2011/03/10 EXTREME the DOJO vol.26 @ 名古屋クラブクアトロ

dojo26

 発表になった時は一部地域にて歓喜の雄叫びが聴こえたことは想像に難くない。あのメルヴィンズが来日である。オルタナティヴ・ロック/ヘヴィロック界隈 でのその絶大なる存在感は未だに大きい。いや、ツインドラム編成となって以降、さらに輝きは増すばかりである。実にフジロック’09以来の来日公演。ツ アーとしては実に12年ぶり?となるらしい。そんなメルヴィンズに対して共演はこちらもヘッドライナー級のHigh On Fire(Voll.5、Vol.14でトリとして出演)。当サイトの読者には元Sleepのマット・パイク率いるという枕詞は不要だろう。ドゥーム/ス トーナーロックの領域からモーターヘッドのような爆走メタル化を図って進化する怪物バンドである。この両巨頭だけでもすごいのに、変態生産地として最近注 目を集めるニューヨーク・ブルックリンから登場した激ドゥームバンドのUnearthly Tranceが初来日でヘヴィロック三昧の夜にさらなる燃料を投下。全く不足の無い、それどころかお釣りがくるぐらいのラインナップがここに出そろった。

 ちなみにわたくしは1週間ちょい前に買って整理番号が1○番だったこともあり、最前列でヘヴィな宴を思う存分満喫するコースを選択。そんな整理番号に恐 怖して、全く人来ないんじゃないかと思ってたらお客さんの入り具合は意外に入ってた方だと思う(数々の悲劇的な動員を目の当たりにしているあれを多いと感 じてしまうのであてにならんかもだけど、去年のISISの2倍、JesuのDojoの時の4倍ぐらいいた様な感じがした)。見た感じだとそれ系のバンドマ ンが多かったし、客層は30代以上の方々がほとんどで都合のついた人が足を運んでくれた感じになるのか。ただ、わたくしはenvyのTシャツ着てったら転 換時の音楽がひたすらenvyの最新作「Recitation」で恥ずかしかった・・・(苦笑)

V Electrocution (Dig) Trident

 18時45分きっちりにUnearthly Tranceが登場。最近のおもしろいロック(アニコレ、バトルス、TV on The Radio、ダーティ・プロジェクターズなど)が多数登場しているブルックリンから登場したまさかのドゥーム・トリオである。名前は3年前から知ってる割 に全く音源を聴かずじまいでライヴを見たのだが、かなりヘヴィな音を轟かせていてズシズシ内臓にダメージが来た。鉈のように重たいリフとリズムがゆっくり と這うように鳴らされ、歌はスラッジ寄りの絶叫で絶望を送りこむ。まるで暗く淀んだ光景を造形する儀式の様なサウンドなのだが、意外とスピーディなパート や叙情的なソロを取り入れたりもしていて、ドゥームという範疇からの脱却も見られる。しかし、威圧感や絶望感は半端なくて、そんなヘヴィ地獄に三半規管が ひたすら揺さぶられ続けた35分間だった。時間は短かったけれども、今日のラインナップの中では一番にヘヴィと暗黒を感じたアクトであった。

Snakes for the Divine Art of Self Defense De Vermis Mysteriis

 2番手はHigh On Fire。開場時間の18時を少し過ぎた辺りから既にマット・パイク先生の上半身が裸であったのには笑ったが、あのだらしない腹(&凄まじいタトゥー)を しててもめちゃくちゃかっこよく見える不思議。「Speedwolf」を掻き鳴らして始まったショウもドゥーム/ストーナーエンジン搭載の爆裂ロックで牽 引する。マット・パイクは9弦ギターを的確に操りながら爆音を奏でながらダミ声で絶叫、リズム隊も加速力と重厚さをエンジンに投下していく。続けざまの 「Frost Hammer」では問答無用の爆音ロックで全てのものを薙ぎ倒す。分厚いリフと加速度の高いドラムの刻みが強烈で、どんどんと昂揚感を高めてくれる。この 力強さとダイナミックさ、それにアンサンブルの妙、トリオ編成ながら研ぎ澄まされた音の衝突と融合が凄まじい。

 最新作「Snakes For The Divine」ではよりモーターヘッドへの傾倒やメタル要素を増大した印象があるけど、この日はメルヴィンズを意識してか重厚な仕様という感じがした。ヘ ヴィで遅めの曲が多くて、うねりまくる「Blood From Zion」やドゥームかつサイケデリックな色彩感がある「Bastared Samurai」辺りを披露。4thからは勢いのある「Rumors of War」や「Turk」辺りを演奏していたが、3rdからは覚えてる範囲だと1曲も演奏してなかったと思う。近年の彼等を象徴している様な 「Devilution」や「Fury Whip」等もなかったが、扇情性や衝動性はどの曲も強烈に有している。豪腕だが繊細な音の積み重ねもちゃんと意識されてて、鍛錬に鍛錬を重ねたステージ で興奮を誘ったというか。Sleepのライヴは当然見たことなんてないが、酩酊よりも直情的に感情を煽るこのサウンドは体を突き動かされるし、熟練された 上で強固なロックの塊となっている。ホント、別格の味わいである。それにマット・パイク先生がMCで結構ニコニコしゃべってたのにも心和まされたりした し、オープンなバンドの姿勢にも驚き。

