2016/12/03 Heliostrope pre. At This Velocity vol.2 【ROSETTA JAPAN TOUR 2016】

161203_2

Rosetta号とOVUM号による共同宇宙旅行がとうとうやってきました。天文学や宇宙をテーマに据えて芸術性を重視した現在のポストメタルの雄、Rosettaは結成13年目にして悲願の初来日です。アジアには何度か訪れているとはいえ、ようやくですよ。そして、こういったポストメタル系のバンドが来日するのも久々かな。ただ、この宇宙旅行の経由先に名古屋という土地が含まれるだけで、なぜこんなにも不安になるのか。とてもうれしいことではありますが、客入りの心配がかつての体験から真っ先に浮かんでしまいます。

後ほど関係者には話を聞きましたが、Rosettaの招聘に動いたのは今年の2月頃だったそうな。当然のように厳しい見通ししか立たなかった中で(全4公演含めても)、今回はHeliostropeが名古屋公演の開催に尽力してくれたおかげで決まったそうです。招聘元であるTokyo Jupiterのキミさんにしても全公演帯同のOVUMにしても、相当な覚悟を持ってこちらまで来ていただいたようで感謝しかありません。

心配された客入りは後ろまで人がいるぐらいにはいたので、上々といえると思います。roleやSONIC DISORDER等も出演し、こういう系統のバンドが顔を揃えての轟音体験はこの地方では貴重なので、そういったファンの方々も足を運んでくださったかもしれません。とりあえず僕は、みなさんが血の涙を流さなくてよかったなと(笑)。この前書いたこれも案外お役に立ててよかった。

sonicdisorder_ep

・SONIC DISORDER

オープニング・アクトという形で、名古屋の若手インスト・トリオが登場。事前にSNSでバンドを休んでいた間にスタイルを少し変えたというのを見たのですが、ドゥーム・メタルに影響を受けた遅い&重い音楽という基本線はそのまま。ギターとベースがドラムの方をずっと向き、そっけなく演奏する点も変わってない。ただ、やっぱり極端な歪みやヘヴィさは重視しておらず、どす黒いというイメージは薄くなってわずかな光が差し込むような感触にはなっていました。初期のJesuっぽい感触のある「Limbo」等を演奏していた記憶ですが、1番手の役割をきっちりと果たしていたかと思います。

rolev

・role

金沢からお越しのポストハードコア5人組が2番手に登場。初の名古屋公演ということ、そしてRosettaとの共演(一部メンバーが大ファンだそう)であるからか、気合は十二分に伝わってきます。メランコリックなギターを中心とした穏やかな立ち上がりから情熱迸るヴォーカルが熱を上げていく「weltall」、一気に会場を巻き込んでいく「行く先へ手を伸ばす」と名刺代わりの曲を並べて序盤を飾る。

トリプルギターが奏でる繊細かつ豪胆な旋律で聴くものの感情を着火させ、リズム隊がそれに加勢し、ヴォーカルがより大きな炎を内側にもたらしていく。”激情” そのワードは当てはまるバンドではあると思いますが、メランコリックかつ激しい表現の中に人間臭い部分が包み隠さずに表れているのも良いのです。後半は「Even I, even you」~新曲「VIERGE」で哀切を引き立てる。彼等のステージを観ているHeliostropeのメンバーがフロアの前の方で高揚していたのは良い光景でしたね。個人的には「行く先へ手を伸ばす」での魂がちぎれるほどの叫びがとても印象的でしたし、静かに旋律を重ねながら壮大な解放へと向かう「VIERGE」のラストは言葉にならない想いが溢れました。

nostalgia

・OVUM

名古屋公演は2014年以来、約2年ぶりとなる模様。自分自身はインタビューをさせていただいた経緯もあるし、昨年のTJLA FESTと今年のCaspianの来日公演にてOVUM最新型となる”Metal oriented instrumental rock”を体感しています。前日の大阪公演でアンプが壊れてしまったと聞いたのですが、この日にはなんとか手をつくして間に合った模様。

演奏曲目は「The Age of Blue」~「The Nexus」~ 新曲 ~ 「Hell Yeah」でした。フロアを射抜く如しメタリックなリフの連続、ツインペダルの進撃。そのサウンドがもたらす興奮は、ステージを重ねるごとに大きなものになってきたといえそうです。今回初めて聴いた「The Age of Blue」は今のOVUMの形を力強くビルドアップしつつ、途中のChibaさんの泣きのギターフレーズに酔いしれます。さらに終盤で披露した新曲では、かつてのOVUMっぽい叙情性で前半をまとめるも、鋭利さやエグさにアクセスする事を忘れておらず、後半の怒涛の展開には舌を巻くばかりでした。そして、「Hell Yeah」におけるゴリゴリアグレッシヴなサウンドで最高の昂揚感をご褒美。今宵もねじ伏せられてしまいました。

