Dirty Projectors ‐‐Review‐‐

NYブルックリンからまたしても現れた新星。男女6人が混成して奏でる魔法の音楽は、Pitchforkを始めとしたメディアの高評価にとどまらず、ビョーク、デヴィッド・バーン、ヴァンパイア・ウィークエンドまでもを虜にしてしまっている。


ビッテ・オルカ(デラックス・エディション)

Bitte Orca(2009)

    男3人、女3人から成るブルックリンの異端ロック・グループの通産5枚目となるアルバム。これまた独特の温もりと幻想をまとったポップアルバムだこと。

 基本的には男性の滋味深い歌声、女性の柔らかく奇天烈な感じを持ったコーラス、甘美なアコースティック・ギターといい意味で隙間と余裕を持ったバンド・サウンド、優しく空間を色づけするキーボードが魔法のような空間を奏でている。奇抜な発想や特異な因子、変拍子なんかを挿入しつつ、自由な音遊びを実現。それを細かくアレンジを加えながら自らの作品に上手く落とし込んで美しいハーモニーを聴かせてくれている。複雑に編み込まれているのにとってもポップで妙に感性をくすぐられる、こういった作品はそうそうないと思う。フォーキーな感触が強いかと思うと、奇妙に電子音が被さったり、ファンキーなリズムが登場したり、音響派に精通した静謐な曲も出てきたりと様々な音楽性を租借・昇華。弦一本一本が共鳴し、いくつもの声が優雅に重なり合うことでひとつのアートを描ききっている。

 雑多なジャンルを有機的に結びつける感性もまた凄い。個人的には甘ったるいメロディと浮遊感にはかなり惹かれるものがあった。一筋縄ではいかない独創的なことをやっているにも関わらず、聴かせる術に長けていて、驚くほどポップを打ち出している印象。冒頭の#1にしても、特に印象深い#4にしても聴けば聴くほど心をうっすらと光を灯していく。奇妙奇天烈な魔法空間を紡ぎながらもポップに収斂した佳作であり、聴き手に優しい痕跡を刻みます。まるで歓喜の泉に浸ったかのように。

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