L.E.D. ‐‐Review‐‐

様々なジャンルで活躍している音楽家7名によるインストゥルメンタル・バンド。既に結成からは10年以上が経過。ポストロックにとどまらずにジャズやアンビエント、ミニマルに至るまでを組み入れてシネマティックなサウンドを造形するその手腕に注目が集まっている。2011年4月に、クラムボンの原田郁子をフィーチャした先行シングル”I’ll”を含む2ndアルバム『elementum』をリリースした。


 elementum

elementum(2011)

   様々な分野で活躍している7人によるインスト・バンドの2作目。その職人たちが美しい音のパノラマを丹念に造形していくのが本作の醍醐味である。モダンでありながらも純真で郷愁を誘う音色の数々に思わず胸が熱くなる事がしばしば。眼を瞑って聴いていると、自然と意識の中に浮かんでくるほどの映像性とストーリー性の高いインストゥルメンタルを、多彩な楽器陣の調和と構成力の妙で描いている。それが実に見事だ。

 低音をしっかりと支えてリードするリズム隊を土台にして、美しいフレーズを散りばめていくギターや瑞々しい電子音を組み合わせ、透明感ある色彩美と柔らかく丸みのあるサウンド・フォルムが形成されていく。さらには高らかに鳴り響くサキソフォンが情熱を注入。それでも表面的には涼やかさすら感じさせるエレガントな音像である。っが、インスト・ポストロックが内包するエモさやエクスペリメンタルの手触りもどことなく伝わってくる。立体感と奥行きも意識して楽曲の彩度とストーリー性を引き立てているのも印象的。また、本作では#3でクラムボンの原田郁子を起用しており、ポジティヴなメッセージと幻想的なサウンドスケープのコラボレーションが心地よい昂揚感と感動を運んでくる。飛び道具的な楽曲ではあるものの、この曲が本作の幹となっていて、なおかつバンドの新たに踏み出した大きな一歩となっているのは間違いないだろう。

 演奏面での各々の個性や力量を示しながら、ひとつの長い音絵巻に収斂させていってるので本作はかなり聴き応えあり。ジャジーな即興性やロック由来のダイナミズム、麗しくも人懐っこいエレクトロニカや実験精神のクラウトロック、さらにはアンビエントにミニマルといった要素を有機的に結びつけたグルーヴ感は他のバンドとは一線を画している。凛とした情感もまた全編に渡って貫かれているのも好印象だ。特に#7は熱量を帯びていくバンド・アンサンブルが桃源へと連れ去っていくのだが、ファンキーなベースラインによる躍動感やサックスの扇情性がやけに凄まじい。これほどに色彩感と映像性を重視した物語群だが、清らかさと刺激に満ちていて、ジャンルを越リ越えて揺さぶりをかける高品位のインストゥルメンタルとして大きく可能性を広げている。聴けば聴くほど引き込まれる逸品だ。

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