agraph ‐‐Review‐‐

 電気グルーヴやDISCO TWINS(DJ TASAKA+KAGAMI)などの制作アシスタントなどでキャリアを積んだ牛尾憲輔のソロユニット。静謐でインテリジェントなエレクトリック・ミュージックとして高い評価を受けている。中村弘二、フルカワミキ、田渕ひさ子によるLAMAのメンバーとしても活躍中。


equal

equal (2011)

 約2年ぶりとなる2ndアルバム(前作は未聴)。マスタリングを砂原良徳が務め、クラムボンのミトがミキシングを担当した曲、それに最終曲ではボーナス トラックのような形でalva noteやcyclo等で活躍するカールステン・ニコライのリミックス曲が収録されている。

 前作では、わりとテクノ・マナーに則った作風だったそう。けれども本作で聴けるのは、柔らかな筆使いで描かれる叙情派アンビエント・テクノ/エレクトロ ニカ。クラブ寄りのビートを据えつつ、粒立ちが綺麗な音を重ね合わせながら、ジャケットの夜にぴったりな上品な楽曲を丁寧につくりあげている。レイ・ハラ カミ辺りを思わせる哀愁のある電子音が鳴り響き、ピアノにグリッチの音色を巧みに織り込むのが特徴といえるだろうけど、豊かな展開を持っていて、その辺は 近年のエレクトロニカ勢と共振しているように思う。静謐だが、儚くメロディアス。彼の音楽は鼓膜を伝って波紋のように心に染みわたっていく。しっとりとし た雨の夜長に聴くとより効果は倍増しそう。

 星空の世界に羽ばたいていくかのような生楽器と電子音の優雅な展開に引き込まれる#1に始まり、ギターも取り入 れたオーガニックかつドラマティックな#4、美しい風景が飛び込んでくるアンビエント・テクノ#6など優れた美しさを持った曲が揃っている。後半にかけて アブストラクトな拡がりをみせるのもまた心地よし。やはりイメージとしては前述してるように”夜”なのだが、音の編成を変える事で拡がっていくその下の大 地は、様々な表情が浮かび上っている。#7「a ray」ではビル・エヴァンスの曲をサンプリング、ラストのカールステン・ニコライの#1「lib」のリミックスは、工芸品のような電子音響の深奥を示 す。神秘的な夜を過ごすために最適な一枚であり、agraphという才能を裏付けるピュアな美しさに本作は彩られている。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でGrumble Monsterをフォローしよう!

スポンサーリンク


▼ フォローする