Janne Da Arc ‐‐Review‐‐

1996年に結成されたロック・バンド。フランスの英雄ではなく、漫画『デビルマン』のキャラクターから名前を拝借した彼等は、DEAD ENDに強く影響を受けたハードな演奏と刺激的な歌詞で数多のファンを獲得。2007年の事実上の活動休止までに6枚のアルバムをリリースし、フォロワーも多く生み出した。現在は、各自ソロ活動で活躍中。特にyasuは、Acid Black Cherryとしてジャンヌ時代を上回る人気を獲得している。

レビュー作品

> JOKER > ARCADIA > ANOTHER STORY> GAIA > Z-HARD > D・N・A


JOKER (DVD付)

JOKER(2005)

 30万枚を超えるセールスを記録したシングル「月光花」を含む6thフルアルバム。07年に活動休止しているため、オリジナル・アルバムとしては本作が最後となっている。今回は『進化したJanne Da Arc』をテーマに制作されたとのことで、yasuの全編に渡ったローボイスと英詩が響きわたるヘヴィなミドル・チューン#1「in silence」から意表を突く様な作品で、kiyo作曲の#6「仮面」等を含めて、ポップとロックのバランスに気を遣いながらこれまで以上に多彩な楽曲が並ぶ。大ヒットとなった#3「月光花」は余りにも儚いバラードで、さらに多くのファンをバンドに引き込んできた名曲だと思うが、そういった新規ファンを驚かせることも目的にあったそう。ポップあり、ハードあり、プログレありのジャンヌ節は確かに効いており、程よく甘ったるいけどかなり刺激的。変幻自在に振る舞える演奏力も流石の一言である。初期風の味わいがある疾走チューン#2「ツメタイカゲロウ」、随一のハードさを誇る#10「Mr.Trouble Maker」は切れ味があってかっこいいし、「月光花」よりも痛切な思いが伝わってくる美しいバラード#12「風に乗って」も印象的。それでも、「ダイアモンドヴァージン乙女」と爽快に歌ってしまうのは実に彼等らしい(笑)。本作も初期のクオリティにはやっぱり及ばないと思うけど、オリジナル・アルバムの中では入門編に一番向いている作品かなあと個人的には思います。


ARCADIA (CCCD)

ARCADIA(2004)

 約1年5カ月ぶりとなる5thフルアルバム。3週連続リリース・シングルを含む、いずれもヒットを飛ばしたシングル5枚を収録した本作のテーマは【原点回帰】とのことで、メジャーデビュー後では初のセルフ・プロデュース作となっている。そのせいか序盤はハードさ全開。某掲示板を風刺したという#1「ACID BREATH」から勢いを加速させる#2「ROMANCE」、Z-HARD期のヘヴィ&ハードで畳みかける#3「Heavy Damage」と確かにかつてのジャンヌを思い出させる。既に発売しているシングル5枚のタイプが様々だっただけに、先読みできないアルバムとなっていたが、ここまで攻撃的に振る舞うのは単純に驚いた。前2作はバンド内でもキレイにまとまっていたと感じていたのかもしれないな。SIAM SHADEの「Triptych」に触発されたようなインスト#7「ATHENS」、随所に炸裂するツーバスが物語るようなスピード感が魅力の#9「WIZARD」といった曲でも攻めに出ている。しかしながら、前述したようにバラエティに富んでいるのは相変わらず。ジャンヌを代表するバラード曲のひとつ#4「DOLLS」を始め、デジタル色の強いV系チューン#6「心の行方」、爪弾かれるアコギと優しい歌声による#12「カーネーション」、爽快なポップソング#13「Kiss Me」等が華を添える。初期のクオリティには及ばないと感じてしまうが、楽曲は粒揃いでなんだかんだで聴いてしまう作品ですね。


ANOTHER STORY(CCCD)

ANOTHER STORY(2003)

  約1年ぶりとなる4thアルバムは、インディーズ期の『Dearly』以来、久々となるコンセプト・アルバム。yasuの執筆した同名のファンタジー小説と合わせての作品となっており、オルゴールの音色と井上あずみさんの声で綴られる#1「1/5の音箱」から始まって、全16曲を通して一貫したストーリーを奏でている。全ては、アルバムの核となっている美しいバラード#15「Rainy~愛の調べ~」への伏線になるべく、流れを重視して楽曲を配置。ただ、 アニメ・タイアップのシングル曲のせいか、J-POPに迫るほどにポップス色が強まっているかなあと感じる。#8「What’s Up」や#9「PARADAISE」のようにやけに弾けている曲もあり、本作もまた前作の『GAIA』に続いてハードな曲調よりもメロディアスな作風が目立つ。ただ、RPG+ドリムシ的な#2「In The Story」、これまでに無く男臭さ全開のヘヴィ・チューン#10「explosion」等の凝ったアレンジはこのバンドならではだと思うし、シングルでは無いけれどもジャンヌの代表曲といっても過言ではないアグレッシヴなキラー・チューン#12「ヴァンパイア」は傑出した出来栄え。個人的には、コンセプトアルバムに対しての作り込みが弱い気もするんだけれど、『GAIA』から実に手堅い一歩を踏み出して自らの人気を確実なものとした作品といえるでしょう。


