2010/11/02 Parabolica Jam ’10 @ 名古屋クラブクアトロ

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 去年に引き続いて開催されたParabolica Jam(パラボリカ・ジャム)。昨年は、Tera Melos、Adebisi Shank、LITEをコアメンバーに東名阪で違うゲストを招いて(名古屋はtoeが出演)、各地で盛り上がりを見せたそうだ。自分も名古屋公演に足を運び、激烈マスロックにさらされ大きな興奮に導かれたのを思い出す。この公演の2週間前に行われたTera Melosにも足を運び、楽しませてもらったが本日もすきものには納得のイベントであった。ただ、客が恐ろしいぐらい少なくてびっくりしたけど。おそらく100人もいないぐらいの寂しい動員。なんだろう、名古屋にはポストロックとかマスロックの土壌が結構できあがってると思ったので(そういうバンドもお店もあるし)、この少なさにはショックを受けてしまった。そんなわけで時刻通りに開演するわけにもいかず、それでも15分押しでスタートせざるをえずといった感じでイベントはスタートする。

Goodnight Unknown Emoh

 言わずと知れたダイナソーJr.のベーシストであるルー・バーロウ、彼みたいなビッグ・ネームがいきなり先陣をきる。・・・っが多分、ステージに上がった時に思っただろう、「客いねー」ってね(笑)。結果的には彼が登場してからはフロアも見れるかたちにはなってたけど。一応、昨年のフジロックでダイナソーJr.を見ているが、ソロ名義はどうなるかと思ったてたらペイヴメントにも通じそうなローファイな感じでちょっとびびった。ルー・バーロウは基本的には歌とギターを担当(曲によってはベースも弾いてた)、それに次のmike wattからmissingmanを借りる形で、白髪のギタリスト(レッド・クレイオラに関連ある人)とそれなりに若そうなドラマーと一緒にタッグを組む形。サウンドは非常にウェットな情感に満ちていて、ルーの柔らかな歌とギターをしっとりと聴かせてくれる。力強いドラムが下地を作り、もう一本のギターは滑らかなフィーリングを加味して巧く彼をサポートしていた印象。ほっこりと温まる親しみやすい音色は、胸をじんわりと焦がしてくれてよかった。ただ、ちょっと退屈に思えたりもしたが。それでもラスト前の曲では加熱していくアンサンブルに惹かれたし、他の2人が袖に引っ込んでルー・バーロウの独演会でしみじみとした締めくくりもまた彼ならではの味があった。

ハイフンアテッド-マン

 ミニッツマンというUSハードコアのベーシストとして、数々のフォロワーを生み出した重鎮的存在のマイク・ワットだが、個人的にはよく知らないのでその辺は勘弁してほしい。形態としてはギターとドラムはルー・バーロウの時に演奏してた人と変わらずそのままで、そこにマイク・ワットがすっぽり収まる3ピース編成。しかしながら、音楽的にはこちらの方が個人的な好みに近い。雪崩のようなハードコアから今日のイベントと共振するようなマスロック、疾走感溢れるパンク、ノリノリなロックンロール、アメリカーナ的フィーリングを持った叙情的な曲、カントリー調の曲まで幅広いサウンドが重ねられていく。

 演奏も当然ながら卓越しており、変則的な展開をものともせず、強弱の付け方もまた凄く巧くて情感が一層引き立っていた。時に陽気に歌い、時には思いっきり叫び、時には消え入りそうな声で歌ったりとマイク・ワットのヴォーカルもまた素晴らしい。合間には手短なMCも入れていたが、ほぼ地続きで続いた50分。底知れぬおっさんたちのパワーを感じた次第。ちなみに全部で30曲あったらしく、1980年から活動開始して現在2010年、その30年という彼の歴史を凝縮した人間ドラマに仕立てたそうな。凝縮した気を感じられたのは彼の縮図が詰まっていたからなんだろう。。年相応の威厳と貫禄を感じ、年相応ではないエネルギーは若者の心をも揺り動かす。かっこよかったぜ、マイク・ワットは!ビールのCMにも出れるぐらいの熱量と爽快感もまたよかった。

