Bertoia ‐‐Review‐‐

07年に結成された5人組シューゲ/インディ・ポップ・バンド。80年~90年代の音を素養にして、ギターポップ、エレクトロニカ、シューゲイザーを絶妙 に織り交ぜたサウンドで現代を駆け抜ける。2011年に初のフルアルバム『MODERN SYNTHESIS』を発表した。


MODERN SYNTHESIS

MODERN SYNTHESIS (2011)

 東京を拠点に活動するインディ・ポップ/シューゲイザー系バンドの初のフルアルバム。

 ふわふわとしつつもエレガントさを持った音のヴェールに煌びやかなメロディが寄りそい、murmurとして活躍する女性ヴォーカリストの甘さをしのばせた優しい歌が乗る。心地よく安らかな響き。そしてまた、親しみやすさに胸がドキドキしてしまう。音楽的にペイル・セインツたLUSH等に影響を受けたというのを拝見したが、4AD系の耽美な薫りやシューゲイズ要素をもっと親しみやすいものへと軟化させ、さらに近年のインディ・ポップやポストロックの要素を上手く結びつけている印象。また、透明感と軽やかさのあるスウェディッシュ・ポップの趣や浮遊感あるバンド・サウンドに夢見心地なエレクトロニカが繊細に溶け込む場面もあり、80’s~90’sの懐かしい味わいとモダンな感覚が絶妙に配合されている。近いのはやはりThe Pains Of Being Pure At HeartやScool of Seven Bells等になると思うけど、電子音のアレンジによるドリーミーさの演出や和のテイストがまぶされている分、おおらかな安らぎと心が温まる感覚が強い。それに曲から滲む初々しさがまた微笑ましい。

 柔らかなギターのヴェールにかっちりとしたリズム隊が絡む曲調は、輪郭をぼかしながらも穏やかさを持っているし、フェミニンな女性ヴォーカルは聴き手を誘う入り口として十分すぎる魅力を放っている。その美しいハーモニーは秀逸で、詩的な響きをも内包。それに繊細な電子音が煌らかな水脈を通しており、この手のバンドにしては珍しくベースラインがふくよかな稜線を描くように動いているのも特徴だろう。麗かな春の温かさに包まれる#1「MONOTONE」を皮切りに、巧みな空間の編み方とキュートな魅力が詰まった#2、キラキラとしたメロディを纏いながら力強い疾走とハーモニーを聴かせる#5、落ち着いたサウンドで空間に淡い儚さを滲ませていく#10、とあらゆる人々に勧められそうな良曲が揃っている。多様な要素を封じ込めながらもキャッチーかつドリーミーに織り上げたサウンドスケープは、甘美な味わいと感傷的な想いに浸ることができるだろう。聴後の心をほぐすかのような温かい余韻がまた作品の良質さを物語っている。

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