Band Of Horses ‐‐Review‐‐

03年に解散したシアトルのバンド、CARISSA’S WEIRDのメンバーだったBen Bridwellを中心とした5人組のアメリカン・ロックバンド。06年にデビュー作を発表して以降、オルタナ/カントリー色の強い柔和で美しいメロディを持ったサウンドがメディアから絶賛されている。2010年に発表した3rd『Infinite Arms』ではついにUSチャートのトップ10入りも果たす。同年、サマーソニックへの出演も果たしている。


インフィニット・アームズ

Infinite Arms(2010)

   大手・コロンビアに移籍して発表された3年ぶりとなる3rdフルアルバム(過去作は未聴)。ニール・ヤングよろしくなオルタナ/カントリー色の強い音色に、美しきメロディとおおらかな包容力が備わった魅力的な作品だと思う。繊細でありながらも太く逞しいバンド・サウンドを軸に、渋い味わいのあるBenの歌声が乗って聴き手の心に優しい光をもたらしていく。

 曲調はカントリーに根ざしたゆったりと奏でる様なものが多く、アコギを丁寧に鳴らし、柔らかなコーラスを交わらせながら聴かせる曲がほとんど。けれどもドライヴ感と迫力のあるバンド・サウンドで押したり、シンセやピアノの音色を親密に馴染ませて壮大に聴かせたりとスケール感を存分に拡大する演出が成されている曲もある。素朴でありながらもラフな荒さを感じるし、牧歌的な中にも優雅でオリエンタルな質感も感じ取れるはず。ナチュラルに胸打つメロディ、多岐の感情を揺さぶる魅力にあふれたヴォーカル、そして雄大なハーモニー。緑の大草原の真ん中で聴いてたはずが、いつのまにかジャケットのような藍の夜の大流星が飛び交う光景を目の当たりにする、かくも豊かなこの感性は貴重だ。ポップ/キャッチーといった要素にしっかり振れてるのも魅力的である。

 特にブルース風情に温かなメロディが乗る#2、静かに情熱を浮かび上がらせて壮大に完結させていく物語性の高い#6が素晴らしい。しかしながら、どの曲も静かな情感と熱を湛えており、内省にじわっと染み入るはず。厳かに音色を配置していくような感もあるが、人肌の温もりに満ちた感触はなんとも心地よく、また胸を沸々と焦がす。The Nationalの新作を聴いた時にも感じたが、この感触がなんともたまらなく癖になる。時の流れを忘れて聴き入ってしまう良作だと思う。

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