 特にラストの「Snakes For The Divine」は出だしから文句なしのかっこよさで観客を煽り続けたのが印象に凝っている。不満といえば、演奏時間が45分ほどと短かったこと。いつもト リで来日しているのだから1時間は与えて欲しかったなあ。あとは速い曲をあと2曲ぐらい入れてほしかった所か(High On Fireに関しては速い曲の方が好きなんです)。しかしながら、前身の神バンドSleepとはまた別の存在感でオーラを放つHigh On Fireの凄みを体感できた貴重なライヴであった。いつかはSleep、High on Fire、OMのメンツでの神DOJOを期待したいところだが、ありえないでしょう。ちなみにHigh On Fireからは人がどんどんと前に押し寄せては来たのだが、押されたりすることはなく意外と普通に見られた(Melvinsも同様)。

Everybody Loves Sausages Houdini Bullhead

 21時前から始まった大トリはもちろんMELVINS。83年の結成以来、その激ヘヴィなサウンドとユーモアを織り交ぜた展開でアメリカのヘヴィロッ ク・シーンに大きな貢献を果たした、とてつもなく大きな存在である。そんな彼等を個人的にはフジロック’09のホワイトステージで目撃。その痛烈なライヴ は今でも焼き付いているほどだ。ビッグビジネスの2人をそのまま加入させたツインドラム体制で、圧巻のヘヴィサウンドを叩きつけて度肝を抜いていた(っが 人はあまり多くなかったが)。そして、ここにきて満を持しての再来日(ツアーという形だと12年ぶり?かな)で涙したファンは数多いことだろう。

 まず出てきた時の格好(民族的というか森にいそうな感じというか)に驚いたのだが、中世ヨーロッパ的というか森の隠れ家に住んでいそうな民族的な格好し てて驚く。さらにキング・バゾの髪型は間近で見るとヘヴィロックの歴史が全て詰まった威厳すら感じられる(笑)。まあ、そんな冗談はさておいてライヴは やっぱり強烈すぎて悶絶。フジロックで見た時よりも遥かにダイレクトに伝わってくる地鳴りのような轟音にビリビリと震えを覚え、体中が熱くなる。ツインド ラムが完璧なシンクロで一糸乱れぬ叩きあい(もちろん違うパートも叩いてるよ)、バゾのギターが吠えては歪みまくりのジャレド・ウォーレンのベースも恐ろ しい音圧で応戦。それをユーモアを織り交ぜながら絶妙な展開で発展させていく。スタートの「The Water Glass」からメルヴィンズの流儀を感じた人も多いだろう。まずその演奏で度肝を抜かれるのだが、あの中盤からの掛け合いで陽気に楽しめる辺りがらしい 仕上がり。その後は「Evil New War God」「Amazon」でヘヴィにヘヴィに突き進み、強烈なインパクトを残す。やっぱりメルヴィンズはかっこええと改めて感じた次第である。しかし、バ ゾのギターって簡素なエフェクターだけであの音出してて、そのことにさらに驚かされてしまった

 セットリストに関してはツインドラム編成を取って以降の近作3枚からの曲がほとんど。当然、最近の曲も破壊力とダイナミズムが半端なく「Talking Horse」には痺れたし、陽気なコーラスワークと多彩な展開がライヴだとさらに映える「The Kicking Machine」等はとても魅力的であった。近作のメルヴィンズは凝ってるけどストレートに響く印象は強いなあ。ただ、やっぱちょくちょく披露されたり旧 作からの方が盛り上がっていたのは確か。フジロックでも体感した「Anaconda」のグルーヴはやっぱり圧巻だったし、軽妙な蠢きをみせる「Let It All Be」も渋ーく光っていた。これで「Zodiac」とかヘヴィロック界の宝である「Boris」とかやってたら失禁してたかも(笑)。ラストはフジロック の時と同様に「The Bit」が妖しくヘヴィな衝撃で空間を圧しながら終了・・・かと思ったら、バゾの柔らかなギターストロークをバックに4人のメンバー全員が歌う「Okie From Muskogee」での締めくくり。ベーシストのウォーレンが客席に飛び込んで客と肩組んで歌うなどの一幕も見られ、ピースフルな空気を充満させての幕引 きとなった。決して音の厚みだけで生き残ってきたわけではなく、エンターテイナーとしてライヴの魅せ方を承知しているのはさすが。わたくしの年齢を越える キャリアを誇ってるのは伊達じゃない。ユーモアとダイナミズムが存分に発揮されたヘヴィロックの重鎮の最高のライヴであった。

CA3F0306

 ちなみにグッズは色々とあったけど、Melvinsのシャツはなくてポスターが売ってた。っが買わなかっ た(今思うと惜しいな)。それとHigh On Fireは4種類もシャツがあったけど、開場して間もなく入ったのにどのシャツにもSサイズがなかったので買わなかった。Unearthly Tranceのシャツを買っとけば良かったかも。

 最後にMelvinsのCody Willis(左のドラマー)のドラムスティックをちゃっかりとゲット。近くに向かって投げられたのを手伸ばしてしっかりと掴むことに成功。今回のDOJOがより想い出深くなったのであった。


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