Liturgy ‐‐Review‐‐

変態生産地・ブルックリンを拠点に活躍するポスト・ブラックメタルバンド。ブラックメタルのブの字も無いカジュアルな格好から放たれる強烈なトレモロ・リフの応酬がなぜか世界各誌で評価されている。

レビュー作品

> Aesthethica > Renihilation


AESTHETHICA (エスセシカ)

Aesthethica(2011)

   前作より2年ぶりとなる2ndフルアルバム。リリースは前作に続いてThrill Jockeyから。そして本作は国内盤化されていて、我等がDaymareから2枚組仕様が発売となっている。

 鋭く冷徹に空間を裂くトレモロリフの応酬にブラストビート、痛々しい絶叫を軸にした恐ろしく激烈なサウンドは、前作から大きな変化はない。非情なまでの鋭利な攻撃力を持ってして打ち鳴らされている。シーンでも異端である彼等が本作でも真骨頂を存分に発揮。ブラックメタルを軸にして、ポストロック、シューゲイザー、音響系のアプローチに現代音楽/宗教音楽までを軽々と取り込み、亜流の存在として確実に世を動かしている。不穏な電子音からブリザードが吹き荒ぶかのような扇情的サウンドが問答無用で炸裂する#1からして強力以外の何物でもない。怒涛という言葉を思わず口にするほどに、その嵐がどんどんと勢いを増して聴き手を渦の中に巻き込んでいく。

 ただ、前作以上にトリッキーな展開による畳みかけに驚かされるし、不思議なメロディアス性の内包、ドラマティックさが貫かれている点など、悪魔がほほ笑む中で神秘性が湛えられている。また、自然への畏怖をも覚える様な強烈さに神経もズタズタ。聖歌隊のチャントも変わらずにピンとした緊張感を張り、背筋を凍らせる様な雰囲気を強めている。#3、#5、#8など激烈曲はズラリで、音の衝突と親和によって世界の最果てまで吹き飛ばされる事必至。万物を脅かすその超然とした迫力あるサウンドは、確実に進化/深化の一途を辿っている。細分化するブラックメタル・シーンの中でも光と闇を横断できる稀有な個性、これが噂のLiturgyだ。


Renihilation

Renihilation(2009)

   ブルックリンより現れたポスト・ブラックメタルの新星の1stフルアルバム(過去にはEPを1枚リリース)。リリースはTortoiseやOvalでお馴染みのThrill Jockeyから。

 教会から送り届けられるような聖歌のSE#1を通り過ぎると、現れるは唖然とするほどの超然とした世界だ。寒々しいトレモロ・リフを執拗に繰り返し、凄まじいスピード感を体現する荒いブラスト・ビート、さらには森の深奥から届いてくるような痛々しい絶叫が渾然一体となって聴き手に襲いかかってくる。#2、#3から待ったなしで、隙間もないほどに音粒子を叩きこんでくる苛烈なポスト・ブラックメタルを展開。そのサウンドは、嵐のようなトレモロ・リフが強烈なKralliceを思わせるし、作風としてもProfound Lore勢と共振している。シューゲイザー風の霞がかったような音響構築は、近年の流れを汲んだものと評しても間違いではないだろう。しかし、ほぼ無慈悲な激走を繰り返すだけの楽曲に前述した聖歌風の妖しいSEを随所に挟むことで、ミステリアスな雰囲気と厭世感ももたらしている。これ系の他のバンドとは少し違った印象を受けるのもその点が大きい。ブラックメタルの荒涼さに深遠なる表現力を織り交ぜた隙のない構成力は魅力的で、それ故に冷徹なまでの攻撃力を大自然の迫力にも接近するまでに至っている。全11曲で38分は、十分すぎるインパクトを誇っているのは間違いない。

 ちなみにメンバーはブラックメタルのブの字も無い格好しているのだけど(しかも意外と美形)、これもまたギャップがあっておもしろい。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でGrumble Monsterをフォローしよう!