DEAD END ‐‐Review‐‐

80年代に活躍した伝説の4人組ロックバンド。もろジャパメタな激しい演奏と妖艶な世界観を融合させ、確固たる地位を築き、人気を博していた。彼等の作品が当時、海外でも発売されていたのがその実力を物語っているといっていいだろう。ばりばりにメイクを施した容姿と世界観から、後のヴィジュアル系にも多大なる影響を与え、ラルクや清春、ジャンヌダルクを始めとして数々のフォロワーを生み出した。このたび、20年の眠りから醒め、再びの復活を果たした。20年ぶりの5thアルバム「METAMORPHOSIS」の素晴らしさは筆舌しがたい。

レビュー作品

> Dream Demon Analyzer > METAMORPHOSIS > ZERO > SHAMBARA > GHOST OF ROMANCE > DEAD LINE


Dream Demon Analyzer

Dream Demon Analyzer(2012)

    夢の続き。2年半ぶりとなる復活2作目(通算6枚目)。ドラムは湊ではなく、サポートドラマーの山崎慶が参加している。昨年11~今年1月にかけて発売されたバンド史上初の3ヶ月連続シングル#2『Conception』、#9『Final Feast』、#8『夢鬼歌』で聴かせた方向性どおりに、前作『METAMORPHOSIS』をダークに妖艶にメロディアスに深めてきた作品だ。所々では『Shambara』期の感性が輝く瞬間もある。HR/HM要素を軸にしてゴシックかつシアトリカルに染められていく。復活前と違って、ヴィジュアル系寄りのサウンドにいってはいるものだが、泣く子も黙るカリスマ性、独創的な詩と音で作り上げるおどろおどろしくもディープな世界観は風格が違う。

 序曲の#1「水晶獣」から現在のDEAD ENDが凝縮されている。重厚に轟き、メロディアスに靡く。鋭いギターリフに泣きのソロ、そしてリズム隊による骨太のグルーヴが根底を支えている。#3「SSS」や#5「Seiren」におけるメタリックなサウンドと妖艶なダークさの融合は、近年の彼等らしい。加えて『Shambara』期辺りのエッセンスもどことなく感じる事ができる。また、圧倒的な個を体現するMORRIE御大の歌唱は、バンドの核そのもの。魔性の頬笑みのようなミステリアスな感覚・物語性は、彼の魔法によるところが大きい。御年48にしてこの美貌と声、恐れ入る。讃美歌のような壮大なバラード#10「No Man’s Dream」の懐の深さを感じる彼の歌唱は、あまりにも情感豊か。ギターの妖しいメロディに乗せて語りかける様な歌が添えられていく#11「Deep -流星白書-」は、余韻が残る締めくくりとなっている(この曲は当初はインストの予定だったらしい)。楽曲毎に個性を持たせつつ、全体として大きな流れを作り上げる上手さも流石だ。

 その中でも個人的には三部作最後を飾ったシングル#8「夢鬼歌」がベスト。何度も聴き返してしまうほどに陰影のあるメロディラインの美しさ、そして曲の持つストーリーが素晴らしい。しかし正直なところ、前作ほどの衝撃は受け無かったのも事実。これは『METAMORPHOSIS』を聴いた耐性(さらに加えるとCREATURE CREATUREの影響もある)によるものが大きいが、この不思議な毒気と独創性のある世界観にやはり惹かれる。もっと冒険して欲しかった気持ちは強いが、現在の音楽性への自信を伺わせる順当な一手。


METAMORPHOSIS

METAMORPHOSIS(2009)

    ジャパメタにもヴィジュアル系にも多大なる影響を与えた大御所は黄泉の国より再覚醒した。20年の眠りから目覚めた奇跡の復活作(通算5枚目)。JACK IN THE BOXでも披露された#2を含む全10曲から姿を成すこの新作は、ブレることない強烈な個性と新境地が同居するDEAD ENDにしか造形できない作品となっている。

