるいグルーヴが会場を席巻。太宰治にインスパイアされたというゆる くグルーヴィな曲も気持ちよく、ラストに演奏された火花を散らすミニマル・インストも今聴いても思い出せるほどの強烈なイメージを焼きつけている。オマー の脳内宇宙が具現化されるエクスペリメンタルなステージは特殊なキラメキを放っていたのは事実だろう。素晴らしい1時間半のステージだった。曲が終わるご とに最初の方では毎回毎回、通訳を呼んで話をしていたのがおもしろくて、『毎月、日本にきたい』とか言ってて凄く笑顔を誘われたのもよかった(通訳のたど たどしい日本語もナイス)。

Blackouts Inventions For Electric Guitar E2-E4

■ Manuel Gottsching, performs “more INVENTIONS FOR ELECTRIC GUITAR” with Steve Hillage, Elliott Sharp & Zhang Shouwang. 21:55-23:00

 ASH RA TEMPELでキャリアをスタートさせたジャーマン・ロックの重鎮であり、テクノ・ミュージックの勃興や発展にも貢献した超名盤『E2-E4』の生みの親 であるマニュエル・ゲッチング先生とその他、ジャーマン・ロックの著名人たちの1時間強のステージも圧巻だった。06年には『E2-E4』の完全再現も果 たしているのだが、今回はASH RA TEMPELの6枚目の作品である『Inventions For Electric Guitar』の完全再現になる。これがまた、4本のギターが綿密に精巧に神話を奏でているかのような凄まじさで、実に美しく幽玄に響く音色に心身は完全 に陶酔しきってしまった。

 『E2-E4』をSEとして登場した面々は、最初に4本のギターが緻密に役割をこなしながら精巧に重なり美しい音絵巻を綴る17 分超の序章「Echo Waves」を演奏。ゲッチング先生はこの曲では終始、立ちながら演奏していたが、その佇まいからは神々しさすら感じられる。機材もえらく凝ってんなあと いう印象。そして、音に身をゆだねているうちに次曲の「Quasarsphere」へと突入。こちらでは一転して静のベクトルへと抑性されたギターが心に さざ波のように打ち寄せる。そして、終曲の「Pluralis」では20分をかけて天空へと登りつめていくような絶頂を味わい、このまま召されてしまって もいいような感覚に堕ちていた。ミニマル・ミュージックがもたらす魔法、そして究極。藍の闇に打ち立てられた恍惚の幻想世界に人々は完全に酔いしれてい た。最後にはもう1曲サービスで演奏、あまりにも神々しいステージに音楽の深さを改めて思い知らされた次第だ。

バーニング(DVD付) Rock Action Mogwai Young Team

■ MOGWAI 23:35-00:50

 始まる前にステージ袖からこぼれてくるメンバーの笑顔やリラックスした姿を見ると、いい予感が頭の中をよぎって仕方なかったが、ヘッドライナーとして初 めてメタモに見参したこの日も貫禄のステージだった。なんだこれ、聴いたことあるようなないようなわからないままギターの美しき旋律とややポップな曲調に 引きこまれたオープニング。帰って確認するとやっぱり新曲だった(笑)。続けざまに「Hunted By A Freak」、「I’m Jim Morrison, I’m Dead」で深遠なる叙情の波紋を広げ、「Ithica 27-9」においては3分間というコンパクトな時間で圧倒的な静と動のダイナミズムで、衝撃と感動をもたらしてくれる。その後も凪いだ生みのような静寂か ら代名詞ともいえる美しい轟音を掻き鳴らす「Helicon 1」や歌入りの「Travel Is Dangerous」といった曲を挟みながらモグワイのドラマは進んでいく。ヘヴィなツインギターとベースがユニゾンし、その後は叙情的に開けていく新曲 も披露され、その体験も含めて遠くまで見に来た甲斐があったと早くも身に染みて感じていた。一部で報道があった通りに来年頭に新作をリリースする予定らし く、すぐにまた日本へもどってくるよ!みたいなことをMCでいっていたのも記憶に残っている。

