BiS ‐‐Review‐‐

エモいロックを基調とした楽曲、そして色んな形での炎上で過激なアイドルであり続けた、「アイドルを研究して、アイドルになろうとする、アイドルになりたい 新生アイドル研究会」。

レビュー作品

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bisbest

うりゃおい!!!(2014)

 最後まで色んな意味で燃え続け、過激に異端に突き抜けてきた新生アイドル研究会のサヨナラ・ベスト。そのセンセーショナルな活動故に、約3年5カ月の活動期間中に総在籍人数11人中5人脱退(某番組の人気コーナーで劇団ひとりに「多分 ●リラ」と言われたセカイのコシノジュンコを除く)という事態になったのはご存知の通りで、これに伴って最終メンバーである6名でようやく再録した作品でもある(#1「Give me your love全部」~#12「Fly」まで)。また本当に本当の最終曲である新曲#16「ただ泣いて」を収録。単なるベストとは言い切れない盛りだくさんの内容である。

 未だに彼女達の一番のトピックである全裸で樹海を駆けずり回るロック・チューン#6「My Ixxx」を始め、すらりと並ぶシングル曲に加えて、インディーズ期の1stアルバムから#1「Give me your love全部」や#5「レリビ」といった重要曲も網羅した全16曲。6人による歌録り直しだけでなく、楽曲自体も練り直されて最新形にアップデートし、新旧ファン問わない嬉しいベストアルバムとなっている。サックスにトランペット、ストリングスがゴージャスに添えられた#3「太陽のじゅもん」等の初期曲が顕著だけど、納得のFiNALモードへ進化。また、歌詞はメンバーによるものが大半なのだが、こうしてベストとしてまとめられるとその時の彼女達の心情が伝わるし、その移り変わりにも心打たれる。

 特に好きなのが#7「primal.」と#12「Fly」の2曲。前者はゆっふぃー在籍時のものを超えることは無いと思っていたが、再録版でのラストサビがあまりのエモさで胸が締め付けられる。後者もやはり”エモい”がキーワードになってくるが、焦燥感が滲む切ないロックに胸が締め付けられる。この2つの名曲に加え、BiS史上最も重要な必殺曲#4「nerve」がエヴィゾリで数々の奇跡を起こしてきた。それでも解散公演の横浜アリーナは、破滅と破産へ向けって状態なんだけども(主に集客面)。

 そして、無い胸を曝す水着姿でのPVもそうだが、底抜けの明るさとポップさが魅力の#15「FiNAL DANCE」、メロディアスなロッキンナンバー#16「ただ泣いて」で最高の笑顔溢れる光景に着地する。最後に来てこんな明るく締めくくるなんて、どうかしてるぜ(笑)。そんなこんなでプー・ルイが常々「曲に命かけてますからっ!」と豪語してるけど、その言葉に相応しい楽曲が揃っていると思う。

 初回盤のDISC2には、これまでのカバー曲詰め合わせ。こちらは再録されていないため、以前の在籍メンバーであるユッフィー/ミッチェル/ワッキーの声が聴けるので、BiSの歴史を少しだけ楽しめることだろう。SPANK HAPPYのカバー#1「エレガントの怪物」からBiS階段による戸川純カバー#9「好き好き大好き」までの9曲を収録。その中でも、仲が良いのにいつのまにか謎なぐらいに差がついたでんぱ組のカバー曲#7「でんでんぱっしょん」は、差がついた理由がここにあるというカバーっぷりだが、でもこれが彼女達らしい。A●SKA容疑者(保釈なので隠してない)が薬でYAH-YAH-YAHと幻覚祭りで御用となった日の当日のライヴでは、「YAH-YAH-YAH」をライヴの1曲目に入れるとかいうバカなことをやってくれるBiSだからさ。なんだかんだでこの中では#8「プライマル。」のカバーがライヴで聴いたからってのがあって、僕は一番好きですね。

 エモいアイドルグループとして、またひとりもかわいい子がいないアイドルグループとして、さらに揉めるアイドルグループとして、業界をさんざん引っかき 回してきた彼女達。ラジオでは下ネタばっかり言ってるし、無謀な100kmマラソンがあったし、テンテンコは劇団ひとりにエキベンされたし、それが結果的にスーツを着た大人達のけしからんジャスティスに繋がって、日本武道館公演を断念せざるを得なくなったわけだが、それがやっぱりBiSなんだろうなと。

 おバカ&おいたが過ぎた故にアンチも多い彼女達のワンマンのライヴは、1回しか見てないが(他にサマソニとタワレコでのミニライヴ)、歌もダンスも大丈夫か?と心配するぐらいなのに、あの無敵の空間を作って楽しませてくれるんで、僕は素直に素晴らしいと思った。祝・解散?ノンノンノン。BiS解散に伴って日本の音楽界も平穏を取り戻すかもしれないが、このように引っかき回すアイドルが消えて無くなるのは、寂しくもある。解散後もそれぞれがバカやって楽しませて欲しいですね。


