【アルバム紹介】Esben And The Witch『Violet Cries』

名門レーベル、マタドールが惚れ込んだブライトン出身の男女3人組。“ナイトメア・ポップ”と評されるその音楽は、数々のアーティストから称賛を浴びている(Mogwaiや65dosなどがリミックストラックを手掛けたりもしている)。バンド名は、デンマークのおとぎ話、「エスベンと魔女」から。

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アルバム紹介

Violet Cries(2011)

   マタドールが惚れこんだというUK・ブライトン出身の3人組のデビュー作。初期Cureが引き合いに出されるこの音楽は、ハマってしまう中毒性があります。

 THE XXのような仄暗く静やかな感性とミステリアスな浮遊感のあるサウンドに、氷の様な冷たさを持った紅一点のレイチェル・デイヴィスの声が重なった時に磁場を発生するのが特徴。虚無の空間を冷徹な空気と奇妙なポップ感が混じり合った音色が切なく響きわたる。

 “ナイトメアポップ”と評されるの独特のソングライティングで、シリアスなサウンドと透明感のあるメロディを備えています。このダークなメランコリアは一種のホラー映画を見ているような背筋の寒さがあり、幻想的な森へと誘われているかのようでもある。

 ポストロック的な上下動の中で冷たい女性ヴォーカルが刺さる#1を入り口にして、EATWの世界に堕ちていくだけ。どの曲も淡々と静かに進行していきますが、盛り上げ所をちゃんと用意しておりラストにため込んだ狂気と混沌が爆発。

 電子音の使い方も仄暗さやホラー感を煽る形で楽曲の憂いやダークさを引き立てているし、各楽器の音が程良く分離して空間を巧く塗り分けています。メランコリーと浮遊感が一層極まる#5には思わぬ深みあり。時折の妖しさもまた、Esben And The Witchへ誘う妖力となっている。

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