High On Fire ‐‐Review‐‐

 伝説のドゥーム/ストーナー・バンドと評されるSLEEP。そのSLEEPの元メンバーであるマット・パイクが率いるスリーピースのロックバンド。

レビュー作品

> De Vermis Mysteriis > Death Is This Communion > Blessed Black Wings


De Vermis Mysteriis

De Vermis Mysteriis(2012)

    通算6枚目。アルバム・タイトルはクトゥルフ神話に登場する魔導書「妖蛆の秘密」から。また、プロデュースはConvergeのカート・バルーが担当しており、2曲でギタリストとしても参加している。

 前作のできは正直あまりよくなかったけれども、猛々しい粗暴さと痺れるような重低音が合致した本作はかなりキている内容だと思う。オープニングの#1「Serums Of Liao」から過去最高の破壊力を持って暴れ回り、#3「Ferile Green」まで全てを豪腕に薙ぎ倒しながら突っ走る。昨年の来日公演を見た時は、マットのお腹が普通に出ててショックだったけど(笑)、自らの剣をここまで研ぎ澄ましているんだから嬉しい限り。さらに漢泣きのギターソロも存在感を示し、マット・パイクの歌にしても変わらずの迫力。そして、ドゥームからスラッシュまでを横断する自在のリズムはたくましくて強烈。#4や#10といった禍々しさをプラスしたドゥーミーなナンバーも鬼気迫る演奏が眼に浮かぶ。#5のようなブルージーなインスト・ナンバーにも本人たちは手応えを感じていそう。

 とはいえ、カテゴライズをも粉砕するヴァイオレンスなエネルギーが本作には満ちている。”4thアルバム『Death Is~』の実験性と3rdアルバム『Blessed Black Wings』が持つすさまじい邪悪さを合体させたような作品”とマット自身は語っているが、あるゆる面で過去を上回るハイパーな轟きが本作には封じ込められている。


Death Is This Communion (Dlx)     

Death Is This Communion(2007)

   2年ぶりの4作目。今作も爆音の塊で全方位を破壊しつくしていく 強靭かつ豪快なサウンドは健在。うねりをあげるヴァイオレンスな音の鉄槌はさらに鋭利に凶暴化し、ダーティなリズムで爆走する。行く手をさえぎるものは全て蹴散らしてしまうと言わんばかりの溢れんばかりの鬼気迫るパワー、ロックンロールらしいアティテュードを作品から強く感じる。“破壊神”その形容通りに身も心も彼等の生み出す音に殺られてしまうだろう。

 これまでのHigh on Fireと比べるとワイルドさの減退や本来のロックンロールにより近づいた印象も受けるが、楽曲は相変わらず強烈。イントロで蓄えられた強力なエネルギーが一気に襲い掛かるダイナミックな#1、美しいメロディによるアクセントが獰猛な轟音サウンドに華を添えている#2、本来の彼等の持ち味が思う存分発揮されているタイトルトラック#3と頭3曲だけでも興奮は最高潮に達しそう。さらに今作ではインストパートを3曲挟むなど、これまでと違った様相も呈している。民族音楽的なエッセンスを感じる12弦ギターを使用したというメロディアスな#4やタイトなドラムのみで魂を吹き込む#6などの試みはおもしろいと思う。それに#8で聴けるインストは野蛮で汗臭いロックトリオの彼等からは想像もできないような不思議なドラマを持つ曲として、今作のアクセントになっている。アルバム全体としても少々実験的な曲を取り入れてはいるが、いつも通りの完成度の高い作品に仕上がっている。


Blessed Black Wings

Blessed Black Wings(2005)

   HIGH ON FIREの通算3枚目の作品。どっしりとした重量感のあるパワフルなギターリフが次々と襲い掛かる。大地を振るわせるほどのメガトン級サウンドは圧巻で、地響きを起こしながら突き進む荒々しい暴走ロックンロールの破壊力は半端なものではない。ドゥーム・ストーナーロックとして括られる彼らだが、それを血肉としてさらに進化を続けており、ロックンロールらしい興奮と衝動を強く与えてくれる作品に間違いない。爆音の塊が鉄槌となって脳髄を破壊していく様はとにかく圧巻だ。

 爆走ヘヴィロック#1からもう圧殺至極の楽曲で、ドゥームのストイックさをさらに発展させた#2、骨の髄まで痛めつけるような激重のギターリフと起伏に富んだ展開が圧巻のタイトルトラック#5、ターボが掛かったように破天荒な勢いを見せ付ける爆走チューンの#8などが特に好み。どれもが飛び道具を繰り出すかのような圧倒的な力強さを持つ曲ばかりだ。

 なお、国内盤にはボーナストラックとしてジューダス・プリーストのカヴァー#10「Rapid Fire」を収録。HIGH ON FIRE流にアレンジが効いた破壊力と激重のビートを持つ楽曲に生まれ変わっており、非常にかっこいい。

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