WHO KiLLED IDOL? (ALBUM+DVD) (MUSIC VIDEO盤)

WHO KiLLED IDOL?(2014)

  炎上と共に突き進む過激でエモいアイドル集団、BiSのラストアルバム。キーパーソンであった寺嶋ユッフィーの脱退を始め、ご存知のように様々な紆余曲折があって、現在は6人編成となっている。アルバム発売後の3/15は僕の大好きな番組である『ゴッドタン』に、「このアイドルのライブがスゴイ!」というランキングで1位に輝いて出演を果たした。いいのか悪いのかはわからないけれども(笑)。

 さて、そんな本作だが、主に楽曲を手掛けている松隈ケンタにとどまらず、難波章浩やヒダカトオル(ex.ビークル)、上田剛(AA=)など作曲陣に強力な援軍を迎え、さらにはGLAYのギタリストであるHISASHIをゲストで召喚(#1「primal.2」に参加)。仙台の可憐なアイドル・グループである Dorothy Little Happyとのコラボ曲#6「GET YOU」も収録している。ということもあって、楽曲の振り幅はさらに広くなっており、前作『IDOL is DEAD』よりもごちゃ混ぜ感が強い。卒業ソングのような涙色のバラード#1「primal.2」から非常に驚かされたけど、レトロなサイケ調とモダンなエレポップの要素を混成させた#5「マグマト」、軽快なスカ・パンクで弾けた爽快感を生む#7「MURA-MURA」、煌きエレクトロ・ダンスロック・ チューン#8「MMGK」と意表を突く曲を揃えてきている。その辺りはBiS階段などのコラボ等、なんでもアリの姿勢でアイドル街道を邪に突き進んできた彼女達らしいかな。

 ただ、当然ながらラウドロック+エレクトロを基調にした、エモーショナルで攻撃的な楽曲が中心にはなっている。上田剛らしいゴリゴリのデジロックで席巻する#3「STUPiG」が序盤で存在感を放ち、ヒダカトオルが作り上げた爆裂ソング#9「BiSmulation」からの後半戦は、さらにアゲアゲで飛ばしている印象。CROSSFAITH風のピコリーモちっくな#10「ERROR」、パンキッシュな勢いを持って大空に羽ばたいていくような#11「nasty face」辺りは、特に興奮を煽ってくる流れだろう。カゲキ/過激/歌劇に突き進んでこそのBiSだっただけに、やっぱりこういう曲を中心に据えた方が作品が締まる印象がある。そして、っミッチェル卒業ソングになった#12「Fly」が切ないエモロックで泣かせ、現メンバーで録り直された#14「Hide out cut」が青春のピュアな煌きと感傷を伴ったこの疾走チューンで、さらに泣かせる。

 極めつけは、イエモンのカバー#15「プライマル。」まで飛び出してくる始末。最後は、彼女達の代名詞といえる「primal.」でしっかりと花道を飾る。だから思い入れのある「primal.2」にはあのPVを あてがうわけだなと(笑)。そんな全15曲が収録されているわけだが、前述したようにごちゃ混ぜ感と共に楽曲の独立感が強いように思え、まとまりはあまりない。エモいアイドルが放つロック・アルバム的に上手くまとめられた前作『IDOL is DEAD』に軍配が上がるかなというのが僕の意見。そもそもあの頃のラインナップが最盛期だったと思うしね。もちろん、新メンバーの占める比重が大きくなって生まれ変わった本作にも、新たな4人の歌声とバラエティに富んだ曲調が楽しめるという特色がある。

 そして、ご存知の通りにBiSは解散する。結成当初から異端な道を歩まざるを得なかった?彼女達の終わりはすぐそこまで近づいている。激しく、華々しく、エンターテイメント一杯に散るのがBiSらしいと思うので、7月8日の横浜アリーナは、是非そのような最後であって欲しい。


BiS階段

BiS階段(2013)

 ジャパニーズ・キング・オブ・ノイズこと非常階段とのコラボレーション作品。S.O.B.階段にJAZZ非常階段、初音階段と様々なコラボを見せてきた重鎮達が、ついにアイドル・グループとタッグを組む事になったのが本作である。戸川純の「好き好き大好き」をカバーしているにせよ、主体となっているのはBiSの方であり、彼女達の代表曲に非情なるノイズが覆いかぶさってくるのが特徴といえるだろう。予想できたとはいえ、やっぱりこういう解答になるよねえという形には収まっているが、実際は全裸になりきってない破天荒アイドルとノイズの重鎮のコラボに病みつきになる人もいるだろう。

