Beach House -‐Review-‐

パリ生まれでフランス映画音楽の巨匠ミシェル・ルグランの姪でもあるボーカルのヴィクトリア、ボルチモア出身のアレックスによる男女デュオ。唄、ギター、オルガンで優しく丹念に紡ぐ美しいサイケ・ポップが世界各地で絶賛されている。2010年初頭にリリースされた『Teen Dream』は、Spinner誌で2010年間ベストアルバム第1位に選出されたのを始め、軒並み上位を獲得。2011年にはフジロック・フェスティヴァルに出演した。

レビュー作品

> Bloom > Teen Dream


Bloom

Bloom(2012)

   2011年にはフジロックへの出演も果たした(僕は見れなかったけど)男女デュオの2年ぶりの4thアルバム。本作は、過去2年間のツアー中に得たアイディアをもとに書かれた楽曲たちを収録している模様で、#6のアウトロでは日本で録音したという蝉の鳴き声が入っていたりする。

 とはいえ、前作からの延長線上にあるもので間違いないだろう。ミッドテンポの中で丁寧にメランコリックに織り上げられていく楽曲群は、微笑みかけるかのように優しく、しっとりと響く。幻想的なギターとキーボードの音色の上を泳ぐ、豊かな詩情と包容力を持つヴィクトリアのヴォーカルは、バンドの生命そのもの。その落ち着いたサウンド・デザインの中で甘いサイケ感をしのばせつつも、美しいハーモニーが包み込む。それでいて、緻密なアレンジが鬱蒼とした森林から色鮮やかなお花畑までが脳内に浮かばせる。全体を聴き通しても大きな変化は無いと感じるが(幾分かポップになったとは思う)、優しい聴き心地の中で恍惚とする様な瞬間を何度も演出。これぞビーチ・ハウスともいうべき優しくカラフルな世界が広がる#1に始まって、美しいメロディと相まって彼女の唄の持つ力にハッとする#2「Wild」、流麗なハーモニーがただただ心地よい#5「The Hours」など、流石のでき。らしい感性を貫きながら、リリカルに琴線に触れてくる。そして物語は進み、どこかエキゾチックで官能的にも聴こえる#9「On The Sea」が胸を締め付け、幻想の世界へと連れ出す#10「Irene」で締めくくり(この最後の曲にもちょっとした仕掛けあり)。個人的には前作の方が好きだが、世界中のファンを魅了する材料の揃ったやはり素敵な作品である。


Teen Dream (W/Dvd)

Teen Dream(2010)

   ボルチモアの男女デュオ、ビーチ・ハウスのSUB POP移籍後では初となるフルアルバム(通算3枚目)。発売当初から各所で絶賛されていて、2010年のベストアルバムでも軒並み上位にランクインしている本作は、それを証明する儚くも甘い一級品のドリーム・ポップである。オルガンとギターが繊細に奏でるサウンドスケープは、甘美な響きと幻想性を湛えながら、ミディアムテンポで丹念に丹念に織り上げられていく。まるで暖かな日差しが降り注ぐ中で、ギターがサイケ調の色合いを強めたり、小鳥のさえずり等のサンプリングを交えたりもして、不思議な魅力をも醸し出している。そんな中、核になっているのは間違いなくヴィクトリアのヴォーカル。時に母性的に、時にひどく感情的に胸に迫る歌声が、たおやかに美しく世界観を仕上げている。フレンチ・ポップのような上品で軽やかな印象も受けるし、全体的にも淡いサイケ感の甘い誘惑と陶酔、注がれるデリケートなメロディにも自然と引き込まれていく。先行シングルとなった#3「Norway」はシンセ&ギターによる白昼夢のようなサウンドにヴィクトリアの柔らかなヴォーカルが全編に渡って冴えわたる名曲。練られた重層的なハーモニーが耽美で幻想的という印象を残す中、Fleet Foxesのような多幸感を感じたりするのも評価されるゆえんだろうか。優しい夢想世界へと誘う本作は、息を呑むほどの感動を有している。

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