CHAOS JOCKEY –Review–

ROVO、想い出波止場、羅針盤などで大活躍しているギタリスト/コンポーザーの山本精一とJASONS、PHEW、MOSTなどを渡り歩いたドラマー・茶谷雅之によるアヴァンギャルド・ノイズ・ユニット。2000年の高円寺でのワンマンライブからキャリアをスタートさせ、結成から08年まで、年に1回あるかないかといったペースでライブ活動を続けてたのが地味に話題になる。その後、1枚のEPをリリースし、結成10周年の区切りとなる2010年に待望の1stフルアルバムを発表した。


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1(2010)

   ROVOや想い出波止場などで活躍するギタリスト兼コンポーザーである山本精一と幾多のバンドを渡り歩くドラマー・茶谷雅之によるノイズ・ユニットの結成10周年にして初となるフルアルバム。

 まるで分厚い雲を思わすぐらいに膨大に吹き荒れるギター・ノイズが恐ろしい混沌を生み出していく強烈な作品である。積み上げられたアンプの壁から次々と放射されるノイズが荒々しく渦巻き、変幻自在・縦横無尽に暴れるドラムがドライヴ感とヘヴィネスを加味しながら、トランシーな状態を呼び起こすアヴァンギャルド・ノイズ・ロックともいうべき仕様。まず特筆すべきはその音の壁だ。エフェクターを踏んで最大限に解放される爆音ギターが恐ろしいまでの混沌の激流となって空間を飲み込んでいく。このままではただのノイズを生かしたエクスペリメンタルな作風では終わりそうな所に、茶谷氏のドラムが加わること(もちろん、茶谷氏の才覚があってこそだが)で、楽曲に輪郭が書き殴られ、圧巻のスピード感と躍動感がF1ばりのスリルを味あわせてくれる。

 10分超をミニマルな展開で進んでいく辺りはROVO的な感性が発揮されていると言えなくもないが、ROVO風に徐々にカタルシスを与えて最後に爆発という感じではなく、初っ端から一気に昂揚の臨界点を突破してしまうサウンドをひたすら叩きつけている印象だ。尋常ではないノイズの極北を圧倒的なスピード感を伴って突き進むかのような15分超の#1、妖しげなギターフレーズと変則的なリズムが空間を弄び、耳に艶めかしくこびりつく#2、きらびやかな効果音をまぶしながら和の情緒あふれるギターの音色が独特の情感を紡いでいく#3、#1と同系統の曲ながらさらに加速度を増していき、ラストのドラムの高速連打で止めをさす#4とどれも傑出した曲ばかり。4曲で約43分であるが、この中身の詰まりようには納得するほかないだろう。10年という年数の重みも感じさせてくれるのも実に見事で、爆音と喧騒による凶悪な渦を才人たちの激突が理想的な発展へと変えた、凄まじい一枚に仕上がっている。

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