Arctic Plateau -‐Review-‐

Alcestと同じProphecy Productionsに所属するイタリア人ポストロック・シューゲイザープロジェクト。


On A Sad Sunny Day

On a Sad Sunny Day(2009)

   Alcestと同じProphecy Productionsに所属するイタリア人によるポストロック・シューゲイザープロジェクト。ALCESTやAMESOEURSのジャケを手掛けたAMESOEURSのメンバー(だった)Fursy Teyssierがアートワークを担当していたりする。

 Prophecyからリリースされていることもあり、ブラックメタルを期待する方がいるかもしれないが、本作は紛れも無くポストロック・シューゲイザーを表現の核に据えていて、全体を通して穏やかさと美しさに彩られている。メランコリックに彩色された音色からはドリーミーな空気が流れ、まるで心地よい眠りへ誘うかのようにと意識を吸い寄せていく。イメージはジャケットのように淡い光がしんしんと大地に降り注ぐような、そんな感じ。でも、悲劇的な雰囲気がなぜか漂っているのも特徴か。若干、もの悲しい印象を抱かせるトレモロ(と凄くまれに差し込まれる絶叫)に黒さを感じるものの、柔らかくマイルドな歌いまわしのヴォーカルや儚げなアコギの響き、シューゲイザーに接近するギターはAlcestの系譜に連なるし、ミディアムテンポで引っ張りながらドラマティックに美しい磁場を広げて行く様は現在のポストロックと確実にリンクしている。聴いていると安らぐのと同時に解放されていくような気分。宝石のようにきらめく一つ一つのパートが繊細に結晶化され、とても穏やかで優しいサウンドスケープが生まれている。

 所々ではシガーロスにも似た幽玄性、それにディス・ウィル・デストロイ・ユーばりの轟音が花開くのが余計に魅力的。Alcestにバリバリ影響を受けた感じだが、豊かな情感が滲むヴォーカルからは歌ものとしての矜持も感じられる。寒暖の落差でムードを作るタイトルトラック#2は特に優れた楽曲だと思うし、シリアスでダークな空気が淡い寂寥感を余韻として残す#8、マーチングドラムとかトレモロの飛翔感がEITS辺りを思わせる#9、朝一に窓を開けた時の様に陽光が注ぐ#11など後半も聴き所はばっちり。まさに、安息の曲線をなぞる清らかなサウンドにゆったりと浸れる1枚である。

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