2013/10/14 DIR EN GREY 「TOUR2013 GHOUL -mazy-」 @ ZEPP NAGOYA

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 実に約6年半ぶりぐらいにDIR EN GREYのワンマン公演に足を運んだ。かつては、ツアーごとに見に行っていたものの、ある時期を境に音源だけを購入するようになってしまっていた自分。作品を出すごとに国内外で巨大な存在になっていくディルを久々に見たいなあという気持ちがだんだん高まっていった中で、半年前のOZZFEST JAPANにおいて世界的なバンドへと飛躍した彼等の今をようやく体感することができた。だが、思ったほどの衝撃を感じなかったのが正直なところ。それならば、本領が発揮されるワンマン公演でのディルを目撃してみたいと思って、心とお金を動かしてみた次第だ。

 今回のツアーは、2DAYS公演が行われる会場で、初日と2日目で大幅にセットリストが変わっており、初日は「冷血なりせば」からスタートして、彼等らしい盛り上がる系の曲からミディアムな聴かせる楽曲までのバランスの良いセット。一方で2日目の方は、「Deity」~「MACABRE」でスタートして「VINUSHKA」や「Dialobos」等を交えた長尺曲で固められた重く濃厚なセット。個人的には、1日目はわりとこれからもやるだろう曲が多いので、2日目のセトリで来てくれないかなあと期待していたが、まさかそれが現実になるとは・・・。

 開演時間から押すこと約15分。ようやく流れ出したストリングスとピアノを基調としたSE(新しいものか?)を背に、順番に出てくる演奏陣4人。そして、始まったのはまさかの「Deity」である。闇に飲み込まれる様な奇怪な効果音が途切れるや否や、メタリックなリフとドラムが攻撃的に迫り、中東の女性のようにローブをまとって鉄拳みたいなメイクした京(坊主解禁は本編後半にて)が読経のようにロシア語を唱えていく。

 続くはこれしかない、「MACABRE」である。リメイクされて16分にまで延びたこのプログレッシヴな大曲は、印象的なドラム・パートからスタートし、ツイン・ギターが繊細なメロディを重ねていく。特にDieは、アコギを含めて3本のギターを使い分け、妖しく、美しく、ヘヴィにと表情豊かな楽曲を支える。その一方で京は、ファルセットも含めた美声で「MACABRE」の世界をリードする。こうして丁寧に積み上げられていく壮大なこの曲は、艶やかな自然からグロテスクな虫等を含めた映像を加えることで、視/聴覚的にも大いなる刺激を生み出す。そして、その世界観にどんどん引きずり込まれていく。なかでもリメイクで追加されたラスト5分は、本当に鳥肌もの。終わった時には、もはや言葉にならない昂揚感に包まれていた。

UROBOROS[Remastered&Expanded] その後も「mazohyst of decadence」や「Bottom of the death valley」と闇に沈んでいくようなスロウで重い楽曲が続く。この日に演奏した楽曲のほとんどは、アルバムの中で言えば花形のポジションの楽曲では無いにせよ、作品の流れを左右するものや世界観を決定づける核となるものばかりが揃う。故にそればかり集めた本日のライヴは、濃厚になるのも必然である。「dead tree」ではDIR EN GREYが長年に渡って追及してきた”痛み”が全編に渡って強く刻まれるし、「VINUSHKA」では後ろのスクリーンでも流れていた映像からもわかるように、重たいテーマを振り切れた激と美の目まぐるしい展開で壮大に表現しきってくれた。ちなみに「ナゴヤァーー」という叫びからのブルータルな疾走パートが、本編で一番に熱気が高まった箇所である。

 時空を歪めて行くような奇怪な声が木霊する2度目の「INWARD SCREAM」からなだれ込むようにして始まった「THE BLOSSOMING BEELZEBUB」、そして続く「鴉」にしても重苦しい空気が一層広がる。ここまで徹底して心の内側を浸食するような楽曲を続けるのは、彼等としても初めてに近いんじゃないかな。精神的な疲労も多いだろうこのセトリを極限まで高めた集中力で乗り切るディルのメンバーにも改めて驚かされる。その総仕上げとして本編の締めくくりに選ばれたのは「DIABOLOS」。耽美かつ壮重な楽曲は観客との疎通を交わすことで、妖しい色彩と宗教的感触を増しながらさらなるスケールを獲得する。「人間を辞めろー」と迸るエモーションに乗せた京の叫びは、本編のハイライトのひとつだったろう。凡百のバンドが一生かかっても辿りつけないだろう深い深い音世界を突きつけた、凄まじい本編9曲だった。

 アンコールでは、「OBSCURE」~「DIFFERENT SENSE」~「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」という怒涛の三連撃。会場中もようやくこの時が来た!といった感じで大きな喧騒が生み出されていた。一番の熱気と歓声。個人的にも本来なら狂喜しているはずなのに、今回だけは蛇足だった印象を受けた。それもやはり、あまりにも濃厚で完璧な本編があったからだろう。

 オズフェスで見た時は、ライティングの美しさと彼等の出す音が一体となって感じ取れなかったのを残念に思ったが(次にTOOLが完璧な演奏したから余計にね)、本日の公演は音と映像で魅せる芸術性の高いライヴでとても素晴らしかった。そしてまた、DIR EN GREYが徹底して突き詰めた構成のライヴをやると、かくも奥深く凄いものになるのかと思い知らされた。個人的にもこれまで見たディルのライヴの中で一番と思える内容。これからもこの濃厚長尺セトリは継続していき、その深い音世界に多くの人々を心酔させていって欲しいものだ。

‐‐‐setlist‐‐‐
01. Deity
02. MACABRA
03. mazohyst of decadence
04. Bottom of the death valley
INWARD SCREAM
05. Dead tree
06. VINUSHKA
INWARD SCREAM
07. THE BLOSSOMING BEELZEBUB
08. 鴉
09. DIABOLOS

‐‐‐encore‐‐‐
01. OBSCURE
02. DIFFERENT SENCE
03. 激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇

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