2006年に活動を始めたイタリアのアトモスフェリック・スラッジ/エクスペリメンタル・バンド。スラッジ/ポストメタル方面からドローンやアヴァンギャルドなアプローチも受け入れながら、不穏な事極まりない混沌のヘヴィ・サウンドを鳴らしている。
レビュー作品
> AVALON > 喝采と激情のグロリア > Justice
Dalla Nascita(2011)
イタリアのアトモスフェリック・スラッジ/エクスペリメンタル・バンドの2ndアルバム。ダウナーなリフを轟かせ、重苦しいリズムと遠巻きに聴こえてくる悲痛な呻きによって、ぽっかりと口を空けた暗闇にまるごと放り込まれる#1から異質さを感じる事だろう。スラッジ/ポストメタル方面からドローンやアヴァンギャルドなアプローチも受け入れながら、不穏な事極まりない混沌のヘヴィ・サウンドを鳴らしている。呪術的な重みを確実に深化させた音。クリーンな音使いも目立つ事は目立つのだが、風景は陰の方向へ確実に軋み歪む。NeurosisやKhanateの持つ負のエネルギーを吸い上げながら、もっとポストメタル的な方法論で楽曲を組み立てているのが特徴といえる。LentoやOmega Massif辺りとはまた違う、精神が沈む音色を響かせている点は興味深い。GY!BEのフィーリングも伝わってくる。
心身に破綻を起こさせるような激重ポストメタルで蹂躙する#2はキラー・チューンといえるだろうが、他の楽曲もしっかりと作品の持つ世界観に寄与。闇をより濃く深くしていく#4ではドローンに踏みいれながら、周りの空気をどんよりと重くする。この曲では個人的にはSUNN O)))の『Monoliths & Dimensions』を思い出すほど。また#5のようにポストロック/シューゲイザーに接近してみて聴き手に寄りそう姿勢も見せるが、最後に感情昂ぶって叫んで台無しにしている辺りは逆に好感が持てたり。阿鼻叫喚のノイジーなラストに恐怖を感じずにはいられない#7の締めくくりも良し。全7曲で約46分、堕ちる人はどこまでも堕ちて行けることだろう。増幅を続ける虚無感。出口はどこか。暗黒は遥か彼方まで続いている。
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