Earthless ‐‐Review‐‐

サンディエゴの誇るヘヴィ・サイケデリック・スペースロックトリオ、Earthless。聴くたびに脳内が麻痺するようなグルーヴの嵐が圧巻。2005年に『Sonic Prayer』、2007年には『Rhythms from a Cosmic Sky』と世に送り出した2枚の作品がコアなサイケ・ファンの心を鷲掴みにする。その勢いで2008年には初のライブ作品『Live At Roadburn』もドロップした。その後も不動のラインナップで地道に活動を継続。2013年には6年ぶりとなる3rdフルアルバム『From The Ages』をリリースした。

レビュー作品

> From The Ages > Live At Roadburn > Rhythms from a Cosmic Sky > Sonic Prayer


From the Ages

From The Ages(2013)

 オリジナル・アルバムとしては2ndアルバム『Rhythms from a Cosmic Sky』以来、実に6年ぶりとなる3rdアルバム。長い歳月は経てども、不動の黄金トリオによる終わりの見えないジャム演奏で、サイケデリック・ヘヴンへ突き進むのは相変わらず。

 Earthless節全開の#1「Violence of the Red Sea」からして、思わず唸るような出来栄えである。火を吹く歪んだファズ・ギターの応酬、骨太のベースライン、タイトなドラミングが渾然一体となって、開放と快楽へと誘う。70’sハードロックやサイケをベースにした渋い趣、さらにスペース・ロックやクラウトロック、ストーナーまでを加味し、モダンな感覚もしっかり持ち合わせている。それは、2ndアルバムからは地続きの内容と言えるだろうが、追及し続けたグルーヴの快楽といい、サイケデリックな酩酊感といい、他バンドから一歩抜きんでているなと。やりたい放題ではあるけど、この手のジャムにありがちなルーズさはなく、かっちりとした構成で高みに登りつめていく感じも独特。

 #2「Uluru Rock」ではゆっくりと煙たいリフを反復させる前半から、中盤から徐々にギアをあげていく。終盤での終盤ではドラッギーなソロと扇情的なリズムが嵐のように襲いかかる快感はたまらないものがある。08年発表のライヴ作品『Live At Roadburn』にも収められていたラスト・トラック#4「From The Ages」は、時に戦慄さえ覚えるサイケデリックな30分超えの大曲。圧倒的なテンションで昇天するまで終わりません(笑)。本能から揺さぶりをかけてくる巨大なグルーヴが最高で、Earthless健在を高らかに示す傑作である。2014年1月にはEternal Elysiumの招聘の元で初来日ツアーを予定。


Live at Roadburn

Live At Roadburn(2008)

   人力サイケ・ストーナー・トリオEarthlessの初のライブ作品!と思ったらitunes storeでライブ音源が4作品ほど発売されているのを見つけたり。とまあそれは置いといて、本作はオランダでドゥーム・ストーナー関連のマニアックなバンドが一堂に会して開かれるRoadburn Festivalのライブを収録したもの。2枚組という大盤振る舞い!は非常に嬉しいし、苛烈を極める内容!には参りましたの一言。んで、本作の収録内容は以下のとおり。

 DISC1  1. Blue / 2. From the Ages    47分30秒
 DISC2   1. Godspeed / 2. Sonic Prayer  35分27秒

