Letting Up Despite Great Faults ‐‐Review‐‐

ロサンゼルス出身のエレクトロニカ・シューゲイザー・ポップ・バンド。M83にTHE PAINS OF BEING PURE AT HEARTをかき混ぜた感じのサウンドで上品でドリーミーな世界を描いている。


Letting Up Despite Great Faults / レッティング・アップ・ディスパイト・グレイト・フォールツ

Letting Up Despite Great Faults(2010)

    ロサンゼルス出身のレッティング・アップ・ディスパイト・グレイト・フォールツのセルフタイトルとなる1stフルアルバム。草原でKISSというジャケットからして、この作品の立ち位置を物語っている気がするが、聴いていると青春時代の淡い感傷が胸の底から湧きあがってくる。

 エレクトロニカ、シューゲイザー、ドリームポップといった糸を巧みに絡ませながら、絶妙に柔らかな響きとポップさを鳴らしているのが本作の特徴。だが、眩い旋律と蒼い衝動は数多のリスナーの心を掴む魅力に溢れている。THE PAINS OF BEING PURE AT HEARTにキラキラの電子音が加わったオープニングの#1から本領発揮で、ロマンティックな光が作品を包み込む。儚げでメランコリックな美メロとエレクロニクスがドリーミーな空間を演出し、意外とタイトなキレを見せるバンド・アンサンブルがロック譲りの躍動感と昂揚感をもたらしていく。星屑のような煌めきとバンド・サウンドの共鳴・共存が思いのほか印象に残る仕上がり。囁き系ヴォーカルのもたらす影を瑞々しいポップネスと心地よい浮遊感で包み込んでいく様、淡くノスタルジックな感触を持っているのもナイーヴに琴線に触れてくる。

 M83辺りを思わせるチープな打ち込みによるキッチュな魅力やダンサブルな揺さぶり、ひと肌の素朴な手触りの音色と電子音を有機的に結びつけたり、アンビエント系バンドに共鳴した静的フィーリングの強い曲まで各ジャンルのファンに訴えかけるバランスの良い構成も耳を引きつけ、#9からはローファイなインディー・ポップという印象すら浮かぶ。春風が南から吹きつけるような聴後の爽快感も格別で、音の重なり具合と美しさに最後まで魅了される一枚だった。

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