Holyfuck ‐‐Review‐‐

カナダ・トロント出身のインスト・マス・エレクトロニカ集団。ベース・ドラムによる強靭なグルーヴの上をシンセが優雅に舞うそのサウンドは、ネクスト・バトルスの期待もかけられている。09年にはフジロック・ホワイトステージに出演している。

レビュー作品

> Latin > LP


ラテン

Latin(2010)

   約3年ぶりとなったHOLYFUCKの3rdフルアルバム。前作は4人に留まらず大所帯で録音してたらしいけど、本作はライヴを見据えてコアメンバー4人だけでの制作となったらしい。

 序盤を聴いているとエレクトロ寄りの構築が成されているのかなとも思うし、エフェクティヴなシンセやキーボードが温かみと幻想性を伴って響いてくるんだけど、後半に進めば進むほどリズム面が強調されたトラックも出てくるので、前作を順当にアップデートした魅力的な1枚になっていると思う。超人力グルーヴィな演奏がもたらすビート、様々に煌くエレクトロリックな色合いがより明確な力強さと艶やかさを加えて、別次元へと飛ばすかのようなエネルギーを放っている。時にノイジーで鋭角的、時にメロウで美しく、時にプリミティブかつリリカル、と曲にどういった表情を持たせても一定水準の精度を誇っているのは単純に凄い。独特のミニマリズムの快楽性も追求されているし、目まぐるしい展開の妙技も澄まされ、ロボットヴォイスといったものも絶妙なアクセントとして機能させている。それをスムーズに心地よく、ダイナミックに聴かせてしまうアプローチも素晴らしい。特に幻想的な世界観の演出と独特の浮遊感が逸脱な#5、意識の奥まで掠め取るグルーヴィな演奏が光る#7、過去作の中でも極めて心地よいダンスチューンに仕上がった#9などがよろしい。様々な素材を融合させながら、独自のコスモ(宇宙)を創造する彼等の手腕はまだまだ底知れない。フジへの出演、そして、この精度の高い作品が日本ブレイクのきっかけになってもおかしくないと思うのだが、どうなるか。


Holy Fuck

LP(2007)

   カナダ・トロント出身の4人組、HOLYFUCKの2ndフルアルバム。なんでもNEU!のトリビュートにも参加しているみたいがだが、ここ日本で本格的に名を広めたのは09年のフジロック参戦だろう。そのステージは自分も拝見したが、09年のフジロックでも上位にランクインする内容だった。そんな彼等はベース、ドラムによる強靭なグルーヴの上をシンセが麗しくも彩りをつけるというスタイルが肝。だが、非常にそれがダイナミックなサウンドフォルムとなっているのは野太いリズムが破壊力と躍動感を有していて、なおかつフロア寄りの電子音のゆらめきが効果的に働いているからだ。やってることはクールで知的でミニマルなんだけど、躍動感と快楽性がずば抜けているのは聴けば理解できるはず。マスロックに近似した変幻自在の展開でストイックに音を締め上げれば、4つ打ちで心地よく三半規管を揺らしたり、Owen Palletがストリングスをアレンジしたという#4″Lovely Allen”みたいに流麗なシンセの波に耽溺するような曲まで操って、聴き手の感覚の奥深くまでを刺激し続ける。ライヴではその場で声を加工したりもしていたので、ユニークな音響処理も特徴といえるだろう。エレクトロニカのような繊細な優美性とマスロックの精微な構築の妙、それがものの見事に融合しており、バトルスや!!!辺りを思わせるぶっ壊れ感も魅力的に映る。特に、本作では前述の#4も素晴らしいが、個人的には#1″Super Inuit”が最高に心地よく踊れる。

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