 そして、いよいよライヴはラストへ。鍵盤の麗しい旋律がリードする「Friend of The Night」に続いて、お待ちかねのあの曲がお目見え。そう、モグワイとしての存在意義を改めて打ち立てるかのような必殺の「Mogwai Fear Satan」。圧巻すぎて意識が別世界へ行った、、あの時間は”神がもたらした奇跡” そんな気さえしてくる。究極の次元でぶつかり合って結晶化する5人の音、慎ましい静寂を切り裂く圧倒的な轟の波動と珠玉の光。3回目にしてサタンの魔力を 初体験だけど、あの瞬間のカタルシスは筆舌しがたい素晴らしさが存在するのだと改めて感じた次第。そして、まだまだ時間は残っていたのでこれは最後に 「My Father My King」かと大きく期待したけど、実際のラストは珍しい気もする「Glasgow Mega-Snake」で締め。とりあえず10分残してメンバーはけていく。

 規定の時間より10分残してのアンコールかー、最後は「Batcat」で締めてくれれば完璧だな!と心の中で祈ってたし、実際そうなると思ってたんだけ ど(スタッフがしばらく出てこなかったし、袖を見ると準備しているようにも見えたし)、そのまま終わっちまって実は消化不良。凄いニコニコしていたし、逆 にやらなくて不思議だった。けれども全体的には、メタモルフォーゼというフェスに合った美しくドラマティックなステージで貫禄と威厳に満ちたさすがのライ ヴを披露してくれたと思う。美しい轟音を前に、何度も何度も鳥肌が立ち、感動が全身を駆け抜けていた。うーん、でも去年のサマソニ@大阪ほどの鼓膜を破る 凄まじく強大な轟音と体の内側から細胞を木っ端みじんにしていくような恐ろしい衝撃にまでは至らずというのが本心か。それほど去年のサマソニ@大阪のモグ ワイは凄まじかったと改めて記しておきたい。しかしながら、モグワイが伊豆の闇に放った奇跡的な轟音は万人の心に荒々しい衝撃を、そしてうっとりとする恍 惚を刻んだことだろう。

-set list-
How To Be A Werewolf(新曲) / Hunted By A Freak / I’m Jim Morrison, I’m Dead / Ithica 27-9 / I Know You Are But What Am I? / You Don’t Know Jesus / New Paths To Helicon, Pt 1 / Rano Pano(新曲) / Travel Is Dangerous / Friend Of The Night / Mogwai Fear Satan / Glasgow Mega-Snake

Rediscovers The Rings Of Saturn

■ X-102 (Jeff Mills + Mad Mike) 01:30-03:05

 とりあえず、休みの時間として最初はゆっくりしていたものの10分過ぎたあたりから気になって見に行ってみたら見事に全部見てしまった。Jeff MillsとMad Mikeによるユニットだが、わたくしはJeff Millsを1枚聴いただけのニワカであるが、X-102は太くマッシヴなビートに扇動されてゆらゆらと踊れてたまらなかったなあ。奥のスクリーンには土 星を始めとして月や多くの惑星が次々と映し出され、余計に昂揚を誘っていた。X-102はどうやら宇宙からインスピレーションを受けた作品らしく、そう いった映像がふんだんに使われていたみたい。それにしてもこのときの盛り上がり具合が凄くて、本来のメタモはやっぱりこういう形なんだろうなあと感じたの だった。しかし、真夜中にこれは気持ち良すぎた。

フォーワード/リターン+トーリーズ・ディストラクション[日本盤のみ2枚組] In a Safe Place Chorus of Storytellers (Dig)

■ THE ALBUM LEAF 03:55-05:20

 ややセッティングに時間がかかって15分程押してのスタートとなったアルバム・リーフ。トレードマークの葉っぱの映像が流れ、「Until The Last」から始まったこの日のライヴも基本的には、4月の単独ツアーの時のような構成で、ジミー・ラヴェル&その御一行様とVJが美しい桃源郷を造りあ げていく。ただ、その時との違ってギターの人が今回はいなくて、ステージ上はさみしく4人。とはいえ、ジミー・ラヴェルの麗しい鍵盤の旋律と淡い歌声、ストリングスの厳かな振動、ベースとドラムの意外にマッシヴなリズムという幹は揺るがない。それらが優しく絡み合いながら澄んだメロディを紡ぎだし、儚いサ ウンドスケープへと昇華。