ある知り合いは「久しぶりに観て別のバンドかと思った」と言い、ある知り合いは「初めてみたけどメタリックなサウンドがとてもかっこよくて、衝撃的だった」と言っていました。それほど今のOVUMは強烈な音楽を鳴らしているのだと思います。なお、彼等はこれからアルバム制作に本腰を入れるそうで、来年には間違いなく3rdフルアルバムを届けてくれることでしょう。アルバムを出したら名古屋には絶対に来たいと言ってましたし、現実にしていただけることを願っています。

configuration

・Heliostrope

主催として名古屋公演の開催に尽力してくれた彼等がトリ前に出陣。これまでにないだろう大舞台に緊張感、プレッシャーは大きいでしょうが、やるしかないと腹をくくった感じが全員から見て取れました。

セットリストは名刺代わりの「星を詠む人」から新曲とかつての曲(EPよりも昔)を持ってくる、どちらかといえば静的なもの。キメのスクリームや轟音ギターは抑えめで、アルペジオやキーボードを中心にじっくりと練り上げて叙情的に聴かせます。その点から絵本をめくって広がるようなファンタジーを感じたり。特に最後の曲、フロントの3人のコーラスから幕開けするラストの2分は、今の一瞬一瞬を未来へとつなげるような強い光を感じるものでした。ライヴを終えるといつものように良い言葉を会場に投げかける山口くん。だけどもやりきったという放心状態でしゃべっている辺り、心身の充実感と消耗を物語っているように思いました。

前のOVUMや後のRosettaが動的な要素が強かった分、彼等がこういう曲調のセットを組んだことで企画の流れ・アクセントが明確になった感じはありましたね。そんなHeliostropeには”ありがとう”、そして”おめでとう”という2つの言葉を送ります。もちろん、おめでとうにはいろいろな意味が含まれています(笑)。

rosetta1203

・Rosetta

ついに登場するRosetta。昨年に5人編成となって以降、5thアルバム『Quintessential Ephemera』の発表や世界ツアーを通し、バンドという共同体を強固なものとしているようです。そのライヴ・パフォーマンスも然り。オープニングの「Untitled Ⅱ」からはっきりと実力を証明してくれます。ちなみに世界基準のガニ股弾きを披露するベーシストが渋かった。

静と動の交歓を繰り返しながら目指すは果てのない宇宙空間。ギターが2人になったことで情緒的な表現や音圧の増加を感じさせるも、彼等が全身全霊でかき鳴らす重轟音や咆哮は体を突き動かすような衝動性があります。ポスト系のバンドは常々、ライヴで体感しないと見えてこない&感じとれない部分が多いと思っていますが、今宵の体験による発見で真っ先にあげたくなるのが、この熱量。ポストメタルの形容でよくいわれる”Thinking Man’s Metal”というのがありますが、黙ってヘッドバンギングと言わんばかりの熱血硬派ロゼッタくんなのです。ヴォーカルのMike Armine先生がとにかくステージの先の先に立ち(中盤の曲で客席にも侵入しましたが)、身振り手振りを交えながら客を煽り、時には指揮者のように先導する。彼のステージングにも目を奪われます。

極上のメロディと浮遊感を味合わせる「Renew」、中盤のコーラスで会場との一体感を深めていく「Untitled Ⅴ」等を披露しながら、ボルテージはあがっていきます。どの曲か忘れましたが、Heliostropeのドラムの森くんがMikeによって前方に拉致される謎シーンもあり(笑)。そして、本編ラストとアンコールでは「Ryu / Tradition」「Red in Tooth and Claw」を繰り出します。特に「Red~」は美麗な旋律がところどころで組み込まれているとはいえ、何人をも蹴散らす怒涛の重低音と咆哮が強烈な体験を心身に刻みつけるようでした。この空間ロマンス、宇宙エクスタシーはまさしく”ロゼってる”状態。そんな最高を演出してRosettaのステージは終わりました。

‐‐‐setlist‐‐‐
01.(Untitled Ⅱ)
02.Renew
03.(Untitled Ⅴ)
04.(Untitled Ⅶ)
05.Ryu / Tradition

06.Red in Tooth and Claw

出演者ならびに関係者共々、ステージから良い光景がみれたのは良かったと思います。RosettaのMike Armineに名古屋は良い街と認識していただけたのも良かった(僕は握手させてもらいましたがw)。3月以来にお会い出来たTokyo Jupiterのキミさんは名古屋で公演が開催できたことに安堵。でも今回はレーベル設立以来約9年間3000日以上の日数を費やしたので、次回の名古屋公演も同じように3000日以上の時間を貯めてゲージが満タンにならないと、行けないという冗談を言ってましたけどね(笑)。

そして、その後のわたくしは宇宙へ飛び立ったために・・・終電を逃してしまうことに。ありがたき幸せでいいのか(笑)。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でGrumble Monsterをフォローしよう!

スポンサーリンク


▼ フォローする