 アルバムごとに表情が異なる事でも知られる彼等だが、本作においては現代シーンと共振するようにヘヴィ&ダークに武装。それが元々の妖しく奇妙な世界観と有機的に交錯し、さらなる魅力の増幅へとつなげている。悪魔が微笑む衝撃性、どこか屈折したダークさを伴ったメロディ、耽美かつ妖艶たる絶対的世界。ジャパメタ・ヴィジュアル系に多大な影響を及ぼしたそのカリスマ的威光は全く衰え知らずに帰還した。当時を遥かの凌ぐ濃厚な闇を召喚し、重たい鉈で刻むリフと深みと妖気を増したMORRIEのヴォーカルが随所に炸裂。Youの流麗なギターもJOEの濃厚なベースライン、MINATOのパワフルなドラムも相変わらずの存在感。独特の緊張感と不穏なムードがひしひしと背中をさすり、毒々しいリリックと重厚でタイトなアンサンブルがバッチリと絡み合って彼等の音楽は、より力強く妖しく深化を遂げているといえるだろう。

 #1「摩天楼ゲーム」、#2「Dress Burning」、#4「Devil Sweep」を始めとして佳曲は多数、またラストの壮大なバラード#10「冥合」の締めくくりも素晴らしい。”殺戮の雪”や”天心散乱”、”皆殺し夢物語”といったMORRIEの詩の世界も相変わらず濃厚で、アートのような芸術性、ミステリアスな魅力を引き出しながら魍魎たる異界を造形している。ドラムの音が小さいというミックス面が気になるが、素晴らしい作品である。冥土から持ってきた”METAMORPHOSIS”という兵器に恐れ慄くこと必至。闇の奥の奥に引きずり込むような巨大な魔力が存在している作品だと思う。夢は決して終わらない。


ZERO[+2](初回仕様限定盤)

ZERO(1989)

   約1年ぶりとなる4thアルバム。前作に引き続いて岡野ハジメがプロデュースを務めたこの作品は、これまでとは様変わりするような内容になっている。

 いや、彼等の本質は揺らいでないのかもしれないけれど、当時”これはメタルなのか?”と議論の的となった異色の本作は、随分と風通しが良いものになっており、妖艶や闇という彼等のキーワードを自ら脱ぎ捨て、解放と自由を謳歌。”HR/HMの領域からビートロックへ、ダークからメロディアスへ、激しいから聴かせるへ”と大胆な転換を遂げている。アルペジオを多用してこれまでにない透明感ある音色を奏でるギター、じっくりとうねりを醸成するリズム隊、ストレートな表現で勝負しているMORRIEのヴォーカル、とどれもが重たい鎧を脱いだような感じ。退廃的な闇を表現してきた彼等だからできる、透き通った光の世界観と艶やかなロマンを地で鳴らしている。上品にアップデートされたことにより、生と陽の躍動感がなんとも不思議な引力につながっていて、間違いなく間口は広がった。例えるなら90年代末期のラルクような感じだろうか。流麗でメロディアスな質感を醸し出す本作も後世に与えた影響は大きいと思える。空を優雅に飛翔する伸びやかなギターとまっすぐな歌声が印象的な#1、彼等らしい妖艶なイメージを残しつつもそれを陽のフィールドで活かすことに成功した#2、限りなく純化されたバラード・ナンバー#4などが本作を代表している佳曲。自らの世界をより自由に開放的に広げた意欲作といっていいだろう。


shambara[+2]

SHAMBARA(1988)

   プロデューサーにDEAD ENDの第5のメンバーといわれていたりもする岡野ハジメを初めてプロデューサーに迎えて制作された3rdアルバム。

 前作『GHOST OF ROMANCE』で高まったミステリアスなダーク性、妖艶でカルト的な世界観は一層の深まりを見せると同時に、本作において特徴的になったのはそのしなやかさや麗しさだと思う。加えて中毒性も。美しい狂気、それを全編にわたって感じられる内容なのだ。エッジの立ったギターやタイトで重心の低いボトムは健在だし、MORRIEのカリスマ的ヴォーカルは言わずもがな個性の塊。。彼等らしい卓越した演奏技術と比類なきセンスで唯一無二といえる存在感を示している。当然、軸足をHR/HMに置いてはいるが、ミステリアスかつメロディアスな性質を増したことで世界観は妖しく拡がりを見せていく。東洋的な旋律が瞬いたり、壮大なバラードナンバーを入れたり、一部ではプログレ~フュージョンの要素を感じさせたりと引き出しの多さはさすが。幻想的かつおどろおどろしい異界をいとも生彩かつ大胆に汲みあげていて、感嘆の声を隠せない。猟奇的できな臭さはあるけども耽美な精神を重んじる、それは現在のヴィジュアル系にも通ずる所だろう。本作はヘヴィメタルのカテゴリーを確実に超越したことを示すとともに、歌がキャッチーさを増したことからもヴィジュアル系の雛形というイメージもつく。

