BELLRING少女ハート ‐‐Review‐‐

「ベルハー」の愛称で知られる女性アイドル・グループ。いにしえのロックからサイケデリック、音響系まで様々に音楽を料理しながら脱力した歌をスパイスとして乗せ、不思議な魅力を浮かび上がらせている。コーチェラ・フェスティバル出演を目指し、活動中。


beyond

BEYOND(2016)

  ベルハーの愛称で知られるアイドル・グループの1年2ヶ月ぶりとなる3rdアルバム。この間にはメンバーの入れ替わりが頻繁にありましたが、お遊戯から怪物への進化を辿る彼女達、相変わらず掴みどころが無いです。

 「壮大でキャッチーでセンチメンタル」がテーマだそうですが、親交の深いゆるめるモ!以上に振り幅とごった煮感のある楽曲群を本作でも表現されています。ジャーマン・インダストリアル的な#1「ヴァント!」から、minus(-)提供の暗めのトーンで抑制された ダンスミュージック#4「The Victim」、インディー・ロックにジャズピアノが混在して揺さぶる#7「すなっちゃん・なっぽー」、後藤まりこさん作詞・作曲のギターロック#12 「チャッピー」、アンビエントな歌ものとして魅了する#13「ROOM 24-7」と豊富過ぎるメニューの数々。

 これまでよりサイケ感は減退して、エレクトロニックな方向に向かっている印象はあります。音楽としても非常にディープな内容ですが、それをボカすように脱力した歌唱を使って、芸術的な領域にまで持っていくのはやはりスゴい。こういう形だからこそグループとしての魅力や濃さ、美しさを最大限に発揮しています。

 昨年のベスト作品の記事にベストチューンの1曲に挙げたライヴでの一大アンセム#15「asthma」は、音楽フェスティバルの昂揚感と祝祭感が凝縮。ただ、この曲で終わらせずに学芸会の出し物のような#16「ぼくらは生きてる」でがっしゃーんとその雰囲気を壊して締めくくる辺りが、ベルハーらしさ。メンバーが入れ替わっても核が少しも薄まらずに「得体のしれない何か大きな存在」へと突き進む。それを証明している作品だと思います。相変わらずおもしろいグループ。


undotheunion14

UNDO THE UNION(2014)

 2014年末にリリースされた2ndフルアルバム。わたくしは1stアルバムは未聴ですが、ぐるぐる回る2014にて彼女のステージは体感済み。いにしえのロックやサイケ、GS、歌謡曲などで盛りつけた音楽性、誰もが心配を覚える不安定な歌(島崎和歌子に笑いながらヘタクソと言われてた)で多くの人々の心をいただいてきた彼女たち。

 その進化を示す本作は、既発7曲を含む全17曲収録ということが関係していますが、非常に振り幅の大きなアルバムです。#3「クロノスの鎌」でのダブステップ、#5「Orange Slumber」のようなシューゲイザー、#6「KUMA GOQLI」のメルヘン世界、#8「get rid of the Chopper」のミクスチャー感、#13「Karma」の星空エレクトロニカと欲張りなファミレス並にメニューを取り揃え。いくらなんでも無謀だろと思えるぐらいにジャンル横断の旅を、脱力した彼女達の歌唱をガイド役に楽しめる作品となっています。

 #12「男の子、女の子」なんて、メンバーのコーラスのみで紡がれた不思議な音響を実現し、Bjorkやハチスノイト様のような擬似世界も堪能できる仕組み。軽快なエモーショナル・ロックチューン#4「rainy dance」のように汗と黒い羽が飛び散る熱い楽曲も良いですね。

 こんなにもバラバラなのに、不思議と統一感ある形になっているのはベルハーらしさが存分に発揮されているからでしょう。田中ディレクターの狙いだと思うが、様々な製作陣が提供した本格派の楽曲があるのに、彼女達の不安定な歌で敢えてふにゃふにゃっと曲げちゃう。目が悪くないのに、あえてメガネかけて視界をぼやけさせる感じ。そんなハズしの醍醐味をいずれの曲でも堪能できると思います。

 僕としては、朝日が差しこむように鮮やかな#1「Starlight Sorrow」、松隈ケンタさんが楽曲提供した#16「UNDO」の名曲ぶりに感動。音楽的にコアなラインを突きながら、アイドル文化もしっかりと伝達している点から、ゆるめるモ!と仲が良いのも頷けます。

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