Between the Buried and Me ‐‐Review‐‐

アメリカはノースカロライナ出身のカオティック・プログレコアバンド。様々なジャンルを咀嚼し、取り込んだ唯一無二のスタイルで想像を超越したロックを届けている。ドリーム・シアターのマーク・ポーノトイもファンだとか。

レビュー作品

> The Great Misdirect > Colors


The Great Misdirect [Import CD]

The Great Misdirect(2009)

   全世界に衝撃を与えた傑作「Colors」から約2年ぶりとなる5thフルアルバム。これまた衝撃的な作品を届けてくれたものだとまず感心する。全6曲約60分に及んで繰り広げられる、ブルータル・プログレ混沌音絵巻はまるで他の追随を許さない極めて独創的な世界。デスメタル、ハードコア、ニュースクール、グラインドコア、エモに加え、カントリーミュージックやフォーク、ジャズにポストロックまで幅広いジャンルを横断し、プログレッシブに料理した6つの楽曲、それが圧倒的スケールで迫ってくる。それも前作「Colors」以上の密度と濃度を持って。

 ブルータルなリフと野生味全開の咆哮に変拍子多様の荘重なリズム、かと思えば叙情的なメロディと静謐な哀愁が漂い、フォークなパートや柔和な唄メロ、勇壮なコーラスワークまでもがひっきりなしに飛び出してくる。緩急・変幻自在の目くるめく迷宮、もはや何でもありの変態的混沌風景は彼等にしか成しえないだろう。前作と比べると、激しい部分よりも静謐なパートの麗しさとしなやかさが馴染み、それでいて展開がさらに複雑化した印象だが、そのアレンジの巧さといい、一つの曲の持つ密度の濃さや情報量というのは半端ではない。

 それでも全体的な尖り感や暴力性、全てをなぎ倒す突進力はまるで衰え知らずで、静・動を絡めた的確なサウンドメイキングと質の高さは尋常ではない。多大な集中力を要す作品であるのはいうまでも無いが、気付けばその世界観に飛び込んでしまっているような音の引力の強さやテクニカルな展開の妙も素晴らしい。トチ狂ったエレクトリカル・パレードと表現したくなる#4のようにコミカル・ユーモアに富んだセンスも抜群だし、彼等らしいスケールの大きさを叩きつける#2、#6にも舌を巻く。やはり変態的なセンスの持ち主であり、狡猾なインテリジェンスの使い手であることは疑いようの無い。前作同様に凄いアルバムだ。


Colors

Colors(2007)

   アメリカはノースカロライナ出身のカオティック・コアバンドの通算4作目。まず始めに聴いた感想が、カオテッィクコアというジャンルの境界線を高い跳躍で飛び越えてしまった作品だと感じたことだ。それは誰しもがこの作品を聴いたらそう思うだろう。同ジャンルでいえばISISが「Panopticon」で現在のミュージックシーンに一石を投じたように、Between the Buried and Meもこの「Colors」で一石を投じたといえそうだ。それほどこの作品は素晴らしい。

 オープニングでは我々を嘲笑うかのように哀愁を残すピアノの旋律とヴォーカルでリスナーの虚を突いたかと思えば、次の瞬間からは猛威を振るう暴虐のトルネードが全てを巻き込む。圧倒するブルータルサウンドを主軸に置きながらも、プログレ、ジャズ、ロカビリー、カントリー、果ては欧州のメロデス、メロスピ等、シンフォニックの様々な”Colors”を取り入れて武装された革命的なロックサウンドに驚きを隠せない。非常に引き出しの多いバンドといえるだろう。

 8曲65分と長尺の楽曲がそろって(10分を越えている曲が3曲)いるが、全く予測不可能な展開と数奇を凝らして構築されたユーモアが我々を楽しませてくれて、時間の長さなど感じさせないつくりとなっている。他ジャンルを詰め込みまくってパッケージしているものの、抜群のセンスと緻密に設計された構成で楽曲の崩壊や破綻を防いでいる。ブルドーザーのように激烈な暴虐サウンドによる激情と豊穣なメロディラインが生み出す叙情の化学反応が起こす混沌に精神が殺られる。8曲65分と前述したが、65分間が壮大で情熱的な歌劇のようにドラマティックで美しい。変態的でありながらも狡猾さをも持つインテリジェンスに魅力を感じずにはいられない。

 ちなみに今作は昨年のベストアルバム候補にも至るところで名を連ねており、Dream Theaterのマイク・ポーノトイも1位に挙げていた作品。正直、言えばそのDream Theaterも完全にこの作品に喰われちまってますがね(苦笑)。いやあ、自分ももっと早く聴いておけばよかったなあと今更後悔しているわけです(汗)。

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