2011/02/27/ I’LL BE YOUR MIRROR @ 新木場STUDIO COAST

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 完全インディペントなイベントとしてアメリカ・イギリスで音楽ファンの心を掴んでいるAll Tomorrow’s Parties。ただ、これは本家のATPとは違って姉妹イベントである「I’LL BE YOUR MIRROR」というものになる。主宰者バリー・ホーガン自らが試金石と評してはいるが、彼が吟味したアーティストが並ぶという素晴らしいものであるもの に大きな変わりはない。大目玉に10何年ぶりに活動再開のGodspeed You! Black Emperorを据え、Dirty ThreeやFuck Buttonsといった力が確かなものを脇を固めて、日本からも世界で活躍するBoredomsにBorisといったメンツを揃えて隙のないラインナップ ができあがった。となると当然これは行くしかないだろ!と思って、東京まで足を運んだ。チケットも時間はかかったが(速攻で売り切れると思ってたけど)ま さかまさかのソールド・アウトを記録し、新木場駅ではチケット譲ってください難民が登場するなどのにぎわいも見せるほどであった。

 ちなみにわたくしは往復高速バスでの移動。朝8時のに乗って13時15分ぐらいに東京着いて、ユニオンを廻ってたら開演が過ぎていた(苦笑)。そして会 場の新木場STADIO COASTへはBoredomsが演奏を終える10分前ぐらいに到着。そのままバーの方をちらっと覗き、グッズも確認し終えてボアを5分だけ拝見した。そ して彼等の公演が終わって、随分と客がいなくなったのが幸いしてよく見える位置を確保(階段を上がって2段目にせりあがった所と書けばいいのか)した後は 一切動いてない。というわけで屋外にあるステージ2の灰野敬二氏、envy、MELT-BANANAはみてないのでご理解を。それに会場では一切飲まず食 わず、トイレも行かずにひたすらライヴだけみるというストイックな楽しみ方(独りで見に来た人間がやる全然推奨できないイベントの楽しみ方)で体を苛めた が、素晴らしいアクトの共演に心は充実した気持ちで満たされた。

Vision Creation Newsun チョコレート・シンセサイザー Super Are

 先陣切って登場はまさかのBOREDOMSだったのだが、わたくしの到着が遅れてしまい5分ぐらいしかみれなかった。凄い人でごった返していて、モニ ターでしか様子は拝見できなかったが、円で囲むように6台のドラムがあって、真ん中で山塚EYEがストレンジに叫びまくっていた。んで終わり。その狂騒に 放り込まれることなく、私は部外者のまま入り口付近でとどまってましたとさ。後からの感想を見てるとやはり予想通りに素晴らしかったらしく、彼等をちゃん と見なかったのはとても後悔している。ってかなんで一番最初なんだよ、こんな大御所が・・・。

DRONEVIL - FINAL - New Album boris at last-feedbacker-

 2番手は世界のBorisです、そしてエイベックスから3月にメジャーデビューが決まったBorisです(さらに4月にアルバム2枚投下)。見るのは何 気にあの恵比寿轟音祭りの”leave them all behind”以来で約2年ぶりだったんだけど、今日のBorisはそこそこといったところだったか(見るの3回目だけど)。この日も栗原ミチオ氏を含む 4人体制。1曲目が『Farewell』で大仰に幕を開け、美しく激しいギターノイズの壁をAtsuoの唄が重なり合っていくスタートはなかなか心地よ かった。続いてが新曲の「フレア」という曲だったみたいだけど、これがまた疾走系ギターロックともいうべきもので、既に業界のみなさんがいっているらし い”アニソン”仕様の曲だったがあんまり心に来るものは無かったのが本音。全然始まらないのを理由に灰野敬二氏に向かって会場を後にする人が目に付いた が、この曲でかなり減ったように見えた。

