2014/05/31 boneville occident presents 「MINUS 3」 @ 難波ROCKETS

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  昨秋にカナダのポストハードコア・バンドであるMilankuを大阪まで見に行った時、かなりの衝撃を受けたのが今回のイベントの主催を務める、boneville occident。当時も既に音源自体は聴いてはいたが、ライヴで体験してこそのダークな轟音に一気に虜になった。聴き手を捩じ伏せるほどの音圧での支配力は、今の若手では群を抜くものがあり、現在かなり期待しているバンドである。気になった方はBandcampでまずは聴いてみて欲しい。

 そんな彼等が主催する”MINUS”というイベントの3回目が開催された。個性派が集う、コアなファンをうならすというコンセプトがあるこのイベントは、初回にsgt.やkaninaといった実力派のポストロック系バンド、さらに国外からはthis is my normal stateが出演。第2回には、KASHIWA Daisuke氏やabout tessというVirgin Babylon Records勢に加え、今夏にフジロックのゲートをくぐってメインステージに出演を果たす、溺れたエビの検死報告書が出演している。それに次ぐ今回もまた、Vampillia、Ovum、Aureole、Yasushi Yoshidaといったアーティストが顔をそろえ、過去を凌ぐかもしれないメンツが出揃った。

 僕も今回の発表があった時にこれは!と思い、期待を込めて足を運んだ次第。ちなみに2府4県外からの来場者への遠征割(\1000 OFF)が非常にありがたかった。

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 スタートはいきなりのVampilliaである。当サイトではおなじみの「関西のブルータル・”おもしろ”・オーケストラ」の異名を持つ新人類。先月はAlcestのツアーで二度も彼等の事を見ているのだが、名古屋ではふざけていた。京都法然院ではアコースティック・セットでメガネをかけているかのようにまじめぶっていた)。今宵はどうかと思えば、やっぱりふざけていた。吉田達也氏がドラムだというのにお構いなく(笑)。

  最初はもちろん、ベースのミッチがひとりで登場し、「まずは景気づけに、僕のネタを見てもらうよ」と述べてから”反町隆史 兼 SIAM SHADEのものまね”をスタートさせ、前田敦子(妄想&架空)とのラヴ電話へと雪崩込むという、この人たちバンドだよな?と思う様な連続技でIPPON取りに来る。「寝てた?」「今、ソリマチ」という電話のやりとり(フィクション)には、流石に吹いたわ。それからは通常運転に戻っていくわけだが、荘厳なポストロックからバイオレンスなメタルへの行き来を繰り返しながら、喧騒を巻き起こしていく。

 定番の「Ice Fist」でフロアが湧きあがり、さらに『rule the world』から「Wonderfully~」「Feel my almightiness」と立て続けに披露し、さらなる熱気に包まれる。その中でもヴォーカルのモンゴロイド(木こり)は、毛むくじゃらの衣装を着ているわ、謎のタイミングでステージを飛び出していくわ、梯子並の高さの脚立をいきなり持ってきて登りだすわで、サイコパス野獣っぷりをみせてくれた。悪ふざけ/ネタをはさまなかった「endless summer」も十分すぎるぐらいに強力だったと思う。

 そして、まさかのあのフレーズをストリングスで弾いてから、始まったのはなんと親交のあるアイドル・グループ、BiSの「MY Ixxx」。Vampillia流にトレモロやストリングス、ピアノ、そしてデス声を交えての大迫力のカバーになっており、曲がわかっていた3人ぐらい(自分含む)がめちゃくちゃノってた(笑)。しかし、歌詞が外国語(中国っぽい感じの)風だったので、終わってから木こりに尋ねてみたら、「歌詞わからないんで、適当っす」て言われましたとさ(笑)。そんなこんなでVampilliaが今日一番の狂乱を早くも巻き起こして、おしまい。最後はミッチが軽いノリで「物販いきま~す」といってステージから降り、すぐに向かっていったのが笑えた。笑いと感動のライヴであった。

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前田敦子(架空)と電話するミッチ。「明日もがんばれそうな魔法の言葉を欲しい」と言われ、「テクマクヤコン テクマクマヤコン」と言っちゃうような人です。

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前田敦子(架空)からつまんないと電話を切られ、うなだれるミッチ。「テクマクマヤコン」なんていうから・・・。そんな彼には、いずれこれに挑戦して欲しいところ。

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この方も破天荒にやらかしてくれます。途中でバランス崩して「やべえ!」とか言ってたけど(笑)。


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 気を取り直して?続いては、kilk recordsを主宰する森大地が率いるAureoleの登場。見た目をもうちょっとなんとかしようぜの男性4人(森さんの格好が、どう見ても寝る時用の部屋着w)、麗しすぎる女子2人というこの6人編成は、今の日本のポストロック系バンドで欠かせない存在だろう。ライヴを見るのは、虚弱。やNINGEN OKと共に名古屋VIOに来ていた2年前以来なのだが、その時とはずいぶんと印象が違った。

