Asobi Seksu ‐-Review‐-

自らの音楽を”ドリーム・ポップ・ワールド”と称するニューヨーク出身のネオ・シューゲイザーデュオ。日本人女性Vo.ユキ・チクダテを中心としたそのサウンドは確かに我々日本人の琴線に触れるものとなっている。ちなみにバンド名は日本語の「セックス遊び」に由来。

レビュー作品

> Fluorescence > Hush


Fluorescence

Fluorescence(2011)

   プロデュースにPASSION PIT等を手掛けるChris Zaneを迎えての2年ぶりとなる4thフルアルバム。アートワークは4ADのカタログでお馴染みのVaughan Oliverが担当している。可愛らしいシューゲ/ドリームポップという装いはそのままだが、メロディはより可憐で浮遊感も増大。特徴的なのはニューウェイヴに影響を受けたというシンセの増加なのだが、もちろん優しい音色から豪快に歪んだ空間を築き上げるギターの仕事ぶりやパワフルに屋台骨を支えるリズムの強みは心強い。バンドの核である女性ヴォーカルのユキ・チクダテにしても繊細でキュートな歌声で曲の輪郭をしっかりと整えつつ、本作では伸びやかなファルセットを高らかに響かせているのが印象に残る。いつも通りにキラキラとポップに振れ、シューゲを取りこみ、さらには4ADのような耽美性までも集約しては見事に自分達の音像を膨らませている事に成功しているというべきか。ブロンドレッドヘッドを思わせる#2、可愛らしいかと思えば激しいアンサンブルをも堪能させてくれる#3、本作最長の7分近い時間をつかって甘くも力強いファンタジーを表現する#6、彼女らしい浮遊感に心躍る#7まで佳曲は多い。一層映えるメランコリアとポップ感、自らを総括しながら実に正しい前進を見せた一枚だと思います。ちょっと日本語を入れて歌ってるのもやっぱり嬉しい。


ハッシュ

Hush(2009)

   シーンにおいて一躍話題をさらった2ndアルバム「Citrus」から2年半ぶりとなる3rdアルバム。一言で作品のイメージを表すとするなら、”パウダースノウ” そんな感じ。Vo.ユキの澄んだ声も、ギターもシンセもみながみな、透明感のある音を奏でている。その真っ白い幻想のベールを纏ったサウンドスケープはとても美しく、そして心地が良い。時折、分厚いノイズをぶつけきたり、ドラムが少しやかましくなったりとシューゲイザーらしい轟音が顔を出す場面もあるが、表面上はあくまでやわらかくてポップな手触り。見事なまでにキャッチーな要素が勝っていて、非常に聴きやすい仕上がりになっている。また、そこかしこに散らばめた和の要素もうまく調和させ、なおかつミステリアスなキュートさや日本語を交えたユニークな語感も耳を刺激。それとは逆にどことなくほんわかした感じを与えているのも夢に浸っているようでなんだかクセになる。その中でも疾走感と音の渦巻きが異彩を放つ#11「Me & Mary」が個人的にはお気に入り。頭を麻痺させるような中毒性やサイケデリックな感覚は希薄に思うのだが、ドリーム・ポップ・ワールドと称すこの世界は不思議な魅力に溢れていることは確かである。

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