 続けざまの「Statement」は鉄板のナンバーだけど、ギターの音が彼等らしく刺さってくるような感じはしな かったのがいまいちだった点。逆に「虹が始まる時」のWataさんの淡々とした歌声と色っぽいギターで妖しげなムードをつくりろうそくの火であぶってくる ような感じを覚えたし、最後の「” “」における重厚かつサイケデリックな世界はさすがだった。開始まで30分押したのはかなり印象が悪かったと思うし、機材トラブルも起こってたけど、世界 を相手に戦う尖鋭的なサウンドの末端は示せたんではないかと思う。だが、個人的には期待ほどではなかったという思いが正直なところ。記憶を呼び起こせば、 Borisはイベント(07年のISISの来日公演と前述した09年のleave them all behind)でしか見たことないので推し量る材料があんまないけども。

Transit Transit Great Days For The Passenger Element

 これまた20分押して(この時点で50分押し)、AUTOLUX(オートラックス)が登場。多分、今回の中では一番誰?と思われているだろうLAのトリ オ・バンド。揃いもそろって美形揃いで、曲も丹念なアンサンブルが光るものが多かった印象だが、客はBorisの時よりと同じくらいの少なさだったか。美 しいギターフレーズや瑞々しいキーボードに、紅一点ドラマーのCarla Azarが迫力あるドラミングでかっちりと曲を締めあげ、見事に展開していく楽曲が目立つ。エッジの立ったサウンドで牽引しつつもそこに自然の息遣いと いった感じの歌が潤いを与えるので、すっと耳に入ってくる。繊細で端正という表現が似合う音楽だと思う。その上で芯の太さや力強さも曲から感じた。けれど もシューゲっぽい歪みのある空間を所々でつくりながらも、透徹とした輝きに満ちていた店は不思議。ただ、個人的にはあまりのめりこめなかったのは事実で、 今一歩といった印象を持ってしまった。最後はスタッフが詰め寄っていってバンドに耳打ちでもう終わりと伝えて、途中で打ち切り。転換に時間がかかったとは いえ、さすがにあの終わり方はないな・・・。

タロット・スポート Street Horrrsing

 こちらはさらっと転換を終えてのFuck Buttons。ノイズによる表現力を追及しているUKブリストルの2人組がいよいよ日本に襲来した。たくさんの機材を前にお互いに向かい合って位置取 り、ライヴはスタート。「Surf Solar」から心地よいノイズに美しいメロディが交錯しながら、これまでになかったフロア感覚とダンス的要素を会場にもたらしていく。あのサンプリン グ・ヴォイスが聴こえてきた時の歓声は大きかったし、強烈なノイズが降ってきた時は拳を上げて歓喜を表現。暴力的なノイズ・シャワーが持ち味あるといえ、 躍動感のあるリズムと掛け合わせて巧くデザインし、カラフルで昂揚感あるフロア・チューンに仕上げていく辺りはやっぱりおもしろい。ここまでノせてくれる とは予想以上だったし、さらに意外とHoly Fuckのようにライヴ感のあるサウンドに昇華されていたのも印象深くて、フロアタムを使用して大いに盛り上げる場面もみられた。「Rough Steez」→「Olympians」と続き、ラストの「Flight Of The Feathred Serpent」ではトライバルなビートに乗せられて上がって行きっぱなし。充足に値するステージ、うきうきわくわくで気持ちイイ時間は、あっという間に 過ぎていった。観客のノリもかなり良くて来日を望まれたアクトだったということがひしひしと伝わってきた。

Ocean Songs Dirty Three

 めちゃくちゃ早く転換が終わってダーティ・スリーがいよいよ開演・・・の前に通訳を連れ、肩を組んでヴァイオリニスのウォーレン・エリスが前説でしゃべ るしゃべる(去年のメタモでオマー・ロドリゲスがその場で通訳を介してしゃべってたのを思い出した)。だが、演奏に入るとその陽気な雰囲気がガラッと一変 し、一部の隙もない荘厳な世界が開けていく。一応、『Cinder』というアルバムだけ持っているがこの日はそこからやったかどうかはわからない(あまり 聴いてないのです)。しかし、クラシカルなヴァイオリンの旋律に、柔らかいギター、きっちりと打ち込まれるドラムが見事にひとつの物語を紡いでいく様には 随分と引きこまれた。バーンと弾けていく感じではないが、ひとつひとつの音色に趣があり、色がある。強弱のアクセントと曲の持つ陰影を浮かび上がらせ、 様々な情景を喚起させながら造形の美へと収斂していく様は圧巻。聴き手を昂揚させ、感動させ、その存在感を示していた。ウォーレンはなぜか馬のように足を 蹴りあげながら演奏したり、客席に突入を試みたり、オーディエンスにフレーズを歌わせたりというパフォーマンスもみせ、その緊張感あるサウンドからは想像 もつかない聴衆への歩み寄りもみせていたのにも驚かされた。そして、曲が終わるごとに通訳と肩を組んでのMC。「次の曲はダンサブルな曲なので7分間、裸 になって踊ってください」とかも言ってて合間にこんなに笑わせてもらったのもいい思い出。サーストン・ムーアに「世界最高のライヴ・バンド」と言わしめた というのも伝わる流石のライヴであった。

