Alice In Chains ‐‐Review‐‐

90年代前半のグランジ・オルタナシーンで一際輝きを放った伝説的バンド。傑作アルバム『ダート』を始めとした3作品で、ムーブメントの盛り上げと数多くのフォロワーを生み出している。だが、2002年にヴォーカリストのレインが死去し、自然消滅のような形でバンドは活動休止に陥っていたが、2006年に新しいヴォーカリストを迎えて復活。同年、その新しいラインナップでの来日公演が実現し、かの伝説のUDO MUSIC FESTIVALに出演した。2009年には14年ぶりとなる4thフルアルバム『Black Gives Way to Blue』を発表した。


ブラック・トゥ・ブルー

Black Gives Way to Blue(2009)

 かつてのグランジの雄による14年ぶりの新作(通算4作目)。14年前といえば、俺はまだ小学生なんで(苦笑)完全に後追いですが、彼等の作品は最高傑作と謳われる『DIRT』しか聴いたことがないし、この復活作にしてもさしたる思い入れはない。けれどもこの作品はバンドの新章を告げるのには十分すぎる作品ではないだろうか。闇の中に渦巻く底なしの中毒性や平衡感覚を失うほどの深い酩酊、美と陰鬱が重なり合った独特のハーモニー・・・。これぞアリス・イン・チェインズといえる呪縛と重力が鬱と闇の嵐を創りだしている。

 幕開けの#1における妖しげなリフが炸裂した瞬間から、もう完璧にその重々しい世界の真ん中へと引っ張り込まれてしまった。空気を一瞬にして変えてしまう歪みまくりの重たいギターリフ、絡みつくような粘っこいリズム、妖しく艶やかなメロディ、奥行きと情念を与えるヴォーカリゼーション、それらがダークネスを湛えた独特のうねりとなって聴き手に襲い掛かってくる。

 いかにもこのバンドらしい歪みまくりのリフを轟かせて漆黒の炎が雄叫びを上げる#2、独特の浮遊感と重量感が重なり合う#3と続けざまに連射されると、足元からじわじわと引きずり込まれ、人間の内まで侵食してしまいそうな抜け出せない闇の奥に堕ちていってしまう。かと思えば、かつてよりもさらに身に沁みるような哀愁を増したナンバーも携え、#4や#10、それに亡きレインに宛てたという#11(ピアノはエルトン・ジョンが弾いているらしい)には胸を熱くさせられる。重くねばねばとしたグルーヴ感の上に深い黄昏感が引き立つ#5や闇に染まった全体像の中でアコースティックな響きが風通しのよさを与える#6なども作品の奥行きを広げ、緩急・明暗の妙をきっちりつけているように思う。かつてほどの鬱度や闇の濃さは出し切れていないものの、バンドとしての現在を見事に表現しきった新たな一枚だと思う。総じて力強い作品だ。

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