Islet ‐‐Review‐‐

CanからGang Gang Danceまでをつむぐウェールズのエクスペリメンタル~ポスト・パンク/ロック4人組。


イルミネイテッド・ピープル

Illuminated People(2012)

   2010年に連続でリリースされたミニアルバムがNME等で高い評価を受けたウェールズの若手、アイレットの待望のデビュー作。非常に鋭い感性を持ったアルバムだなあというのが第一印象かな。

 かつてでいうとCan、現代で言うと初期のGang Gang Danceが頭をよぎる様にアヴァンギャルド模様だが、同時に美学に満ちた作品でもある。それはまず9分を越える挑戦的な#1「Libra Man」を聴いても理解できるはず。ハイハットを多用しながら絶妙なタイム感を生むドラムが躍動し、楽器のように使われる男女ヴォーカルやローファイなギター、繊細なキーボードが混沌に拍車を駆け、脳内をぐるぐるとかき乱していく。エクスペリメンタルな感性を貫き、ポストパンク~ポストロック~ノイズ~ミニマル・ミュージックが縦横無尽に交錯する。

 全10曲を聴き通してみてもまさしく”変幻自在”という言葉が当てはまると思う。鼓膜に突き刺さるようなノイズ攻撃やら、背筋が震えるような幽玄なパート、火を吹くインプロヴィゼーション、ゆるやかに聴かせる叙情的なフォーク、歓喜を高らかに宣言するようなコーラスワークまでが自由に飛び出してくるのだ。スリリングでやたらとプログレッシヴな展開を軸にしつつも、アートとして成り立たせる様な構築力はこいつらの頭のネジが一本ずれてるとしか思えない(褒め言葉ですよ)。1曲の中でも様々な表情が顔を出す不定形な音像に惑わされ、不思議と引き込まれているような感覚は強い。それに素直ではない掴みどころのなさだが、幾分かポップであるのは御愛嬌。全体通しても非常に刺激度の高いデビュー作となっており、おもしろい作品です。

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