Allelujah! Don't Bend! Ascend! Lift Your Skinny Fists Like Antennas to Heaven Yanqui Uxo

 先に結論から言えば、”壮絶”であった。伝説とまで言われた存在を体感できるなんて、もはやないと考えていただけにその姿を確認し、音を浴びた瞬間から 鳥肌もの。格別の時間に身を委ねることができた。スクリーンに映し出される”Hope”の文字をスタートに、8人という大所帯のアンサンブルが極限レベル で重なり、悲喜こもごもの物語の数々を描き出していく。ヴァイオリンが泣き、ギターがうねりを上げ、リズムが重厚に響き、王道ともいえる静かで深淵な空気 から→動的な遷移でじわじわと音圧を上げては桁外れのスケールを打ちたてて聴き手を忘我の境地へ。壮大なクライマックスにおける昂揚感は本当に至福。溢れ だす哀しみの向こう側に美しさを感じ、そして混沌の向こう側から希望が差してくる。また、彼等の鳴らす音自体が持つ映像性というのも特筆すべきものがある と思うが、スクリーンに映し出されていくモノクロの映像も音とシンクロしながら、脳裏に感情的に訴えかけることでさらにエネルギーを巨大化。その独自の音 世界へとグイグイと引きこんでいく。再結成とはいえ、ここまで凄いとは驚く他なく、存在自体が神格化されてたのも頷けるほどであった。

 当然のように吹雪の様な轟音は凄まじいが、ピンとはった緊張感が一向に緩むことなく手に汗を握らせる。曲間もひたすら細部まで音を感じ取り確かめなが ら、次の曲へと集中力を高めているのが印象に残った。どこまでもストイックに突き詰めることが、あんなにも切なくて重々しくて激しい音へと繋がるのであろ う。アンサンブルの凄みは本当に筆舌しがたい。個人的にこの手の音楽は嫌というほど体感して見識を深めている方だが、特に感動を覚えたISISや Mogwai、そしてMONOといった存在を目撃した時のレベルの感動が押し寄せてきた。さらに言えば、彼等と比べるとGY!BEは深く強い闇と世紀末の 様な重い世界、そしてあらゆる人の悲しみ、得体の知れぬ神秘性が音に詰まっているように思う。インストゥルメンタルを新たな地平に押し上げたオリジネー ターは余りにも偉大だった。2時間超はまさに奇跡の時間・・・

 と締めくくりたいところだが、愛知へ帰るための夜行バスに乗り遅れる危険が大きかったので、最後の曲の途中でフェードアウト。押すのはまあ仕方ないにせよ(30分ぐらいならありえるといえばありえる)、新木場という立地では早めに出ざるを得なかった。

-set list-(setlist.fmより)
Hope Drone / Moya / Gathering Storm / Monheim / Albanian / World Police and Friendly Fire / Dead Metheny / BBF III


 GY!BEは最後の曲の途中で後にしたことを後悔(ついでに到着に遅れてBOREDOMSが全然見れなかったことも)しているが、期待以上のイベントで あったことは間違いなかった。何より、このメンツを集めてソールドアウトしたことに意味がある。試金石というが、収穫は大きい。本当に贅沢な一夜。ただ、 その分の改善点も多い(イベントの時間、ステージ2、引いては会場選び等)ことも事実である。とにかく定着を願いたい。そして本物のATP上陸にも期待し たい。おそらく今日集まった方々も同じ想いだろう。早くも次に向けての妄想が尽きない(笑)。

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