KIMONOS ‐‐Review‐‐

向井秀徳とLEO今井のニュープロジェクト。懐かしさと未来感、和風でありつつも多国籍という矛盾を孕みながらも、多様なジャンルを越境する個性を見せつける音楽性で新たな次元を切り拓く存在である。


Kimonos

KIMONOS(2010)

   向井秀徳とLEO今井によるニュー・プロジェクトの初作。ナンバーガールの刺さるほど鋭い音を期待するとしっぺ返しを喰らう事請負だが、エレクトロニクスを多用し始めた最近のZAZEN BOYSを好んでいる方なら十分心に響く作品だろう。

 ニューウェイヴ風のシンセサイザーによる意匠、鋭く強靭に脈打つリズム、表情豊かなギターを下地にして艶やかでセクシーなLEO今井の歌声、向井の情感のこもった歌声が混じり合い、独特の空間を生み出している。これまでのキャリアを踏まえた上でさらに最小編成での制作というのも相まって、より俯瞰した立場で創る事の出来た繊細で精妙な音楽といえるだろうか。アンサンブルはシャープで、冷やかでクールな響きを持ちつつも、深遠で鮮やかな拡がりを見せていて、”間”をとても意識した構築が成されているように個人的には感じた。その点は、削ぎ落としの美学とでも表現すべきだろう。冷たい電子音とリズム、歌声が精妙に絡んで独特の磁場を広げる#3の吸引力には恐れ入ったし、肉感的なグルーヴにセクシーさとユーモアが噛み合う#8もまた惹かれる内容。細野晴臣氏のカヴァー#6にしても味わい深い。

 さらにKIMONOSという和を感じさせるユニット名通りに#7や#9といった曲では和の情緒とノスタルジックな哀感を醸し出し、静かに胸を打つ。しかしながら、#1ではアフロビートを取り入れたり、#4では強烈なベースリフとパーカッションが印象的だったりと多国籍なテイストを感じたりもする。そういった相反する要素を的確に組み合わせ・配置しながら、クールネスと間の取り方&切り方に一日の長のある作品へと仕上げてきた印象。幅を効かせたメロディと浮遊感もまた心地よい。玄人好みの作風には違いないが、多彩でバラエティにも富んでおり、いい意味で捉えどころのない不思議な魅力が詰まっている。

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