Imperium Dekadenz ‐‐Review‐‐

Horaz、Vespasianによるドイツのディプレッシヴ・ブラックメタルバンド。BURZUMに根ざした禍々しさをミドルテンポで描き、アコースティックな叙情性も巧みに融合させながら、深い悲しみと鬱を誘うブラックを展開している。


Procella Vadens

Procella Vadens(2010)

   ドイツのディプレッシヴ・ブラックメタル・バンドの3年ぶりとなる3作目。もの悲しくダークな雰囲気で包まれながらも、神経を抉る狂気や詩的な叙情性を確かに感じさせてくれるブラックというのが聴いたときに覚えた印象である。耳に突き刺さる凶暴な絶叫と時々入る疾走なんかはブラックメタル直系の禍々しさなんだけど、基本的には悲しみや哀切をのっぺりと広げていくトレモロとスロウ/ミドルテンポを中心に進んで行くスタイルで、ちょっとBURZUMっぽい。その世界は闇というよりはジャケットのような灰色で、淡い絶望感にじりじりと犯され、陰湿な空気が身体に纏わりついてくる。

 しかしながら、精神的に恐ろしいぐらいキツい感じにはなることなく、楽曲はほどよく柔軟。リリカルに主張するピアノ、ほんのりとした温かさやささやかに生命力を灯すアコギ(これはALCESTっぽい)といった叙情的なパーツをうまく溶け込ませており、泣きを強めている印象だ。ブラックメタルの部分ではじわじわと揺さぶりをかけて、叙情パートでは即効性が高いという逆転現象を平然とこなしている。ピアノで厳かに始まりと終わりを飾る#1、#10は耳をひきつけるとともに作品の芸術性を物語っているし、所々に配置された緊張感あるインストナンバーも効果的に働いている。

 その中でも、特に本作では暴虐と叙情によるコントラストの妙が、とても芸術性の高い曲へと押し上げている#6″An Autumn Serenade”が白眉。全体通しても息を呑む起伏に富んだドラマティックな展開が最後まで続く。まるで、美しく儚く絶望を投げかけているかのような作品だ。

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