 時に郷愁を、時に旅情を、時に慈愛を聴き手にとどけてくれる。世界観に儚い重みを加えていくVJももちろん感動的で、楽譜や飛行 機や車、爪にマニキュアを塗るシーンや女性が光に包まれているシーンなど様々なものが映し出されていた。五感で聴く&感じる音楽、アルバム・リーフのライ ヴはまさしくそういった類のものなのである。夜が明け、光が徐々に差し込んでいくという絶妙なシチュエーションもまたアルバム・リーフのライヴをとても感 動的なものにしていた。特に「Always For You」にはポジティヴな躍動感と哀愁が染み込んでくるようなものを感じたし、ユニークな電子音が細やかに煌めく「Vermillion」での終わりも絶 妙。終わると完全に陽が差して、朝を迎えていたことも滋味深い。単独公演の時よりも「野外、夜から早朝」というシチュエーションがプラスに働いて、感動の 度合いはさらに深まっていたと思う。あくまで個人的な感想であるが。

One Time for All Time We Were Exploding Anyway[日本限定盤] Fall of Math

■ 65DAYSOFSTATIC 05:50-06:50

 『起きててくれてありがとう』 その言葉が早朝の体力的にキツイ時に潤いを与えてくれたことがまず記憶に残っている65のライヴ。アルバム・リーフが終 わってから、するすると前に行けたことで最前列で彼等のパフォーマンスを堪能する幸福を味わえたのだが、ライヴ自体も傑出していて、去年のサマソニ@大阪 で見たときよりも何十倍も素晴らしく感じられるものだった。キラキラと電子音が舞う中で猛烈なアンサンブルが一気に覚醒と喧騒をもたらした「Piano Fights」からスタートして、轟音人力ブレイクビーツで意識が別世界へと吹っ飛ぶ「Await Rescue」、昂揚と解放の波にただただ身を任せる「Retreat! Retreat!」という鉄板で畳みかける序盤で早くも恐ろしい興奮状態へともってかれる。

 基本的には新作である4thを中心に代表曲3曲を混ぜたセットリストだったのだが、クラブ仕様と感じた新作はライヴだと激しさとダイナミズムが半端ないレベルに引き上げられるし、人力での攻撃性と破壊力に富む。ツイ ンギターが縦横に轟音を咲かせ、鬼神のような表情と共に轟音を一段上のベクトルへ押し上げるベースと半端ない手数で先導するドラミングが容赦なく打ち込ま れ、キーボードやシーケンサーが美しい光を灯していくサウンドスケープは秀逸だった。曲によっては、ギターやベースがタムに持ち替えてタムによるリズムア タックで扇情度を高めていたし、他にも背面弾きやスティックでベース弾いたりといった魅せる場面も頻出。そんなステージ目の当たりにしたら、最前にいた俺 は全力で頭振って拳振り上げたりと体で応えるしかないでしょう。早めに「Radio Protector」が演奏されたのは意外だったけど、ドラマティックに盛り上がっていく「Debutante」、10分以上にもわたって徐々に意識が研 ぎ澄まされていく快楽のミニマル・ダンストラックの「Tiger Girl」での締めに新たな65を感じることができたように思う。本当にすんば~らしいステージは、陽光と共にメタモルフォーゼを熱く祝福するようにも感 じられたのも大変よろしい。また、単独でも見たいところだけど、今日みたいなステージの方が彼等は映えるかもね。

-set list-
Piano Fights / Await Rescue / Retreat! Retreat! / Crash Tactics / Dance Dance Dance / weak04 / Radio Protector / Mountainhead / Debutante / Tiger Girl


 この後は、昼から働かにゃならんかったので楽しみにしていたMORITZ VON OSWALD TRIOや七尾旅人を見ることなく帰宅の途へとつくことに。うーあのミニマル・ダブの心地よさや七尾の奔放なる世界を堪能できずに帰ってしまったのは残念 すぎると後悔は大きいが、65daysofstaticの朝方のライヴが素晴らしかったし、モグワイやマニュエル・ゲッチング先生にアルバム・リーフと目 的だったアーティストのステージに感動できたので、なんとか我慢した(苦笑)。伊豆の国は遠い・・・そうは感じつつも、しっかりと満足することができたの が何よりも嬉しい限り。次来るかはメンツ次第としか言いようがないけど、オールナイトの意外な心地よさや真夜中のシチュエーションで感激が増すなあという ことから、また選択肢がひとつ増えたのであった。

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SEE YOU AGAIN!! GOOD-BYE!!

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