Flying Lotus ‐‐Review‐‐

アリス・コルトレーンを叔母に、ジョン・コルトレーンを叔父にもつスティーヴン・エリソンによるプロジェクト。音楽プロデューサーとしても名高い功績をあげている。


Cosmogramma [ボーナストラック・解説付き国内盤] (BRC254)

Cosmogramma(2010)

   LAから宇宙まで拡散した悠久の奇天烈ビートに圧倒される2年ぶりとなる3作目。骨格となっているのは前傾姿勢でつんのめるようなリズムと複雑怪奇にコラージュされる電子音、それが脳の内側から揺さぶるように鋭敏苛烈に迫り、心地よい快感と興奮をもたらす。フライング・ロータスによるビートの波は『Los Angeles』を聴いたとき、まさにハイブリッドなものだと思ったけど、今回はそれ以上の衝撃があった。

 トム・ヨークとのコラボということでも話題を集めたが、エレクトロニカやヒップホップを主体に、ジャズやファンク、それにダブやロックやクラシックに至るまでをボーダーレスに飲み込みながら、無限の広がりと展開を武器にして、壮大な空間を創り上げてしまっている。様々なタイプの電子音で彩りながら、時には神聖に、時には乱暴に、時にはミステリアスにと、千変万化の如し変相で全18曲を綴っていく。それはまるで凝縮と拡散を繰り返しながら、宇宙を拡張していくかのようだ。優雅に革命を起こしているかのようなこの魔法の時間に耽溺してしまう。猛々しいほどに性急なアグレッションで興奮を高めれば、アブストラクトに美しく揺らぐ曲で情緒豊かな緩和をもたらしたりと、クラシカルな佇まいやジャズの素養が物濃く反映された曲もあって、振幅は広い。同時にそれは作品の持つスケールの拡張へと繋がっている。多角的な刺激を与え、圧倒的な情報量が詰められたこのサウンドは本当にぶっ飛ぶ。

 ストリングスの優美な旋律、ハープから優しくこぼれ落ちる切ない音色、ヴォーカルの官能的な響き、うねりまくるぶっといベースライン、エキゾチックなサックスの調べといった随所に繰り出される飛び道具の効果も高く、有機的な連鎖がエレガントな美しさに繋がっている。また、音が弾け飛ぶときの瞬間の美も抜きん出ているように感じる。聴き手の脳内宇宙に風穴を空ける電子音の夢、圧巻です。

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