54-71 ‐‐Review‐‐

1995年に結成された4人組ロックバンド。どこかヒステリックな香りのするその音楽は、新たなヘヴィロックとして世間を騒がせている。

レビュー作品

> I’m not fine, thank you. And you? > enClorox


I'm not fine, thank you. And you?

I’m not fine, thank you. And you?(2008)

 「true men of non-doing」より5年ぶりとなる6枚目の本作はスティーヴ・アルビニを迎えての意欲作。前作(未聴)では3人編成でインストをやっていたらしいのだが今回からはまた通常の4人編成(ヴォーカル、ギター、ベース、ドラム)に戻っている。

 それにしても何だろう、このヒリヒリとした感触は? 鼓膜ごと削られているような・・・または神経の一本一本をぶった切られているような変な感覚に陥る。変拍子を主体としながらもタイトに引き締まった重厚なリズム隊、妖しげに踊りまわる旋律で絡み付いてくるギター、そしてラップ調のシャウトを操って破壊的に躍動するヴォーカル。それらが渾然一体となって封じ込めていた5年分の狂気をあらぬ形で爆発させる、何度も何度も。ストイックに引き締められた音の塊から伝わるヒリヒリとした緊張感はこの身を締め付け、神経を蝕む鋭利な粒子が殺伐とした無情空間を漂う。そして皮肉交じりの艶かしいグルーヴによって殺気が渦巻いていき、五感をどこまでも侵食する。この荒涼とした世界に気持ちの昂ぶりを抑えることはできず、鼓動は早まるばかり。彼等の生みだす音はあまりにも生々しくて痛々しい。そして、本能剥きだしで迫りくるこの8曲31分という時間は余りにも濃密な時を刻んでくれる。聴けば聴くほど、この衝動に取り付かれてしまう。

 日本が誇る進化型ヘヴィ・ロックここにありいえる作品ではないだろうか。BattlesやDEERHOOFといった海外バンドに絶賛されるのも頷ける。


enClorox

enClorox(2002)

 スティーヴ・アルビニ所有のスタジオで製作された(エンジニアはボブ・ウエストンという人が務めている)というメジャーデビュー作品(通算4作目)。ガナリ声のラップ調ヴォーカル、妖しい魅力を放つギター、地面を震わすリズム隊が生み出す”艶かしいヘヴィ・ロック” という強烈な独自性。いや、オルタナティヴやハードコアが主体的要素とはいえ、ジャズやファンク、ヒップホップまで様々な要素が絡み合い独自の香りを放つ本作はミクスチャーロックっていった方がいいかも。なんてったってこのバンドは非常に振り幅が広くて、11の収録曲がそれこそ十人十色という諺の如く多種多様。何気なく聴いていると変態達の狂騒といったイメージが浮かぶ。空気を震わせるヘヴィさが売りとはいえ、それは#2ぐらいで後の曲はポップさがやけに際立っている、それもかなり皮肉交じりで。どこか憂いを帯びた感じであるし、色彩を感じさせないような寒々とした邪悪な空気が漂っている。だけどもやっぱりポップなんだよ、不思議なのは。普通の感性ではまずこんな音楽作れるわけが無い。どこか捻じ曲がっている・・・彼等にはそんな気持ちを覚えずにいられない。全て英詩を歌っているのに関わらず、水墨画のような和のジャケットからして異様なセンスでしょう。変わった音楽を聴いてみたいと思う方には本作を薦めたい。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でGrumble Monsterをフォローしよう!

スポンサーリンク


▼ フォローする