 前に見た時は、北欧の夜空にオーロラをかけるような優美なポストロックという感じだし、アルバムを聴いてもそう。だが、この日は中澤氏と岡崎氏のリズム隊がパワフルに刻み続けたためか、躍動感が段違い。正確にかつガンガン震動させてリズムの屋台骨を支えると、ピアノやフルート、ビブラフォンも可憐に彩りを添えていく。ちょいとヒップホップ調な森さんの歌も、絶妙に溶け合い、やたらとダイナミックで立体的なサウンドを鳴らしていた。序盤に演奏した「World As Myth」はとても心地よかったし、終盤のインスト曲も無意識に揺さぶられたもの。新曲も交えた約40分間からは、対バンやイベント内容で自分達を柔軟に変幻させられるAureoleのまた別の魅力に気付かされた感じだ。本当に良かったですよ。

 しかし、開演前に会場前をうろちょろしていたバンギャ+パンクっぽい格好してたお姉ちゃんが、まさかメンバーの方だったとは・・・。あと、誰かこっそりと本日のセットリストを教えて欲しいです(切実な願い)。

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 吉田靖というと、サッカーの監督(元U-20日本代表、現レッズレディーズ)の方が浮かんでくる脳をしているわたくしですが、また別のyasushi yoshida氏の音楽の饒舌さには参った。「ポストクラシカルっぽい感じですよ」って人づてに聴いていたが、初めに演奏した曲(いきなりピアノで間違えて、やり直した)では、それこそ3名のストリングスにピアノが寄りそう静謐で美しい時間に癒された。

 ただ、それ以降は鉄琴やピアニカ等を交えながら、小規模なオーケストラとして機能していた彼等の音楽は、華やぎと旅情のサウンドトラックを奏でていた。丹念に、精巧に紡がれる音色は、聴いていて胸の中で染み渡るように広がっていく。”雄弁で映画的な、あまりにも美しいインスト”と彼の公式サイトで表現されているが、眼を閉じてじっと聴き入っていたいような感じだったのは確か。歌なしのトクマルシューゴ的な音響に惹かれる人は多いと思う。

 「CDを何枚か持ってきているんで、スガシカオも言ってますけど、是非とも買って欲しいですね。」と今HOTな話題を盛り込んだMCも人柄が出てたかなあと。ちなみに彼は、Vampilliaの元メンバーである。

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 イベントの主催であるboneville occidentは、トリ前の位置で登場した。約半年ぶりに見る彼等を今日一番の楽しみに大阪まで来たが、「ちょっとやって、終わります。」と浮田君がまさかの宣言。そして、その言葉通りに「Corrosion」の1曲約15分だけやって終わってしまった。無念。時間が結構押していたので、主催だから身を削ってくれたのでしょう。まあ、仕方ないか・・・。

 と書きださざるをえないところだが、もちろん彼等の奏でるダークな重轟音は強烈なものであった。終末へと向かう暗い展開、震動を運ぶ破格の音圧。この日はさらにAureoleの岡崎氏がアップライトベースでサポートを務めていたが、boneville occidentらしい音で全てを掌握・制圧するようなエネルギーは健在である。Godspeed You! Black Emperorと65daysofstaticの衝突の先へ。ラストのスリリングな展開は、とても痺れるものだった。

 ちなみに予定していたもう1曲は「correia」ではなく、「psalm」という曲だったそうです。あと気になったのは、転換の準備中に浮田君がVampilliaのミッチを始めとしたメンバーにいじられまくってたことだったり(笑)。この日のMCにもあったけど、彼はVampilliaのギターとしても大活躍してますからね。

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 イベントのトリを務めるのが、昨秋に5年ぶりとなる2ndアルバム『ascension』をリリースしたOvum。既に国内外で揺るぎない信頼を勝ち取っているインスト・バンドの最右翼のひとつである。個人的にもこれまで何度か拝見しているが、本日のライヴはその中でもベストといえる内容であった。

 これでもか!というぐらいに劇的な展開と轟音に涙腺をやられる約14分の大作「the prayer anthem」からして、完全にもっていかれた。ゆるやかな変動の中で、偉大な先人達にもひけをとらないほどの壮大な音響。着実に歩みを進め、経験を積んできた彼等の想いも乗せた轟音に魅了される。さらにツインギターが複雑に絡むマスロック寄りの「defection」は、ライヴの流れに変化をもたらすフックとして機能しているし、労わるように響いた美しいアルペジオがやたらと胸に響いた「stella」のラストでは、しゃがんでエフェクターを操作するという、ISISやMONO等のポスト系音楽での様式美も堪能。今のバンドの自信を凄く感じさせるライヴだなあというのが伺える。

 ラストの「blessing」ではenvyの「暖かい部屋」と比肩するようなカタルシスも味わう。この日は全曲が2ndフルアルバム『ascension』からの出典だったが、それだけ彼等の中でも納得の作品なのだろう。オープニングの「the prayer anthem」であり、ラストの「blessing」であり、壮大なインストゥルメンタルの結晶は、ただただ人の胸を打つのである。貫禄すら感じるライヴであった。

 ‐‐‐setlist‐‐‐
The Prayer Anthem / Defection / Stella / Blessing


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 boneville occidentの時間が短かったことを除けば、とてもいいイベントだった。これだけのメンツを集めれば、結果(集客では無く満足度)はついてくると思っていたけど、本当に予想以上のものになっていたなと思う。「孤高の音楽家の饗宴」、まさしくその通りに。あとは、boneville occidentのアルバム完成を期待して待ちたい。僕は、彼ならやってくれると勝手に信じています。

 当日の写真をfacebookページの方に掲載中です。iPhoneで撮ったものですが、雰囲気ぐらいは楽しめるかと思います。

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