前日の公演に引き続いて、『GAUZE』ツアー名古屋2日目である。お盆期間の土曜日ということもあり、チケットの倍率が非常に高かったと聞いているが(もともと今回のツアー自体のチケットの倍率は高かったそうだが)、入手できたので無事にライヴには参加することができた。行ってみようかなと思った夏フェスもあれど、青春への懐古を優先。なんとしても僕はDIRのGAUZEツアーを体感したかったので。
昨日と同様に「GAUZE-mode of adam-」をSEに舞台上に出てくる5人。今宵を動かしたのは「Schweinの椅子」だ。「ゆらめき」をスタートにした前夜とは違い、オープニングから激しさと熱さを伴ってZEPP NAGOYAを揺らしていく。続いた「raison detre」や「Cage」も時計の針が”かつてと今”を行ったり来たりしながらGAUZEの波動を広げる。15年前が蘇る奇跡、その事実が前日に続いてとんでもないものを目撃しているという気持ちを強くしていく。
結論を先に述べておくと、基本的には『GAUZE』+「蒼い月」というセットを軸としたものに変わりはない。ここにさらに旧曲を増やすわけではなかったことからも、Dir en greyではなくDIR EN GREYとしてこのGAUZE祭を楽しんでいるように思える。先日見た、黒夢の『地獄の三夜』はあくまで20年前の再現に徹底していた。セットリストもメイクもセリフもだ。だが、今回のディルのようにこうして様々な時空を飛び越えてGAUZEと今が邂逅するのもおもしろい。「THE FINAL」は半分以上の詩を変えた形で届けられたし、どっしりと重厚なミドルチューンである最新シングル「SUSTAIN THE UNTRUTH」がもたらす一体感に驚かされるし、「輪郭」が奏でていく儚い美しさには心から酔った。
以降は、再び『GAUZE』の楽曲が夜を彩っていく。「mazohyst of decadence」と再録となる「罪と規制」が密教を繰り広げているかのような時間には圧倒されたし、ドラマティックにあの丘へゆっくりと駆け上がっていく「アクロの丘」からメロディアスな質感を伴った「ゆらめき」の繋ぎも非常に良かった。今でもDIR EN GREYを語る上でその耽美性は欠かせないキーワードであるが、初期の頃は特に秀でたものがある。そして、「MASK」~「蜜と唾」で再びサディスティックな攻撃的なモードに切り替え、今宵の本編ラストの「残」が強烈な興奮をもたらして一端の幕を閉じた。
狂熱で満たされた「残」の余韻が冷めやらぬ中、アンコールではまず「予感」を披露。淡青の照明に照らされる場内に、クリーントーンの美しいギターとポップな歌メロが響き渡っていく。今でも色あせることのない初期の名曲のひとつ、こうしてライヴで聴いてその事を改めて実感する。続いては、昨日とは違う新曲へ。やはり一聴しただけでは脳内にインプットできないものであったが、今ツアーで新作『ARCHE』の断片が少しでも把握できるのは嬉しいものだ。
昨日は本編にてどよめきを起こした「蒼い月」が今宵はこの位置での披露。妖しく蠢くベースラインからスタートし、「Blue&Die」で飛ぶ飛ぶ飛ぶ。打って変わって「羅刹国」では、「名古屋イケるかー。全員でかかってこーい」と煽リ続ける京に応えるように、大きくヘドバンで波打つ場内。デスメタリックなサウンドとグロウルが恐ろしいまでの熱気を生み出していく。「全然響いてきいひんぞ、オレの言いたいことわかるなあ」とマイクを胸に強くぶつけ続ける京。ラストは「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」で熱く熱く締めくくられたのであった。
今回のツアーで改めて掘り起こした『GAUZE』については、15年経って完結させられたのかもしれないし、そうではないのかもしれない。ただ、この祭が様々な懐かしみと新しきをもたらしたのは事実だろう。個人的にはあの頃に体験できなかったことが、こうして現実に起こったこの2日間での貴重な体験にとにかく感動した。
来年は『MACABRE』ツアーやってくれますか?
‐‐‐setlist‐‐‐
00.GAUZE-mode of adam-
01.Schweinの椅子
02.raison detre
03.Cage
04.THE FINAL
05.SUSTAIN THE UNTRUTH
06.輪郭
07.304号室、白死の桜
08.mazohyst of decadence
09.罪と規制
10.アクロの丘
11.ゆらめき
12.MASK
13.密と唾
14.残
‐‐‐encore‐‐‐
15.予感
16.新曲(昨日と違う曲)
17.蒼い月
18.羅刹国
19.激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇
おまけでBIG BOSS名古屋店に展示された薫、Die、Toshiyaの本人使用楽器です。
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