Aussitot Mort ‐‐Review‐‐

元APOLLO PROGRAMとAMANDA WOODWARDのメンバーが在籍するフランスの激情ハードコア・バンド、Aussitot Mort。スラッジ/ポストメタルにも肉迫する重心の低さにフレンチ激情精神が結び付き、強靭なグルーヴと魂揺さぶる熱さで人々を魅了している。

レビュー作品

> Nagykanizsa > Montuenga > 6 songs


nagykanizsa

Nagykanizsa(2012)

   2011年にレコーディングされた全音源を収録した、最新の編集盤。HEAVEN IN HER ARMSとのSPLIT曲2曲、ADAGIO830リリースの12″、『La ride du lion』収録2曲、新曲1曲の全5曲約35分を収録している。

 他の追随を許さない彼等の新音源は、自身が築き上げた音楽性を集約したものであるのは間違いないが、バンドの核となる部分を磨き、さらなる深化を図っているのが如実に分かる内容だ。スラッジ勢をも打ち負かすほどのヘヴィなグルーヴに激情~哀愁が上手くミックスされ、深遠なスケール感を伴って聴き手を圧倒する。ミッドテンポで複雑な構成の中をじっくりと進み、さらにドラマ性を最大限に生かしたつくりで聴き手の感情を飲みこんでいく。タメの効いたリズムから突如としてドライヴ感と爆発力を伴った猛烈な音塊を放出したり、アルペジオを中心とした哀愁のメロディの反復で涙腺を刺激したり、激情迸る叫びに胸が熱くなったりとその鉄槌は泣きと破壊力を高めている。#3ではスプリットで共演したheaven in her armsのkent氏が語りで参加し、悲壮感漂う緊迫とした展開が日本語の語りを得ることで、日本人にはより深い部分に突き刺さってくることだろう。地を揺るがす重低音とリリカルな旋律の向こう側でフレンチ激情精神が花開く#1は特に印象的である。初期に比べると落ち着いた作風になっているとはいえるが、みせつけるかのような緻密かつダイナミックな表現はもはや孤高の域。今、このバンドを聴き逃すことなかれ!

 こちらで全曲試聴可→ http://destructure.bandcamp.com/album/d29-aussit-t-mort-nagykanizsa-cd


montuenga

Montuenga(2008)

   日本のoto recordsからもリリースされた2ndアルバム。08年12月~09年1月にはheaven in her arms招聘の元で来日公演も行っている。スラッジ/ポストメタルにも肉迫する重心の低さにフレンチ激情精神が結び付き、強靭なグルーヴと魂揺さぶる熱さで人々を魅了する彼等。この2ndはさらに一歩踏み込んだ音造りで奥行きとスケールを拡げているのが印象的だ。ストリングスやグロッケンまで用い、さらにポストロック的な意匠を強め、#4のようにアンビエントに寄った楽曲まで登場。そういった効能から曲調や展開に幅が拡がった分、当然のようにスケールの拡張に成功。もはやハードコアという枠組みでは括れない存在にまで成長を遂げている。その分、全体的にテンポは抑えられているのだが、どっしりとしたサウンドからクライマックスに向けてカタルシスを得る感じは以前よりも強まった。そんな自在で緻密な本作は間違いなく#1だろう。地鳴りのようなグルーヴが這うように押し寄せ、哀愁を纏ったギターとストリングスが丁寧に鳴らされ、壮大なラストへと向かっていく。そのドラマティックな展開にはグイグイと五感を吸い寄せられてしまう。アンビエントにヒントを得た#4やグロッケンを多用した激情サウンド#6も未知なる境地に達した事を物語る。そういった新要素を見事に血肉化してみせたバンドの力量もまた凄まじいもの。より独創的に、より深遠に。Aussitot Mortの旅路はこれからも続くことだろう。

 こちらで全曲試聴可→ http://aussitotmort.bandcamp.com/album/montuenga


6songs

6 songs(2007)

   Amanda Woodward、Apollo Programのメンバーが在籍するフレンチ激情ハードコアバンドの編集盤。LEVEL PLANEからリリースされた4曲入り12インチ音源に加え、スプリット曲と未発表曲をプラスしたタイトル通りの6曲入り。音楽性としては、フレンチ激情の最先鋒のDaitroの焦燥感や激情性にenvyライクな悲哀と哀愁を纏う練られた展開で編み込まれた楽曲で勝負してくるのが特徴といえるだろうか。重厚なリフワークから、ポストロック的な拡がりをみせるフレーズなどを使い分けながら、激しい揺さぶりとドラマ性を湛えている。また疾走する場面もあるけれど、基本はどっしりとした重みとうねりを感じさせるもので、しっかりと哀愁~激情を楽曲に注入。感情がダイレクトに伝わってくる絶叫もまた熱い。オープニングの#1から彼等の美学を感じさせ、重厚なギターとリズムの先導から美しい旋律と絶唱と共に飛翔。そしてキラーチューン#2ではDaitro先輩に触発されたような起伏の激しい混沌としたサウンドで畳みかける。驚きなのは未発表曲の#6でポストロック的な哀愁をまとったインストからフレンチ激情の深淵になだれ込む6分半に痺れます。前身のAmanda Woodwardは聴いたことないけれども、これは素直にかっこいいと唸ってしまう存在だ。

  こちらで全曲試聴可→ http://aussitotmort.bandcamp.com/album/6-songs

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