イタリア・ミラノの激情ハードコア/ポストメタル・トリオ。Heaven In Her ArmsやCult Of Luna辺りをインスト化した(といっても5%ぐらいは絶叫してる)かのようなサウンドを鳴らしている
The Tyranny Of Small Decisions(2010)
2010年末にリリースされたイタリア・ミラノの激情ポストハードコア/ポストメタル・トリオによる1stアルバム。Up There: The Cloudsに続いて、再びイタリアからポストメタル好きにアピールする存在が登場した(といっても同じレーベルに所属)。
3人という編成でありながら轟音と静寂を使い分ける王道的なスタイルを取り、それを仄暗い性質とダイナミックなエネルギーで昇華したサウンドを持ち味にしている。例えるならHeaven In Her ArmsやCult Of Luna辺りのサウンドをインスト化した形をとったといえばわかりやすいだろうか(といっても5%ぐらいはエモ系の絶叫が乗る)。クリーンなギターの音色を多用しつつも、胸を掻き毟る様な激情的な展開、そして十分にブーストした轟音を惜しげなく披露して終盤に向かって畳みかけていく感じ。
切ないフレーズからここぞで切り替わった時のギターの音圧は十分すぎるレベルだし、べース・ドラムが太くのたうつリズムも推進力と存在感の両方を示している。さらには、ゆったりとしているが静と動のしっかりとした起伏をつくりることで聴き手をグイグイと引き込んでいく。切ないフレーズの連続で胸を痛めた所で、重たい轟音を見舞ってくる展開(意外と小技も効いてるが)はあまりにもわかりやすいのだが、力強いグルーヴの渦に確かに昂揚を覚える。たおやかともいうべきリリカルなパートを巧く活用しながら、終盤の猛烈な爆発に繋げていく#3は前述した展開美が聴けるように思う。
また、終始一貫しているのは冷たくダークな質感が全編に渡って幅を利かせていることで、これが絶望という単語が隣り合わせの世界観を貫いているのも特徴的。冗談かと思うぐらいに陽を浴びた小インスト#5のような曲もあるが、暗さが底辺を常に流れていると表現してもいいだろう。どこか儚く痛い音色が胸をつついてくる。特に14分にも及ぶ大曲の#6は絶叫やナレーションを効果的に挟みながら、HIHAに通ずる様な悲哀と激情のドラマティックな展開で押し切る強烈さ。聴けば聴くほど抉られてくような効力もあり、1stにして小憎らしい存在感を示している内容だと思う。
最新情報をお届けします
Twitter でGrumble Monsterをフォローしよう!