ChthoniC ‐‐Review‐‐

1995年から活動を続けている台湾のブラックメタルバンド5人組。Cradle Of Filth直系のシンフォブラックに二胡と美しすぎるベーシスト・ドリスという武器を加えて異端な存在感を放っている。


Mirror of Retribution

Mirror of Retribution(2009)

 アジアから世界へと攻撃を開始した台湾のブラックメタルバンド・ソニックの3年ぶりとなる5作目。地獄をテーマに造られ、プロダクション・ミキシングはAnthraxのロブ・カジーノが担当している。

 個人的には本作で初視聴となるが、印象としてはCradle Of Filthの血を輸血したかのようなシンフォニック・ブラック。禍々しい狂気を発するヴォーカルは低音から高音域に至るまで絶叫しまくり、メロデス寄りのリフやトレモロを多用したギター、紅一点のドリス嬢のベースとブラストも炸裂させるドラムが煉獄のシンフォニーを奏でる。不穏な空気を充満させるSE#1に続いての#2から容赦なく突撃を開始。その猛然と襲い掛かる黒い音塊の前に呆然としてしまう。どの曲を聴いても、強靭なアグレッションに牽引され、絶望の底へと叩き込まれる。その異様なまでのテンションでスラッシーに畳み掛ける様はなかなかにかっこよく、通常の精神状態を歪ませる破壊力は相当なもの。ただ、アグレッション値の高いサウンドの中で、その上に乗るキーボードによるメロディがシンフォニックな趣を醸しだし、アクセントとして着実に機能。過剰なまでの激しさながら、叙情性を重んじていることも伺える。

 そして、彼等の最大の特徴である二胡(中国の伝統楽器で、東洋のヴァイオリンともいわれている)の旋律。一度耳にしただけでも頭の中に残ってしまうほど、その旋律は非常に美しく印象的だ。それが郷愁を誘うのも実に様になっている。ブラックメタルの八つ裂きっぷりと二胡の活躍が凄く強烈な#2、ブラストでスタートして作品中随一の複雑さと緊迫感を誇る#8などが個人的には好み。あまりにも無慈悲で惨劇を臭わせる作風ながら、どこか憂いを帯びたサウンドメイキングが巧妙であり、ややチープな音質も手伝ってジリジリと精神にくる作品だ。

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