Lamb Of God ‐‐Review‐‐

アメリカのメタルシーンでは猛威を振るう、NWOAHMの最右翼といってもいいバンド・Lamb Of God。既にアメリカでは確固たる人気を誇っており、非常に評価も高いです。2004年に3rdアルバム「Ashes of the Wake」でメジャーデビューすると2006年発売の「Sacrament」は全米初登場8位を記録する。現在、最も注目されているバンドの一つである。

レビュー作品

> Wrath > Sacrament > Ashes of the Wake > As The Palaces Burn > New American Gospel


Wrath

Wrath(2009)

   ビルボード初登場2位を記録し、もはやNWOAHMの総大将となった感のあるLamb of Godの約2年半ぶりとなる5作目。これまでの趣と違うブルージーなイントロダクション#1の導入に引き続いて、凶悪なリフと強靭なドラミングと肉食獣のスクリームで撲殺しにかかる#2でいつものLOG節を轟かせ、早くも鮮血が飛び交う危険領域へ。勢いよく薙ぎ倒す突進と不穏なミドル・スロウの緩急から迫真の衝撃音が次々と繰り出され、縦からも横からも大鉈で切りかかってくる。これが相も変わらず凶悪。そしてこれこそがヤツラの刺激。

 前作「Sacrament」で築いた土台の上に多くの積み重ねを行った印象だが、Panteraに匹敵するパワーグルーヴにメタル的な構築美がさらに加わった感じはある。それでいて立ち込めるデンジャラスな薫りとブルータルな激性が過激な破壊力を倍加したように感じられる不思議。脳味噌をえげつないほど八つ裂きにしてくれる。また、重たく猛るグルーヴを重視しながらも、メロディアスなギターソロやツインリードで演出される叙情サイドの抽出が前作以上に堂に入っているのも興味深い。えらく劇的な展開を繰り広げるラストトラック#11辺りは特にその辺りの効能が如実に出ている印象だ。もはや全編に渡っての危険な空気・緊張に呑まれるまで。ただ、”Wrath = 憤怒”というタイトルの本質からすると、「New American Gospel」や「As The Palaces Burn」の頃にあった鬼気迫る殺気に及ばないことには物足りなさを感じるのは否めないのも確か。だが、破壊力は以前にも増して抜群だ。エクストリーム・メタルの先頭を突っ走っている風格・貫禄に十分に威圧される作品だろう。彼等にとって集大成ともいえる1枚となったのではないだろうか。


Sacrament

Sacrament(2006)

   NWOAHMの中心となりシーンを引っ張る存在となったラム・オブ・ゴッドの2年ぶりの4作目。ここにきて全米初登場8位になるなど一気にブレイクするきっかけになった作品でもある。重戦車のごとし怒涛のヘヴィネスでこれまでと変わらない進行をさせつつ、随所でいかにもな哀愁あるフレーズを散りばめるようになった構成はこれまで以上にメタルの流儀に近づいた印象。とはいえそのアグレシッヴな突進性は前作より上だし、冴え冴えとしたメロディ面の強調も実にうまくいっているように思う。醸しだされる殺気は以前よりもやはり弱いのだが、鈍器で頭をぶん殴るような激しいサウンドは煽情度の高いグルーヴと共に体の芯から興奮を味あわせてくれている。テクニック面についても相変わらず申し分ないし、作品から感じられる威圧感のようなものを肌にビリビリと感じられるのがまた、彼等の迫真性を高めている。不穏なグルーヴを醸しながらキャッチーと表現できそうな歌メロを配した#3「Redneck」に激しくリズムを切り返しながらサビでシンガロンガする#4「Pathetic」辺りは新境地とよべる曲だろうか。ここにきて多彩な曲調も目立ってきたように思う。妖しげなイントロから血飛沫が飛び交う#2「Again We Rise」、猛然と襲い掛かる迫真のスラッシュチューン#11「Beating on Death’s Door」など従来からさらに踏み込んだ曲もあり、成長を伺わせる佳作に仕上がっている。


Ashes of the Wake

Ashes of the Wake(2004)

