赤い公園 ‐‐Review‐‐

2010年に結成された4人組のガールズ・ロック・バンド。軽妙なアレンジとポップなサウンドで次世代を担うバンドとして注目を集めている。

レビュー作品

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純情ランドセル

純情ランドセル(2016)

 約1年半ぶりとなる3rdフルアルバム。毎度のようにバラエティ豊かに様々なタイプの楽曲を用意し、ユーモアやひねりをよく効かせていても、のどごしの良いJ-POPに落としこむ。今回もそんな軽妙でポップ度のバロメーターが高い曲が揃っています。カラッとしたメロディとしなやかな演奏が道筋をつくる先行曲#3「CANVAS」を始めとして、曲名にもありますが実にKOIKIです。R&Bやパンクのテイスト辺りも用いながら、聴き手を存分に楽しませてくれます。

 もちろん、バンドの頭脳である津野米咲さんの先導があり、多彩なギターが鍵。とはいえ、4人の混ざりあい方が絶妙で円滑油のごときリズム隊の活躍がなかなかに良いです。そして、Vo.佐藤千明さんが作品を重ねるごとに声色の操り方や感情の乗せ方が上手くなっていて、魅力がどんどん増している。幸せをみんなに振りまくような#13「黄色い花」は、かわいらしくてポップで良すぎです。

 それにしても#2「東京」はゆるやかな曲調なのに、#4「西東京」はやたらと性急なパンクチューンであるのはなぜか、地方民にはわからぬ(笑)。そういった謎はありますが、着々と自身の地盤を固める、と同時にキャパシティを広げても余裕を感じさせる作品に仕上がっています。彼女達の目指せジェイポッパー、レベル99への旅路はまだまだ続きそう。


猛烈リトミック

猛烈リトミック(2014)

 J-POP/J-Rock街道を勢い良く駆け抜ける赤い公園の約1年ぶりとなる2ndフルアルバム。メイン・コンポーザーである津野米咲のドキッ!J-POPとアイドル達への課外活動、さらにはドラマや映画の主題歌に使われたことを契機に追い風が強くなった中で発表された本作は、前作にも増してポップに開けています。

 弾けるような躍動感と明るさが魅力の#1「NOW ON AIR」、約101秒が忙しなくエネルギッシュな#2「絶対的な関係」の畳み掛け。それに続く#3「108」や#4「いちご」といった曲でも新鮮に耳を刺激。これまでの彼女達の良さを残しながらも、ホントに鮮やかなまでにポップです。前作で公園デビューしちゃったから、次はみんなと仲良くなるきっかけに伸び伸びとやってみたという感じかな。全15曲とこれまでと比べても曲数は多いが、自由なアイデアと創意工夫がつめ込まれています。さらには亀田誠治や蔦谷好位置といった複数の外部プロデューサーが、的を絞らせないような感じで彼女達の魅力を多角的に引き出しているのは面白い。

 クラシカルなバラードから後半では模様替えの轟音化で驚かされる#7「ドライフラワー」にKREVAとコラボした軽妙でアーバンな#8「TOKYO HURBOR」、小気味良い展開とさっぱりした炭酸の味わいがある#10「サイダー」、冷涼なエレクトロニクスと融和した#13「お留守番」とバラエティに富む。これまでの鬱屈や狂気を覚えるような毒気はほとんどないが、猛烈なJ-POPであることを肯定せざるを得ないパワーと想いを本作からはひしひしと感じます。

 瑞々しくアッパーな#11「楽しい」が物語っている、『猛烈リトミック』の楽しさを。インスタントラーメンが伸びる前にまずこの曲を聴いて陽気になりましょう。赤だけでなく、様々な色が主役となるカラフルな魅力を持った作品。


公園デビュー

公園デビュー(2013)

 4人組の若手ガールズ・ロック・バンドの1stフルアルバム(2012年に2枚のミニアルバムをリリースしているが、筆者は未聴)。最近だと、SMAPの「JOY!」を手掛けたメンバーが在籍しているという紹介のされ方も多いですね。彼女達に関しては、まるで無名だった頃、偶然にもライヴを見たことがあります(レポはこちら)。その時のライヴで覚えている事を言えば、少女のドロドロとした感情を発露するようなオルタナ~轟音ポストロック的なサウンドが引っ掛かったこと。あとは、今ではトレードマークとなった彼女達の真っ白な衣装かな。

 ただ、本作の印象はといえば当然のようにその頃とは全然違う。明と暗のコントラストを巧みに操ってはいますが、メジャー感の伴ったポップさを保ちながら、より自然体で制作されただろう楽曲が並ぶ。全10曲で約30分という驚くほどにコンパクトな作り。ですが、軽快な曲調とキャッチーなメロディが牽引する#1「今更」、それと対比するように暗くハードなサウンドにコミカルな歌メロが乗せられる#2「のぞき穴」からその振れ幅の広さを感じとれます。#5「体温計」のようなバラード調の曲もまるで違和感なく収まる本作は、掴みどころが無い変幻自在のバラエティ豊かな曲調で、いい意味で垢ぬけた彼女達の様々な魅力が浮かび上がる。

 可憐なピアノをフィーチャした#4「交信」、2分未満という尺ながら赤い公園のセンスが凝縮されたような#6「もんだな」、弾ける様な勢いにユニークなフックが加わった#8「カウンター」など印象的な曲は多いです。Vo.佐藤の力強さとキュートさを持つ歌、ポップなメロディ、見事なアンサンブルを入口にして、彼女達の音楽に不思議と引き寄せられてしまう。あっさりと聴かせているわりに、必ず耳に引っ掛かってくる箇所があります。少しの活動休止を経て、今の勢いとナチュラルな魅力を詰めこんだ1枚。

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