キバオブアキバ ‐‐Review‐‐

「ヲタイリッシュ・デスポップ」を掲げる2008年結成の京都の5人組。メタルコアをベースに、アキバ文化をミックスさせた音楽性が特徴である。BABYMETALとのスプリット・シングルを発表したことでも知られ、アニソンシンガーである鈴木このみとも「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い」でコラボレーションを果たしている。2014年11月に待望の1stフルアルバム『YENIOL』をリリース。


YENIOL

YENIOL(2014)

 

 「ヲタイリッシュ・デスポップ」を掲げる京都の5人組の結成6年目にして初のフルアルバム。メタルコアやメロデスをベースとした激しいサウンドを主体にピコリーモ、シンセポップを練り込み、ヲタク目線の歌詞という味噌を混ぜあわせて自宅警備員風味アキバ仕立てにするという音楽性で話題だ。彼等はBABYMETALとのスプリット作でも知られており(ベビメタちゃんが曲名を「君とアニメが見たい ~Answer for Animation With You~」に変更してアンサーソングという形でカバー)、彼女達のデビュー曲「ド・キ・ド・キ☆モーニング」を我が物顔でカバーした「キ・バ・オ・ブ☆モーニング(仮)」も豪快で素敵だった。

 ようやく発売となるこの1stフルアルバムは、既存曲の再録6曲+新曲5曲で固められている。音楽的には前述したようなもので、激しさとキャッチーさを持ち合わせているといえるだろう。古き良き王道HR/HMからデスコアやDjentといった素養に、J-POPやアニソンっぽい捻りを加えたもの。部屋に引きこもって引きこもって制作し続けた精度の高い楽曲が揃っている。まあ、[YENIOL=家におる]から作れた作品だから(笑)。流石に引きこもり目線で「日光は体にいいけど、実は蛍光灯も体にいい」って歌っているだけある。

 本作を代表する曲は、やっぱり#1「Animation With You」と会心の新曲となる#2「はかせをめざせ」だろう。いずれもメタルコアをカオティックかつキャッチーに改変しつつも切れ味は抜群。色々とアイデア詰め込み過ぎでマスコアっぽさもあるが、ポップであるが故の正義も感じさせる。また、グロウルからクリーンヴォイスのバランス感覚も見事。こんな声出せるんだから絶対にこいつらモテる。

 著名バンドのオマージュと思われる部分も各所に散りばめられていて、#8「全部宇宙が悪い」の冒頭のドラムは鋼鉄神ジューダス・プリーストのあの名曲だし、#9「The Stay-Home Superstar」は曲名もイントロの煽りもマンソンだったり。メタル育ち故の隠し切れないメタル愛、素敵やん。タワレコ購入特典のCD-Rに収録されている「ハムラビ法典(再録音Ver)」もどっかで聴いたことのある大仰なイントロから、ヲタデス総爆撃をぶちかます。細部に至るまで聴きどころ満載だ。

 茶化すな!とツッコミは入るかもしれないが、コアな部分を突き詰めながらここまで面白い楽曲に仕上げれるバンドもいないわけで。そんな本作は「ヲタイリッシュ・デスポップ」を浸透させるには十分な作品である。寂しさのつれづれにキーボードを打ち続ける俺達のハートに衝撃を与えてくれる快作といえるだろう。次は「クラスで5番目にかわいい子たち」や「勇気を出してソフマップの壁に張り付いてみた」みたいな曲をヲタイリッシュに決めて欲しいところだ。

 

 

 

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