   前作より1年3ヶ月で発表となったメジャーデビュー作品となる3rdアルバム。聴いた感じ、まず違和感を覚たのは、メジャーに歩みを進めたことが影響して以前ほどの猥雑で凶悪な感じではなくなったからか。殺伐とした雰囲気が殺がれている気がする。だがそれでも過激なエキスを多分に含んだカオティックかつエクストリームなそのサウンドは他と一線を画している。鋼を思わせる硬質で重いギターリフとタイトに引き締まったリズムが暴れまわり、肉食獣のごとき咆哮を理性が消えるまで容赦なく打ち込む。メジャーの洗礼を受けてちょっとばかし聴きやすくなったとはいえ、ラム・オブ・ゴッドの即効性の高い肉感的なヘヴィネスは健在だ。雷鳴の如しリフから悶絶するような展開へと発展していく#1「Laid to Rest」からの頭3曲は本作でも特に強烈な印象を残している。スラッシーな序盤から鮮血のグルーヴに陥れる#6「Blood of the Scribe」やテスタメントのアレックス・スコルニックを迎えて製作された技巧派なインスト#10「Ases of the Wake」といった味のある曲も多く、前作以上にバランス感覚に長けた作品といえるかもしれない。抑えつけられない獣性を全編に渡って発揮した前作の方が好みではあるが、堂々と地に着いた感のある本作もまた評価されてしかるべきだろう。


As the Palaces Burn

As the Palaces Burn(2003)

   メジャーデビュー後に再発もされたデビュー作より3年ぶりとなる2ndアルバム。豪腕仕様、そんな言葉が的確だろうか。オープニングから強烈なまでのエナジーが感じられる。ザクザクと切り刻んでくる鉛のように重いギターリフと怒りにまかせて叫びまくるヴォーカルがいかにも強烈だし、アンダーグラウンドなキナ臭さと殺伐とした雰囲気には痺れを覚えてしまう。かつてのPanteraを髣髴とさせるようなそんな音楽性だ。#1「Ruin」では大鉈でぶった切るような感じで攻め、眠っていた獣性が目を覚ますニュースクールハードコア的な#2「As the Palaces Burn」においては血生臭い乱闘を起こす。洗練されてないが故の野蛮な凶暴さはいかにもこのバンドらしく、無軌道に放たれた怒りの矛先が全て聴き手に向かっている感じ。#3「Purified」や#4「11th Hour」にしても容赦は無い。ミドルテンポが大半を占める中にデスラッシュな疾走を入れたり、ほのかに哀愁を漂わせるギターソロの調べを加えたりといったテクニカルな面もしっかりと見せ付けている。それにこの代名詞ともいえる猥雑な激しいグルーヴがたまりませぬ。

 現在、雨後のタケノコのように続々と登場するメタルコアバンドとは一線を画し、強欲なまでに凶暴で、重厚なるギターとグルーヴ感から成る重いジャブの連打に神経を抉り取られていく。全世界が待ちわびていたであろうラム・オブ・ゴッドの登場はある種、必然の流れだったのかもしれないと思わされる。


New American Gospel (Reis) (Rpkg)

New American Gospel(2000)

   Burn the Priestというバンド名が過激すぎたことでちょっとした問題になったらしく、名前を変更するはめに。その結果、Lamb of Godとして改名。新たに活動を始めた1stフルアルバム。痛快、激烈。この黒く殺伐とした音がひとたび鳴り響けば体がビクンと反応してしまう。ドきついヤ●ザ系のアングラ臭と五者が一体となって生まれる不穏で重たい渾身のグルーヴで獲物を狩るというバンドの身上はこのころから既に確立。ド頭の#1「Black Label」からどうぞ早く殴りあいを始めて下さいと言わんばかりのスタートをし、全10曲で痣ができるほど暴れまくれる仕様となっている。後にPantaraを髣髴とさせると話題になるが、この頃はニュースクール系の凶悪なハードコアという印象の方が強い。ざらついた音質も相まって、余計な迫力も加味されている。現在と比べて、テクニックでみせるという点は少ないが、込められた殺気が刃のように神経を突き刺していくので残忍で無慈悲なこと極まりない。叙情的なリフワークや歌い上げるようなヴォーカルパートといった温い癒しは一切なく、徹頭徹尾、音の斬鉄を浴びせるのみ。小手先の変化に頼ることなく、荒んだ激情と力技でねじ伏せてくる感じが潔くてよろしい。この頃の怖いもの知らずの暴走に惹かれる点は多く、そのためファンの間ではなかなかに初期の作品が支持されているのも頷ける。

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