2015/01/30 sukekiyo 二〇一五年公演「The Unified Field」 -双卵の眼- with:HEAD PHONES PRESIDENT @ 名古屋E.L.L.

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 名古屋に来るのおそーい、sukekiyoさんよ!と心の声を思いっきり表に出してしまうけど、そう思ってた人は多いでしょう。DIR EN GREYの京を中心としたこの新バンドは、なんといっても昨年にリリースされた1stアルバム『IMMORTALIS』が素晴らしかったわけでありますが、東京・京都のライヴでの公演を重ねた後は、海外へ飛び立ってツアー。名古屋へ全く来る気配がなかったので、ここが忘れられた辺境地であることを久しぶりに思い出してしまった。まあ、平日ということもあって、この日のライヴはチケットが売切れということもなかったし、ステージから見た感じ人いるなあぐらいの集客に留まっていたのは事実でありますが。

 1stミニアルバム『VITIUM』発売前というのが引っかかるところではあるのだが(この前のDIRのツアーも名古屋は『ARCHE』の発売前だったし)、今回の対バン・ツアーは、京が面白いと思ったバンドを選出した模様(こちらのインタビュー参照)。本日の対バン相手になるHEAD PHONES PRESIDENTは、メンバーがライヴを見に行ったりしているようだし、ANZA姐さんもAnzaっす!というチャラ新入社員の挨拶っぽいブログ名のブログで、「ディルが大好きで京さんを崇拝しています」と虜事情を綴っている(笑)。HPPにしたら念願の共演という想いが強いのだろう。

 僕は、事前の情報から黒を基調とした服装で本日の公演に参列。絶対に笑ってはいけないならぬ、「絶対に動いてはいけない、絶対に喋ってはいけない、絶対に盛り上がってはいけない」の三か条を掲げて鑑賞したわけだが、無理だったのは言うまでもない(苦笑)。そりゃあ、動いてしまいますよね。っていうかsukekiyoのライヴでもみんなノってるじゃんか(むしろメンバーが率先してステージで動いている)。白い服も赤い服もいたじゃん・・・。

プローディギウム Disillusion VARY

 定刻からきっちりと始まるHEAD PHONES PRESIDENT。見るのは3回目で、OZZFEST JAPAN 2013以来で約2年ぶり。その前が、IN THIS MOMENT、Crossfaithとのツアーで6年前。オレたちのAnza姐さんがアラフォーということに時代の流れを・・・(以下略)。それはさえておき、事前にこの日限定で過去のダークな曲をやりますと宣言していたが、初期の「Life Is Not Fair」から始まったライヴは、迸る激情を軸にした芸術のようだった。それこそ重苦しい闇が付きまとうかのような序盤は、sukekiyoとの共演に臨む姿勢が自分としては伺えた。シンセを使いながら(昔、使ってましたっけ?)、演出されていく音世界に背筋がゾクゾクとしてくる。

 楽器隊のヘヴィなサウンドから開放感のあるサビへと向かうメリハリのついた構成の曲が多いのだが、Anza姐さんの歌唱はその中でもド迫力。噛みちぎるようなシャウト、天に届くようなクリーンな歌は、変わらずにHPPの核であり続けている。黒いロングスカートをひらりとさせ、くるくると回転し、豪快に頭を振り回しては、最前の客に何か訴えかけるような素振りもみせる。ステージ映えするその佇まいは、やっぱり女優だなあと感じさせる。曲と曲の間では、セリフで繋いでその世界観をさらに濃くして誘う。決して雰囲気ものに終わらないダークさ。好きな人にはたまらないだろう。

 最新作に収録の「A New World」以降は、客席の方も着火したようで拳をあげて応戦している姿が多くなった。sukekiyoとの対バンということもあって、大人しく見ていた方がいいような雰囲気があったわけなんだけど、それすらもパフォーマンスで砕いて熱くさせてくれたのは見事。特に「Where Are You」は、舞台演劇のように美しく、激しく。上空からの白い照明に向かって手をかざすAnzaがとにかく美しい印象を残していたように感じた。「このあとは、私の大好きなsukekiyoさんです。」と言い残してラストは、「Stand In The World」で締めくくり。初見の人が大半を占めた環境で十分過ぎるほどのインパクトを残したのは間違いなく、会場から送られた大きな拍手はその証明であった。

