Fang Island ‐‐Review‐‐

ブルックリンを拠点に活動するロック・トリオ。ギター、ベース、ドラムが自由に絡むその華やかなサウンドがシーンに新たな風をもたらしている。フレイミング・リップスに認められているほどに評価は高い。

レビュー作品

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Major

Major(2012)

   輸入盤が日本でもそれなりにヒットしたというFang Islandの2年ぶりとなる2ndアルバム。本作からトリオ編成になってしまったとのことだが、その華やかで昂揚感溢れるサウンドに陰りは全くない。美しいピアノが耳をひきつける#1「Kindergarten」の始まりには驚かされたが、躍動感あるリズムの上で伸びやかな歌/コーラス、メタリックな質感を持ったギターが飛び回り、カラフルな空間を形成していく。一捻り効いた展開とともに突き抜けるようなハッピーな興奮に包まれる#2「Sisterly」や#6「Asunder」は、実にこのバンドらしい。インディー・ロックの流れを汲みながら、サイケ/オルタナ/ハードロック/マスロックまでを引き出しにできる強みがここに発揮されている。

 メロディはさらにキャッチーになった印象を受けるものの、メンバー減によるパワーダウンはそこまで感じない。落ち着いた感は確かにあるけれども、展開の妙でポップでハッピーな雰囲気にもっていけるのは、バンドの個性だろう。さらには、マスロックとまでは行かないまでもハードロックを上手く折衷させた捻りまくりのインスト#8をぶち込んできたり、よりアヴァンギャルドな嗜好が発揮された#9~#10というラストの流れで驚きも与えてくれる。特に優雅でリズミカルなオルガンの音色と柔らかな歌に導かれ、ツインギターがもかぶさって厚みを増していく#10「Victorinian」を聴くと、こんなこともできるんだなあと感心。やはり非凡なセンスを持ったバンド、今回も笑顔で楽しめるポップにデザインされた良作かと思います。


Fang Island

Fang Island(2010)

   これまたおもしろいバンドが出てきたなあと素直に思わせてくれるブルックリンを拠点に活動する5人組の1stアルバム。

 アニコレやアクロン・ファミリーがパンク/オルタナ/メタル/マスロックに視野を広げていくとFang Islandのような音になるのではないか。テクニカルなマスロック風味の展開を見せたかと思うと、重厚なギターがうねりを上げたり、サイケデリックな装飾が成されたり、祝祭のコーラスワークが高らかに響いたりとアイデアをどんどんと放り込み、それをポップ性で潤わせながら軽快なフットワークで楽曲を構築していく。オルタナ/メタル/マスロックへの傾きが見て取れたかと思うと、アニコレのようなシンセの挟み方やローファイな感触で現代のインディー・ロックやサイケ・ポップとの共振が巧い事なされていて予想以上の振り幅をみせる。好奇心と遊び心に満ちた若々しさ、老練たる展開の妙が合致している辺りに恐ろしいセンスを感じてしまう。

 ダイナミックなハードロック風の切れ味と分厚いコーラスが印象的な#3、テクニカルで味のあるギターを次々と繰り出す#9のようなものから凝った展開でカラフルな音磁場を築く#5、ひたすら盛り上がる#6まで様々な意匠を凝らしながら多彩で昂揚感のある楽曲にこちらもメロメロ。捻った部分は多いが、ストレートに振りきれているように聴き手に思わせるのも巧い。そして、たくさんの要素をぶち込んでいてもポップなサウンド・デザインに仕上げている辺りは並じゃない。最初に記述したとおりに本当におもしろい作品に仕上がっている。全10曲30分強のランニングタイムもグッド。

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