 #1「Embryo Burning」のイントロから度肝を抜かれることは確かで、様々な音色が果てぬ闇から妖しく響く全10曲が形どる世界は余りにも濃密だ。1stアルバムと並んで最高傑作に挙げる人が多い作品でもあるし、彼等の濃厚さが一時のピークに達したともいえるだろう。前作に続いて本作もメタルブレイドからアメリカで発売されていて、KERRANG!誌で5点中4点を獲得している。


GHOST OF ROMANCE[+1]

GHOST OF ROMANCE(1987)

   『DEAD LINE』の成功によってメジャーへ移籍して発売した2ndアルバム。本作からドラムに元SABLE TIGERの湊が加入、DEAD ENDの不動のラインナップはここで確立された。この2ndアルバムは前作の荒々しさとHR/HM色を残しつつ、妖艶でカルト的な面が確立されてきたことを伺わせる作品だ。

 メジャーから発売ということで、洗練された印象を当然残すのだが奇妙な輝きを放ち、闇の濃淡を力強く生彩に描き出している。#1からして魔性の耽美さを感じさせ、ヘヴィメタルを下地にしながらも大きく可能性を広げた。MORRIEの異界浪漫譚的な詩が世界を縁取り、タイトさを増したアンサンブルが形どっていく。後のヴィジュアル系に通ずる耽美、禍々しさ、闇と光といったキーワードを見事に孕んだ作品といえるだろう。鮮烈な印象を残したデビュー作と比べると完成度は高い。疾走感や刺々しさは減退しているが、4人それぞれが激しくぶつかりあっていたような印象から明確にグルーヴを紡ぎ出そうという姿勢が目立つし、実際に湊のドラムがタイトな質感を与えていて、バンド・サウンドに一層の引き締まりをもたらしている。#5のうねるベースラインと特徴的なドラミングは特に印象に残るはず。YOUのギターが稲光のように一閃する#3、#8も非常にかっこいい。また、本作で顕著になったの脳みそをかき乱すような中毒性がまたたまらない。正しい進化を遂げた一枚といえるだろう。なお、本作はあのメタルブレイド・レコーズから全米リリースもされていたりする。ってかこのジャケ写がJ.R.ギーガーってホント??


DEAD LINE

DEAD LINE(1986)

   当時インディーズで1万枚限定で発売され、瞬く間に市場から姿を消した傑作の1stアルバム。長らく廃盤となっており、ずっとオークションで高額取引されたようだが、このたびの20年ぶりの復活劇に伴い、リマスター再発された。なんでも、Xの『VANISHING VISION』に抜かれるまでインディーズ売上の記録を持っていたとか。

 刺々しく荒々しい、凄まじい殺気と緊張感に満ちた作品だ。耳に刺さるような、胸を突き破る様な激しいサウンドがこの頃の核となっていたことを伺わせる。若さゆえのギラギラとした感情と猛烈なアグレッションもさることながら、十分なスピード感とメタリックな硬質さが加わっていて、火傷するぐらいに熱い。骨格はもろにHR/HMのそれで、モトリー・クルーっぽい印象もあるし、80’sパンク/ハードコアとも近しい表情を見せたりもする。非常に過激な印象を受けるのだが、緩急はしっかりつけられていて、YOUのギター・プレイも静と動の押し引きが巧み。攻撃的な部分が際立ってはいるが、メロディアスな質感も十分に感じさせる。うねるベースラインもこの頃から躍動しているし、湊加入前のドラマーもなかなかの腕前。そんな中でも、MORRIEはこの頃からDEAD ENDの核となっており、存在感は抜群だ。哲学的で美意識に富んだ詩、刺々しいシャウトとビブラートを使った歌声で人々を魅了。彼等が他のバンドと一線を画す一番の要因はやはりMORRIEにあるといえるだろう。破滅の美学、それを体現したかのように現世から黄泉を突っ走る本作はデビュー作にして、DEAD ENDのカリスマ性を決定づけている。あまりにも衝撃的な本作を最高傑作と挙げる人も多い。

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