Kylesa ‐‐Review‐‐

元DAMADのメンバーが基になって結成されたアメリカ・ジョージア州のサイケ/ストーナー/エクスペリメンタル・ロックバンド5人組。男女ツインヴォーカル、ツインギター、ツインドラムという異形の編成から繰り広げられるサイケデリックで豪快な爆音は聴き手を未曾有の興奮へと陥れます。


SPIRAL SHADOW (スパイラル・シャドウ)

Spiral Shadow(2010)

 米・ジョージア州サヴァンナ出身のサイケ/ストーナー/ヘヴィ・ロック男女混成5人組の約1年半ぶりとなる5作目。前作では豪胆なヘヴィネスを纏い猪突猛進する姿勢、その狭間で巧みに練りこまれるサイケデリックな音因子で奥行きのあるアート感覚にも長けたサウンドを創り上げ、全世界のヘヴィ・ロックファンの心をつかんだことは記憶に新しい。

 それを踏まえ、本作では獣性と速度をやや削ぎ落とし、叙情性やサイケデリック色に磨きをかけた作品を造りこんできたようだ。ストーナー/サザン・ロックのフレイヴァーを十二分に散りばめつつ、サイケなリフ&咽び泣くツインギター、トライヴァル風のツインドラムを十分に生かしながら、男女ヴォーカルが絶妙な掛け合いで情感を勇ましく掻き立てていく。バロネスの枯れた哀愁と構築美の引き継ぎ、サイケの色合いを強めたといえば想像がつきやすいかもしれない。歌い回しやメロディに相当気を使うことで叙情的な感性を高めているのは進化/深化と呼べるだろうし、Dead Meadowに通ずるようなレトロな感触やヘナヘナとしたゆるさも効果的に用いられたり、黒煙が渦を巻いて眼球と鼻から感覚を麻痺させていくかの如し音使いには驚かされる。そして、やっぱり男女ヴォーカルとリズムの多様さ・饒舌さが本作でも格別だと思う次第。洗練というよりは懐が深いという印象を個人的には受ける。

 ツインヴォーカル&ツインドラムの編成をフルに生かした豪快な一撃#1、続けざまの連撃#2がこのバンドらしいと思うけれども、、物悲しげなアルペジオの裏でエクスペリメンタルな展開とサイケの華が咲く#3、どこかTorche辺りの晴れやかなストーナー・ポップの感触を持つ#5、プログレ的構成とストーナーの感触を携えて古の風景に向かって突き進む#9など個性的な曲は多い。後半でよりドロドロと渦を巻く展開が強調されていくのは、次への一歩を踏み出した示しなのだろう。緩急の生かし方・多様性が深まったと思える本作も気に入る人は多いと個人的には感じている。

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