 個人的には、ある種のヤバさを期待していたので、非常階段のノイズが抑え気味になっている点が勿体ないなあと感じてしまうが、ポップスとしての体を成すことを考えるとスタジオ音源としてはこうなってしまうのかなとも思う。BiS必殺の2曲である#3「nerve」や#5「primal.」は、別次元の力が加わっても流石の名曲であることを伺わせ、一方で#4「eat it」なんかはもっとぶっ壊しても良かったんじゃないかなとも感じてしまう。ただ、締めくくりの#7「BiS_Kaidan」がようやく世界を破綻にまで沈めるノイズの海を形成し、27分間に決着をつける。

 しかもライヴになると、可能な限りパンティーを投げるわ、生臭い液体をぶちまけるわ、の頭を放り投げるわ、スタンガンで打ちまくるわでもっと無茶苦茶(笑)。まあ、こういうハチャメチャなエンターテイメントが専売特許なんで、それを思う存分楽しめたらなと思う。ちなみにLPの方だと、CDよりもノイズ40%増量らしいので、濁流のような音渦にさらなる興奮が待っていそうである。


IDOL is DEAD

IDOL is DEAD(2012)

 アイドルを研究して、アイドルになろうとする、アイドルになりたい【新生アイドル研究会】のBiSのメジャー1stフルアルバム。

 全裸PV等で話題づくりには事欠かない彼女達ですが、エモいアイドルとして話題となった本作がなかなかに良い。ピコリーモ全開にちょいメロデス混ぜました的な#1「IDOL is DEAD」から意気込みが凄く伝わってくる作品である。最近だと、「アイドル×○○」のように一枚乗せてくるタイプのユニットが多いと感じているけど、彼女達の場合は楽曲の軸として、ラウドロックを選択し、さらには前述のピコリーモからメロデス、オルタナ~ミクスチャーまでを軽々と横断。確かにアイドルらしからぬロック感が強い。”エモすぎるアイドル”なんて表現されるのも、強烈なスクリームを乗せるサウンドの基盤があるからこそだし、それにブランキー臭い#5「CHELSEA」やヴィジュアル系アルペジオが冷涼に響く#10「hitoribochi」というスパイスも用意していて、おもしろい。

 というわけで、予想以上にバリエーション豊かな楽曲群が作品を支えており、聴いてて驚きは大きい。全体としては、やさぐれたガールズ・ロックみたいな印象か。それでも、大沢伸一のカバー曲である#7「Our Song」ではなぜかシューゲイザーもやってたりするし、#9「I wish I was SpecIaL」ではメロコアにも挑んでいる。王道のアイドル・ポップスといえるのは#6「nerve」ぐらいか。この曲ではメンバーの可愛らしい歌声が爽やかな風を運び、サビのエヴィゾリでハッピーにしてくれる。全裸PVの#8「My Ixxx」やグロすぎるPVだけど個人的には一番好きな#13「primal.」といった名曲をも揃えた全13曲を収録しており、様々な界隈に刺さるかもしれない刺激的な作品に仕上がっていると思う。


Brand-new idol Society

Brand-new idol Society(2011)

 新生アイドル研究会を名乗るアイドル・グループの1stアルバムで、初期メンバーの4人(プー・ルイ、ヒラノノゾミ、ナカヤマユキコ、ヨコヤマリナ)による最後の作品である。この頃から、他のアイドルとは毛色が違う型破りなスタイルで突き進んでいて、楽曲もロック色の強いものが多め。四つ打ちロッキンな#1「Give me your love 全部」、軽快なパンキッシュ・チューン#6「let me sleep」、ラストを飾る切れ味良いギターロック#13「レリビ」などがその筆頭だろう。中川翔子を手掛ける松隈ケンタとタッグを組み、いい意味での遊び心を入れながら、ロックを中心に様々な曲調で楽しませてくれている。

 他にもサックスを交えてムーディな雰囲気を持ったしっとりとした歌もの#3「太陽のじゅもん」、トロピカルな気分を味わえる#9「ティーンネイヂフレイバ」などが印象的であろうか。SPANK HAPPYのカバー曲「エレガントの怪物」もテクノポップ調に仕上げてあって、感心します。そして、何といってもBiSを語るうえで決して欠かせない代表曲#4「nerve」を収録。アイドルらしさとアイドルらしからぬ、この相反する二つの要素が上手く共存しており、収録された全13曲はバラエティ豊かな曲調が揃っていて、いろんな角度から楽しめる作品となっている。そして、全裸PVなどの話題作り等、泥臭く過激に突き進む事を選んだ彼女達は、本作を経て”エモいアイドル”としての完成系である次作の『IDOL is DEAD』に辿りつく。

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