Constants -‐Review-‐

USマサーチューセッツ/ボストンのトリオバンド。「The Appleseed Cast meets ISIS」 、「Cave In “Jupiter”の再来」とも比喩される彼等のサウンドは、徐々に徐々に知名度を上げている。2010年に発表した3rdアルバムではあのJustin K Broadrickがプロデュースを務めており、先々の活躍が期待される存在だ。2012年に発表した新作『Pasiflora』ではシューゲイザーに挑戦するなど、新たな側面も見せつけている。

レビュー作品

> Pasiflora > If Tomorrow The War > The Foundation, The Machine, The Ascension


Pasiflora

Pasiflora(2012)

   2作ぶりにMylene Sheathからリリースされた5thフルアルバム。開けて聴いた時は、マジでConstantsのCDなのか?と疑ってしまうぐらいに驚いた。それもそのはず。シューゲイザーへおもいっきり挑戦した内容で、先行で試聴できた#1「Sunrise」からマイブラを思わせる甘美なメロディが心地よく鼓膜の中で鳴る。さらに#5「Beautiful」ではマイブラの「To Here Knows When」を強烈に意識した美しさに恍惚…。

 もちろん、これまでの作品でもJesuと比較されるようにシューゲイザーという単語が頭を掠める部分があった。だが、ボストン人脈らしいポストハードコア~ポストメタルの重厚な音壁が立ちはだかっていたのでその要素は大きくは目立たなかった。それが短期間でいきなりここまで武器として昇華してくるとは驚きである。鮮やかな電子音が見事な装飾を施し、輪郭のぼやけたヴォーカルがJesuっぽい轟音ギターとともに揺れるそのサウンドは、三半規管だけでなく確かに心を揺さぶるものだろう。どこを切り取ってもシューゲイジング・オンパレードの作品として仕上がっている。加えて、エレクトロニカ/アンビエントに流れる場面もあり。けれどもボトムの力強さが健在している辺りはやはりボストンの洗礼を受けた人たちなんだという喜びもある。

 海外だと”JesuとM83の合体(#10「Crosses」から特にそれを感じさせる)”だとかNadjaみたいに”ドリームゲイズ(またはメタルゲイズ)”とか表現されているみたいで、賞賛の声が多い様子。個人的には前作までの作品のほうが好みではある。だが、確かにこれまで以上に際立ったメロディの良さ、そしてシューゲイザー再評価も相まって関心を集めそうな1枚といえるだろう。インパクトは予想以上に大きい。


If Tomorrow The War

If Tomorrow The War(2010)

   本国では2010年、日本では2011年にSTIFF SLACKからリリースされた4thアルバム。Justin K. Broadrick先生(ex-Godflesh、Jesu)プロデュースのもとで鳴らされる轟音シンフォニーは前作以上に印象的だ。

 2ndアルバムの作風からジャスティンとのコラボレーションを熱望していた人も多いと思うが、それがバッチリとハマっている事を#1のイントロの轟きから実感。同じボストンの雄・Cave Inの持つハードコアの荒々しさと美しさを研ぎ澄まし、Jesuばりの轟音ウォールを造形して聴き手を圧倒する。艶やかなヴォーカリゼーションも変わらずにスッと耳に入ってくるし、カオティックな絶唱も時に炸裂。さらにはアトモスフェリックなパートやエレクトロニカっぽいアプローチも自在に使い分けており、緻密になった構成で作品全体を聴かせにかかっている。その波動のような轟音といい、メロディの美味といい、かなり熟成してきたなあという印象を受けたし、バンドとして一本太い芯が通っている事を感じさせる。ボストンのハードコア精神と轟音シューゲイズの音壁の間をシンセが揺らめき、絶叫が木霊する#2のインパクトは絶大だし、続く#3では電子音を用いながらエレガントな質感と凄まじい音圧に飲み込まれていく。Jesuから受け継ぐ重厚さと浮遊感の同居した音像、さらに差しこんでくる光に包み込まれるような感覚は、ジャスティン指揮下のもとでさらに強力になっている。

 雲の上を漂うかのような国内盤のリミックス2曲も冴えわたっており、好内容。バンド所有のソーラーパワー(太陽光からの電力)のみを使ったスタジオで録音されたというコンセプチュアルな環境下で造られたことも話題の一枚だ。


The Foundation, The Machine, The Ascension

The Foundation, The Machine, The Ascension(2009)

    USマサーチューセッツ/ボストンのトリオバンドによる3rdフルアルバム(国内盤はSTIFF SLACKからリリースされている)。

 「Cave Inの『Jupiter』の再来」とも評されている彼等のサウンドは、天空から降り注ぐようなアトモスフェリックなギター・サウンドが白眉で、エコーをかけた柔らかな歌い回しや自身の出身であるボストンのハードコア譲りの力強いリズムが映える。そして、地響きを起こしながら空間に轟くディストーション・ギターがまた強烈で、楽曲に圧倒的なスケール感を加えていく。また、その合間を駆ける美しいメロディや心地よい浮遊感がスペーシーな佇まいを強調。ヘヴィだけども空間的でシューゲイザーともリンクした甘美な音のヴェールを築き上げる様は、歌い方も含めてまるでJesuを髣髴とさせる。重厚でありながらもここまでの浮遊感を持った作品は本当にJesu以来だと個人的に感じてしまった。その上でもう少し歌ものとしての表現力が生きているのが彼等の特徴。故にJupiter~Antennaの頃のCave InとJesuの良さを併せ持ったボストンの新鋭と表現しても差し支えないだろう。同じくボストンのISISから受け継いできたグルーヴの強靭さがしっかりと軸を支えているのも良い。また、タイトル通りに「The Foundation」~「The Machine」~「The Ascension」という三部構成でスケール感と恍惚感を深めていく流れもバンドの資質に合っていると思う。アトモスフェリック~ポストメタル~ヘヴィ・シューゲイズ等を内包したこの音は、多方面に揺さぶりをかけるインパクトを持っている。

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