GAIA

GAIA(2002)

 岡野ハジメ氏をプロデュースに迎えた3rdフルアルバム。本作で初のオリコンTOP10入りを果たした(初登場6位)。収録されたシングル3枚(#10「seed」、#12「シルビア」、#4「feel the wind」)は、いずれも狙ったようにキャッチーで疾走感のあるものだったが、アルバムを通しても前作から比べてずいぶんとメロディアスな方面に振れており、幅広い層を狙った作品といえるだろう。「音楽的に洗練されたモノを作ろう。」という共通認識がバンド内にあったそうだが、岡野氏との連携によって、バンドの個性を失わない形でポップを柔軟に取り入れているように思う。繊細なアコギから音数を増やして壮大に幕を開ける#1「GAIA」に始まって、ストリングスを取り入れたドラマティックな曲調の中で突き抜けた爽快感を持つ#12「シルビア」までの全12曲を収録。#2「セル」、#3「sister」と持ち味である攻撃的な楽曲もあれば、そよ風のように優しい聴き心地のミディアム・チューン#8「still」に肩の力の抜けた#11「Still」等々が、バラエティ豊かに並んでいる。しかしながら、随所には彼等らしいフックや小技を入れており、単なる大衆迎合とは一線を画すものでもある事実。本作を契機に売り上げが飛躍的に上がっていった事を考えると、聴き逃せない作品の一枚であるのは間違いない。また、オリジナル・アルバムの中では一番統一された雰囲気を持っているようにも個人的には思う。


Z-HARD

Z-HARD(2001)

 約1年ぶりとなる2ndフルアルバム。前作がジャンヌの王道だとすれば、本作はタイトル通りに「聖戦」をテーマにして、よりアグレッシヴでハードな姿勢を押し出した作風。これ以降に発売されるオリジナル・アルバムでもここまでハードでテクニカルな作品は無いです。故にバンドマンから特に支持されている一枚といえるだろうか。切れ味鋭いリフや昂揚感溢れる展開で英雄ジャンヌ・ダルクについて歌った#2「救世主-メシア-」、シャッフルっぽいトリッキーなリズムの中でエロとユーモアを効かせたシングル#4「Dry?」、ヘヴィ&メロディアスな曲調に意味深な詩を乗せる#5「7-seven-」、イントロのスラップ・ベースからギターとキーボードが暴れ放題の#8「WARNING」と攻撃的な曲が揃う。高い技術に裏打ちされた変拍子や凝った展開、耳を引くフックなどSIAM SHADEやラクリマ等と並んで、”技巧派”と呼ばれたジャンヌの実力を如何なく発揮している。「NEO VENUS」のようなポップに振れている曲ももちろん収録しており、さらに隠し味として機能しているバラードの2曲、#7「will ~地図にない場所~」と#10「Dear My…」も秀逸。個人的にはジャンヌの中で一番好きな作品です。


D・N・A

D・N・A(2000)

 メジャー・デビューしてからの1stフルアルバム。それまでの3枚のEPやシングル等でその実力の片鱗を見せつけた彼等だが、本作がまた1stアルバムにして最高傑作とも評すべきクオリティの高い作品となっている。エッジの立ったハードな演奏、そして大人の刺激を有したちょいエロな詩を懐刀とし、さらにはメジャー感のあるポップさも備え、幅広い層に向けての訴求力を持つ。収録されたシングル3枚(後にシングル・カットされる#12「Heaven’s Place」を含めると4枚)にしても、#10「RED ZONE」や#8「Lunatic Gate」ではEPの頃からの音楽性を上手く昇華しているのが伺えるし、#4「EDEN~君がいない~」では爽快なまでの疾走感とポップネスが見事に融和している。さらにはシンフォニック・メタル風味の#2「Vanity」、幼児虐待をテーマにして重くダークな作風を貫いた#5「child vision 〜絵本の中の綺麗な魔女〜 」、ギターソロ、ドラムソロも含めてジャンヌ流ハードロック全開の#9「Junky Walker」と様々なタイプの曲を収録。V系ロックからHR/HM、プログレまでを自由自在に操る演奏技術の高さ、そしてアレンジ力は他のバンドを圧倒するものがあった。というかバラエティに富んだ楽曲群の中で個性を見事なまでに発揮した本作を聴いていると、この時点で既にバンドが完成系と言えるレベルにあったとも思える。特に初期の代表曲#7「桜」、#11「ring」の素晴らしさは筆舌しがたい。1stにして最高傑作といわれるのも納得の名盤である。

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