LCD SOUNDSYSTEM ‐‐Review‐‐

DFAというレーベルを運営し、現代のディスコ・パンク~ダンス・ロックの潮流を作ったムーブメント創始者のジュームス・マーフィーを中心としたグループ。ロックの方面からダンス・ミュージックへと接した彼の功績は大きいが、このたび2010年に発表の『This is Happening』をもって活動を休止することを発表した。それを引っ提げてのフジロック2010でのステージ(おそらく最後っぽい)は、非常に心地よい興奮と開放感に包まれた素晴らしいもので個人的にもその年のフジのハイライトのひとつとして強く印象に残っている。


ディス・イズ・ハプニング

This Is Happening(2010)

 ラストアルバムと宣言した3年ぶりとなる3rdアルバム(しかし、その後に活動継続を宣言)。クラブ/ディスコ、ニューウェーヴの要素をパンク・ロックの衝動性と掛け合わせたDFAの総帥が送り出す、グルーヴ・ミュージックは相変わらず心地が良い。即効性も遅行性も備えたクールなダンス・ロックとして統制されていながらも独特の引力と魔力を秘めたこの感じ、さすがにジェイムス・マーフィーだ。

 ファンキーなベースライン、持続的な快楽を生むドラム、パーカッションの小刻みな振動によるリズムの上をシンセのコズミックな音色とギターのループが乗り、ジェイムス・マーフィーが朗々とまた時に激しく歌いあげる、この基本軸に変化はない。シンプルだが研ぎ澄まされた音色が濃厚に絡み合い、極上のグルーヴ感を作り上げている。前作と比べるとパンキッシュで割とストレートな#2やデヴィッド・ボウイ風の#4でもわかる通りにキャッチーな要素が増えている印象。長尺曲を並べているわりにシンセの挟み方やゲーム音楽っぽいユーモア、グルーヴの組み方等、フックが多々用意されていて聴き通せるのも特徴。小刻みな揺れがやがては大きな揺れへと発展していく様も変わらずに良い印象を振りまいていて、生演奏の有機的な熱気もまた身体に熱く効く。終わりを告げるかのようにダウナーな雰囲気が充満する#8から快楽的なダンストラック#9という最後の流れも心地よい。

 突出した曲こそないのだが、どの曲もシンプルながら細かく設計・造形されていてユニークさもある、それがやっぱり気持ちイイなあという印象を持った作品であった。ちなみに本作が最終作品とアナウンスされていたが、その後に活動を継続される事が公式アナウンスされたことに安堵した。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でGrumble Monsterをフォローしよう!

スポンサーリンク


▼ フォローする