 DISC1に関しては両方とも新曲。Earthlessらしく2曲とも20分越えのサイケデリック・インストワールドが展開される。激烈アンサンブルと大地を揺らす豪快な躍動感、空間を強烈に歪めるギターリフが生む未知の快楽。絶妙なテンポチェンジを挟みながら音が緊張と弛緩を繰り返しすことで、熱がどんどんとヒートアップしていき、とてつもない昂揚をもたらしてくれている。肉感的な快楽を伴うライブ感とブルージーな薫り、この1枚目だけでもかなり悶絶してしまう。DISC2に関しては2ndアルバム「Rhythms from a Cosmic Sky」(←超オススメなので聴いてみて)の両巨頭「Godspeed」と「Sonic Prayer」を収録。だが、様相が違うのは3人の創造力と演奏力の賜物か?2曲ともにCD通りに演奏しているのは半分くらいで、ライブならではのジャム的な演奏が随所にねじ込まれており、息もつかせない展開がグイグイと意識を引き込んでいく。壮絶な暴れっぷり、数多もの内的爆発を引き起こすリフ・グルーヴの嵐には本能で対抗しないとやられちまう。こんなん聴かされたら一刻も早く来日してくれっ!!という思いが募るばかりだ。


Rhythms From a Cosmic Sky (Dlx)

Rhythms from a Cosmic Sky(2007)

   前作もかなりのインパクトを要した作品であったと思うが、今作はそれを遥かに上回る出来と断言できる2年ぶりの2ndアルバム。全3曲46分という内容で頭2曲はインストゥルメンタルで共に20分越えは前作と同じ。オマケとして3曲目にGroundhogsというバンドのカヴァーで「Cherry Red」が収録されている。

 原始的かつレトロな質感のハードロックを基盤にして、そこに絶妙に絡むリズム隊の激烈なアンサンブルが楽しめるのは相変わらず。時間が進むにつれて音のエネルギーが倍化されていき、トリオの迸る壮絶な演奏がさらなる火花を散らし、狂った熱気が脳内で充満して大爆発! 刺激的なギターサウンドが大気を激しく歪ませたかと思と宇宙に向かってダイナミックに咲き乱れ、ベースとドラムは怒涛のリズムの波を打ち続ける。強烈なグルーヴ感による酩酊と地面を震わすような豪快な躍動感が心地よいったらありゃあしない。曲中に何度となく打ちのめされ、幾度も体中に稲妻が駆け抜ける文句なくかっこいい作品だ。#1「Godspeed」と#2「Sonic Prayer」は共に言葉を失うぐらいの悶絶度を誇る長編インストで、脳も体も激しく揺さぶられることは間違いない。そして#3のカヴァー曲「Cherry Red」も70’sのレトロっぽさと奇怪なヴォーカルが意外にもこのバンドの特性とマッチしていて、危うい魅力を放っている。

 聴く者を宇宙にあるサイケデリック・ヘブンへ解き放つ強烈な作品に仕上がっており、三位一体のヘヴィな音塊にこの上なく胸を熱くさせられる圧巻の一枚。オススメです。


Sonic Prayer

Sonic Prayer(2005)

   サンディエゴが生んだヘヴィ・サイケ・トリオによる1stアルバム。インストゥルメンタル2曲だけという辺鄙な収録内容に加えて、その2曲ともが20分越えているとなると売れることよりも自分たちのポリシーを貫いたデビュー作といえるだろう。いきなりこんな大胆な挑戦をしてくるとは驚きである。

 ヘヴィ・サイケデリックなギターリフが20分間、脳内宇宙を隅々まで浮遊して炸裂する。原始的な感じすらさせるハードロックが多分、このバンドのルーツなんだろうけど、それでいてスペーシーに広がるギターとパワフルなリズム隊の絡み合いが絶品。豪快にぶっ放たれる怒涛の音波に乗れば、心地よく酩酊できることは間違いない。時間感覚すら歪ませるようなディストーション・ギターの連続によってめくるめく不思議な音空間に誘われる#1「Flower Travelin’ Man」、儀式ドゥームっぽいリフを執拗に繰り返すことによって暗黒に引きずり込まれる感覚を覚える#2「Lost In The Cold Sun」。共に時計の短針が進むにつれて、“ここではないどこかへ”行ってしまった気分にさせられる麻薬的な曲に仕上がっている。デビュー作にして痛快、好き放題にやりまくる姿勢も個人的に好感が持てるので、これからも注目していきたいバンドだ。

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