 実際にはsukekiyoよりもDIR EN GREYの方が親和性は高いので、いずれ実現すれば良いと思う。

 

‐‐‐setlist‐‐‐
01.Life Is Not Fair
02.Hang Veil
03.Sacrificed
04.Breeze
05.Far Away
06.A New World
07.The One To Break
08.Light to Die
09.Where Are You
10.Stand In The World

IMMORTALIS VITIUM(初回生産限定盤) VITIUM

 15分の転換後にいよいよsukekiyoが登場する。開演のブザーが鳴って幕が開いたことには驚いたが、これが彼等ならではの演出/仕掛なんだろう。エリザベス感のある高尚なピアノの旋律が響き渡る「destrudo」に誘導されるようにメンバーがスタンバイし、「aftermath」から鑑賞の始まり、始まりである。

 DIR EN GREYと比べて、歌やメロディへの比重を高めることで、より端正で繊細な芸術を造形しているのがこのsukekiyo。ライヴでもスタジオ音源同様に、静を基調にじっくりと聴かせていく姿勢を貫いている。首謀者である京は、DIRよりも自由でいるように感じさせ、黒いベールをひらひら揺らし、体をくねくねとさせながら優雅に歌いあげていく。グロウル等もたまに挟むけど、ファルセットを多用しながら歌声で空間をトリートメントしていくような印象。繊細で柔らかいイメージがあり、また心がほぐされているような感覚を覚える。同士達となる楽器隊に関しては、UTAは「aftermath」の時に弓と鍵盤がくっついた楽器を演奏し(初めて見た)、匠はギターとピアノ、YUCHIはベースとアップライトベースを使い分けながら、sukekiyoらしい和情緒に溢れた静空間を紡いでいた。

 音樂を題材とした演劇や映画を見ているように捉えるのが正しいのだろうか。やはり、耽美で芸術的というのは感じるところ。客席の声が入る余地のない・・・というよりは、必要ないと排除してしまうほどステージに説得力がある。京という中核は一緒ながら、2つのバンドはこうも鮮やかに表情を変えることができるのかと驚く。

 中盤に披露された『VITIUM』からの曲は、意外とロック寄りな印象を残した。でもシンプルに落としこむことは当然無くて、妖しさというカーテンで包んで、京が様々な声で味付けして奇怪に脚色、どこかネジが飛んだような症状にしている。新作からだと終盤を飾った「FOCUS」がアンビエント~クラシカルな優美さと気品があった。

 印象的だったのは、「zephyr」の2回目のサビで絞り出しても声が出ずに、苦悶の表情を浮かべながら座り込み、それでもなんとか必死に歌おうとする京の姿。精一杯の感情表現に思わず胸が痛くなった。最後は「in all weathers」を演奏し、京が「おやすみ」と言い残して引き上げていく。それこそ「だから泣かずにおやすみ」といいたげに(笑)。そして「zephyr」のピアノバージョンが流れる中で、満足気な表情を浮かべる演奏陣も温かい拍手で送り出さる。約1時間のsukekiyoの舞台はこうして終わった。

 僕が一番好きな「鵠」を演奏して欲しかったけど、ワンマン公演以外はセトリから確実に外れる模様。だったら名古屋でワンマン公演を開催してくだされば、いいのではないでしょうか。ということでsukekiyoさん、待ってます。

‐‐‐setlist‐‐‐
00.destrudo
01.aftermath
02.hemimetabolism
03.烏有の空
04.新曲
05.新曲
06.vandal
07.斑人間
08.新曲
09.mama
10.zhphyr
11.focus
12.in all weathers

 両者が繊細かつ暴力的に奏でた世界は確実に人々を魅了するものだったと思う。京とAnza、性別の違いを超えて共振する2人の表現者を軸に展開した濃厚な2本の映画、演劇が立て続けに上映された気分。贅沢な共演に感謝。

 しかし、去年は神聖かまってちゃん、今年はLM.CにHPP、acid android、THE NOVEMBERSの共演したことになるわけですか。次はあのユニットとかあのバンドとか期待しちゃうけれど、誰も予想できなかっただろう三上博史とコラボする思考と好奇心の持ち主なので、今後の展開が全く予想つかず。いや、でもsukekiyoにはこれからも色々とかき乱してほしいと思う。

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