Kinski ‐‐Review‐‐

シアトルのサイケデリック・ポストロック・バンド4人組。


Airs Above Your Station

Airs Above Your Station(2003)

   SUB POPからリリースされた3rdアルバム。国内盤はMONO主催のHuman Highway Recordsからリリースで同年には来日公演も行った。

 CanやNEU!などのクラウト・ロック的な解釈からソニック・ユースな轟音オルタナ、さらには主成分といえそうなポストロックと幅広いピースが詰め込まれたインスト・バンドというのが主たる特徴といえるだろう。それを独自の響きとして結実させている。そのアーシーなギター・ワークの反復からエモーショナルに天上へと舞い上がっていく様に痺れる人も多いことだろう。キーボードを組み込みながら空間をぼかしていくような手法や叙情感覚に溢れたメロディ、ラウドなギター・サウンドまでが飛び出してくる。それでも強靭なドラムの連打を合図にひたすら心も体も解放されていくような轟音が炸裂する展開がやっぱり肝。空気を切り裂き歪ませるディストーションには感電せざるをえない。そのポストロック的な上昇アプローチやシューゲ・ライクな重層的なサウンドまでもを巧みに扱っている。さらにはEarthを敬ったドローン表現も発露。彼等独特の時間軸に聴き手が巻き込まれていく。

 中でもオルタナ/グランジ的な即効性の高いドライヴ感ある#3という仕掛けも十分に機能し、11分を超える#4では後半に拡がる轟音サイケデリアが圧巻。この2曲の流れが本作では白眉だ。静から一閃するようなパワフルで疾走感あふれる動パートの仕掛けに痺れる#7にも全身が踊らされる。全体通してやや冗長と思える部分もあるが、その余りにも広すぎる振れ幅を完璧に表現しこなす高い技術と構築の妙が何よりも称賛されるべきだろう。インスト・ロックの新しい可能性を示した1枚として、世界的にも評価された作品だ。

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