Illuminate Turns Red EP Phantasia

 9月の『ILLUMINATE』レコ発ツアーは見に行かなかったので(DE DE MOUSEが前座だから行けばよかった)、何気にフジロック以来のLITEのライヴ。やはりいつ見ても高水準のライヴを見せてくれる、そこがまず素晴らしい。フジロックで見た時の方が感動は大きかったが、本日も「Ef」~「Human Gift」~「Tomorrow」という鉄板の流れで一気に畳みかけて狂熱を呼び、その後は『ILLUMINATE』の収録曲で広がった音色と世界観で魅せる。賛否両論もあろうが、LITEのこの進化/深化は必然だったのだ。あのアルバムを聴くたびにそんな思いに駆られる。

 入り組んだ構成ながら聴き手のイマジネーションを大きく広げていく「Image Game」、マラカス、タム等を交えた中盤の怒涛のアンサンブルにグイグイと引きこまれていく「On The Mountain Path」などの新曲群はツアーで十分に鍛えられている事が伺え、精度の高まりを如実に感じる。新曲も披露し、重厚でキレの良いサウンドの上をピアノとシンセの調べが優雅に舞っている曲で、ファンタジック・プログレというかそんな感じのものになっていた。ラストは4つ打ちっぽいリズムで持ち上げる「Infinitte Mirror」、そして壮大にシンセが泣いて美しく世界を覆っていく「1000 Million Rainbows」で締め。しっかりと場を湧かせ、Praborica Jamの牽引役としての重責を果たした見事なライヴであった。最後の方の曲ではマイク・ワットが息子達を見守るように最前で見ていたのもまた印象に残っている。

This Is the Second Album of a Band Called Adebisi アドビシ・シャンク This is the album of a band called Adebisi Shank

 ラストがAdebisi Shankってなんの間違いだよとか思ったけど、重鎮マイク・ワットの提案で持ち回り制になったらしく各地で出演順が異なるらしい(昨日の大阪はルー・バーロウがトリで、明日はLITEがトリみたい)。おおー、出た覆面!とかベーシストの姿が見えた時に必ず思ってしまうんだけど、あの精力的で猛烈なアドビシのステージはやっぱり病みつき。今日は新作の1曲目からスタートし、いきなり変則的な展開とスピーカーから溢れんばかりの爆音を放出し、会場を燃焼させていく。激しく旋回し、高速でドライヴイン。エフェクターで凄まじいノイズを吐き出したかと思うと華麗な音色で包み込んだり、テクニカルなフレーズを弾きまくったりと自由自在なギターはやはりすごい。

 お馴染みのヴォコーダのロボット・ヴォイスも忘れておらず、要所で歌を絡めていく。有り余る元気を全てパフォーマンスと音に詰め込むベースも動きまくるラインを弾き、ドラムも変拍子混じりだがそれをストレートな衝撃に昇華。これぞアドビシ!という混沌とした世界に放り投げてくれた。先月頭に出た新作は1stに比べると変化球が多い印象はあったけど、ライヴだとグンと音圧が増すことでかっこよくなってたのもよかった。ただ、1stの曲の方ががっつり盛り上がってて、「You Me」や「Colin Skehan」などの曲の揺れ具合と昂揚感は気持ちいい限り。アンコールではLITEの山本氏がドラムを務めるスペシャル編成で会場を盛り上げてくれた。あの曲やってねえとか少し思う所もあるが、そのアグレッシヴな姿勢と楽しさを存分に伝えてくるステージに満足。

 去年も今年も自分にとっては凄くいいイベントであった。だが、ここまで動員がひどいとは予想していなかったのでそれだけが残念であり、無念である。前述したとおり、名古屋はポストロックに対する土壌は既に確立されていると思っていただけに余計に。おそらく来年もParabolica Jamは開催されると思うが、名古屋飛ばしに合わないことをお願いするのみ。ホント、頼みます。

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