Slumberというデス/ゴシック・メタルバンドの解散に伴って、同メンバーが中心になって結成した新バンド。
Skylight(2012)
Slumberというデスメタル系バンドの解散に伴って、同メンバーが中心になって結成した新バンドのデビュー作。
というわけで、リフやドラムのリズムの刻み方はわりとメタルっぽい感触(前のバンドは知りませんけど)。#2ではデス声で脅したりという前バンドから引き継いだ攻撃性も発揮しており、シンフォニックなアレンジもまた随所に効いている。しかし、全体のサウンド・デザインはシンセを多用したアトモスフェリックなものとしてまとめているのが印象的だ。シューゲ風の轟音ギターやキラキラと瞬くシンセが非常に効果的。また、Anathemaを思わせる耽美なピアノ、淡い女性コーラスも情緒を膨らませていく。ポストロック~シューゲイザー方面から影響が大きいだろう空間的な音像、そしてそれに伴った浮遊感や恍惚感が際立っている。一瞬だけデス声を出すけど、基本的にはまろやかな歌唱で雰囲気をたかめていくヴォーカルがまたよし。Jesuを華美に演出したかのような印象さえ受けるし、AnathemaとJuniusが合体したかのようなイメージも浮かぶ。#10のシンセの使い方を聴いてると70年代のクラウト・ロック勢からの影響もあるのでは?と感じたりもした。いずれにせよ、そういった多様なアプローチが作品のダイナミックさと壮大さを支えており、ひいては神話を描くような凄みにつながっている。ちょいAmorphisっぽい叙情的なリフから美しい発展を遂げていく#6や心の芯に響く本作のハイライトの#8は文句無く素晴らしい。Anathemaほど万人には勧められないかもしれないが、多くの人を巻きこむだけの感動を有した佳作に仕上がっている。
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